事前に試着できない通販で服を購入する際にスマートフォンで手軽に正確なサイズを計測できるとして、鳴り物入りで登場した採寸スーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」が、意外な分野で活用される可能性が出てきた。
東京大学と、開発したインターネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)は共同研究で、脊柱(背骨)が曲がって外見上の変化や痛みなどを起こす病気「側弯症(そくわんしょう)」を検知することに成功したと発表。実用化されれば病院に行かなくても自宅で発見でき、早期の治療が可能になると期待される。
ゾゾスーツは、ドットマーカーが全体に施されたスーツを着用してスマホの専用アプリとカメラで360度撮影することで、高精度な体形計測ができる。
側弯症は重症化すると肺活量が減ったり、腰を痛めたりするため、場合によっては手術が必要になる。共同研究は、脊柱のカーブの程度を示す「コブ角」が25度以上で、主に若年層で治療を要する可能性がある中等症以上の側弯症の検知を目的とした。ゾゾスーツと専用アプリを使って計測したところ、体幹のゆがみを示すデータを95・3%の高感度で検出できたという。
東大病院手術部の谷口優樹講師は「学校検診は自治体の裁量に任されており、適切な時期に検知できないなどの問題がある。自宅などで検知ができれば、病院への誘導が可能になる」と実用化へ期待を寄せる。
ゾゾスーツが発表されたのは平成29年。試着などの手間を省き、アパレル界に変革をもたらす画期的な技術として注目されたが、計測結果と連動したジーンズやスーツなどのプライベートブランド(PB)事業は低迷し、規模は縮小していった。計測サービスは昨年6月に終了。収集した100万件以上の体形データは、身長と体重に応じて適切なサイズの服を提供するサービス「マルチサイズ」に役立てている。
令和2年に発表した現行のゾゾスーツはマーカー数を従来の約50倍に増やし、計測解像度が大幅に向上。昨年8月からは米国で、自宅やジムなどで運動の成果を確認できるサービス「ZOZOFIT(ゾゾフィット)」の提供を始めた。
ゾゾ計測プラットフォーム開発本部の山田貴康本部長はゾゾスーツについて「リモートで体形を計測できる技術は、さまざまなところで求められている」と説明。今回の研究のように、アパレル以外の分野でどのような効果を発揮できるか注目される。(宇野貴文)