佐賀県鳥栖市で両親を殺害したとして殺人罪に問われ、佐賀地裁で1日にあった元大学生の長男(19)の初公判。検察側、弁護側は双方とも冒頭陳述で、父親の厳しい指導が事件の背景にあったと指摘した。公判では、長男が育った家庭環境も量刑を判断する焦点の一つになるとみられる。
佐賀・鳥栖の両親殺害 19歳長男、母への殺意は否認 地裁初公判 起訴状によると、長男は3月9日、鳥栖市の実家で50代の父親の胸や首を、40代の母親の胸や背中をそれぞれナイフで複数回刺すなどし、殺害したとされる。

検察側と弁護側の冒頭陳述によると、長男は難関とされる佐賀県内の県立高校に進学後、国立大学の工学部に入学し、事件当時は1年生だった。父親は、長男が小学生の頃から学校の成績を巡って叱責(しっせき)を繰り返していたという。 「中学生の頃から父親に仕返ししたいという気持ちがあり、殺意になった」。検察側は、長男がかなり以前から父親に対する殺意を募らせていたと指摘。大学に入っても叱責が続き、長男は大学1年の後期の成績が下がると、「成績を上げずに父親から叱責を受ける機会を作り、これまで受けた仕打ちへの報復のため、父親を殺害しようと考えた」とした。 「成績が悪いと、1時間以上にわたって正座させた」。弁護側は父親の暴言や身体的暴力などを列挙し、「長男は身体的虐待、精神的虐待、教育虐待を受けていた」と主張。長男が中学生の頃には「何で自分ばっかりこんな目に遭うんだ」と感じ、「いつか復讐(ふくしゅう)してやる」という気持ちを支えに虐待に耐えてきたと指摘した。 この日の公判には、弁護側証人として長男の伯父(母親の兄)と、母親の友人が出廷。ともに、長男が父親から暴力を受けているという話を聞いたことを証言した。伯父は「愛情はあったと思うが、期待の裏返しで厳しく求め過ぎた」と述べ、母親の友人は「長男は精神的に追い込まれる中で小中学校時代を過ごした。家庭環境が事件を招いたのだと思う」と語った。【五十嵐隆浩】
起訴状によると、長男は3月9日、鳥栖市の実家で50代の父親の胸や首を、40代の母親の胸や背中をそれぞれナイフで複数回刺すなどし、殺害したとされる。
検察側と弁護側の冒頭陳述によると、長男は難関とされる佐賀県内の県立高校に進学後、国立大学の工学部に入学し、事件当時は1年生だった。父親は、長男が小学生の頃から学校の成績を巡って叱責(しっせき)を繰り返していたという。
「中学生の頃から父親に仕返ししたいという気持ちがあり、殺意になった」。検察側は、長男がかなり以前から父親に対する殺意を募らせていたと指摘。大学に入っても叱責が続き、長男は大学1年の後期の成績が下がると、「成績を上げずに父親から叱責を受ける機会を作り、これまで受けた仕打ちへの報復のため、父親を殺害しようと考えた」とした。
「成績が悪いと、1時間以上にわたって正座させた」。弁護側は父親の暴言や身体的暴力などを列挙し、「長男は身体的虐待、精神的虐待、教育虐待を受けていた」と主張。長男が中学生の頃には「何で自分ばっかりこんな目に遭うんだ」と感じ、「いつか復讐(ふくしゅう)してやる」という気持ちを支えに虐待に耐えてきたと指摘した。
この日の公判には、弁護側証人として長男の伯父(母親の兄)と、母親の友人が出廷。ともに、長男が父親から暴力を受けているという話を聞いたことを証言した。伯父は「愛情はあったと思うが、期待の裏返しで厳しく求め過ぎた」と述べ、母親の友人は「長男は精神的に追い込まれる中で小中学校時代を過ごした。家庭環境が事件を招いたのだと思う」と語った。【五十嵐隆浩】