神戸市で2017年に家族や近隣住民ら5人を殺傷したとして殺人罪などに問われ、1審・神戸地裁で無罪(求刑・無期懲役)となった男性被告(32)の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。坪井祐子裁判長は「精神疾患の影響で心神喪失状態だった疑いがあるとした1審判決に誤りはない」と判断。1審を支持し、検察側の控訴を棄却した。
「誰か送った?」身に覚えない荷物、自宅で開けたら逮捕されて… 事実関係に争いはなく、被告の刑事責任能力の有無が争点だった。

21年11月の1審判決は、被告が「(人間と同じ姿だが自我や感情がない)哲学的ゾンビを倒して知人女性と結婚する」という妄想の圧倒的影響下で犯行に及んだ疑いを払拭(ふっしょく)できないと指摘し、責任能力を否定した。 この日の判決で坪井裁判長は、被告の精神状態を診断した医師2人のうち1人が「(被害者を)哲学的ゾンビだと信じ込んでいた」と鑑定したことについて、「この鑑定を覆せる根拠はなく、心神喪失状態にあったとの疑いは否定できない」と述べた。 判決によると、被告は17年7月、自宅で祖父母を包丁で刺すなどして殺害し、止めに入った母親に重傷を負わせた。さらに近くの民家に侵入して住民女性を刺殺し、別の近隣女性にも重傷を負わせた。【安元久美子】
事実関係に争いはなく、被告の刑事責任能力の有無が争点だった。
21年11月の1審判決は、被告が「(人間と同じ姿だが自我や感情がない)哲学的ゾンビを倒して知人女性と結婚する」という妄想の圧倒的影響下で犯行に及んだ疑いを払拭(ふっしょく)できないと指摘し、責任能力を否定した。
この日の判決で坪井裁判長は、被告の精神状態を診断した医師2人のうち1人が「(被害者を)哲学的ゾンビだと信じ込んでいた」と鑑定したことについて、「この鑑定を覆せる根拠はなく、心神喪失状態にあったとの疑いは否定できない」と述べた。
判決によると、被告は17年7月、自宅で祖父母を包丁で刺すなどして殺害し、止めに入った母親に重傷を負わせた。さらに近くの民家に侵入して住民女性を刺殺し、別の近隣女性にも重傷を負わせた。【安元久美子】