新型コロナの規制が緩和され、国内外からの旅行者が増えている今年の夏。お得に旅行できた全国旅行支援も多くの地域で終了し、宿泊代が高騰しているようです。今回、1人で8月上旬の週末にプチ旅行をすることになったのですが、ビジネスホテルのシングルでも軽く1万円超え。手頃な宿がなかなか見つからず、カプセルホテルが選択肢に上がってきます。
けれども、閉所恐怖症の私がカプセルホテルで快適に過ごせるのか。そもそも、女性1人でカプセルホテルに泊まってもいろいろ大丈夫なのか? 実際に泊まって検証してみました。
◆カプセルホテルは正直泊まりたくなかった
これまでカプセルホテルというと、「仕事や飲み会で終電を逃した男性たちが泊まる場所」と考えていた筆者。最近は、女性でも安心して泊まれるところがあると聞いてはいましたが、積極的に利用しようとは思えませんでした。
子どもがまだ小さく、旅行のときはファミリー向けの宿に泊まるから、というのが第一の理由ですが、個人的にもう1つ大きなワケが……。それは、私が極度の「閉所恐怖症」だから。観光地で鍾乳洞や洞窟に入っただけで、恐くて胸がドキドキしてしまうのに、カプセルルームで夜を明かすなんて絶対ムリ! と思っていました。
では、そんな私がなぜカプセルホテルに泊まることになったのか。
きっかけは、息子と夫が地元のサッカーチームの夏合宿に参加することになったから。1人で留守番しているときにゴキブリが出たら、強盗が入ったら、幽霊が出たら……などと本気で不安になり、ならば宿でも取ってのんびり過ごそうと決めたのです。
◆高すぎる! シティホテルの宿泊代に思わずのけぞる
ところが、過去に利用したことがあるシティホテルは、宿泊料金がやたらと高くなっていることから断念。確か以前は、シングル素泊まりが6千円程度だったような記憶があるのですが、今回調べたら1万円以上になっていました。都内や横浜あたりのシティホテル&ビジネスホテルも調べましたが、お手頃なところが見つかりませんでした。
次に考えたのが、深夜も滞在できるスパや温浴施設。自宅から比較的近くに宿泊できる温浴施設があるので、そこで泊まることを検討しました。しかし、ネット上の口コミで「週末は激混みで、お風呂も休憩所も落ち着かない」と書かれていたので、こちらも諦めることに。
しばらく調べていると、家から電車で20分くらいの場所に良さそうな宿を発見。口コミが高評価だったため、公式サイトを見てみると、新しくてきれいな施設で、サウナや大浴場もあるとのこと。しかも、公式サイトから早割で予約すれば1泊3680円! ただし、宿泊はカプセルルーム……。
かなり悩んだのですが、今回は部屋のタイプや広さよりもコスパを重視し、思い切って泊まってみることにしました。
◆チェックイン早々、ビックリしたこと
そのカプセルホテルは駅から徒歩2分くらいの場所にありました。筆者はそのエリアに何度か行ったことがあり、全く迷わずに行けました。ただ駅からのアクセスについては、公式サイトでかなり詳しく案内されていたので、土地勘がなくても簡単にたどり着けそうです。
無事ホテルに到着し、チェックイン。フロントでリストバンドを受け取り、施設の説明を受けた後、自動精算機で宿泊料金を支払いました。
まず、この段階で驚いたのが、利用客の多さと客層の幅広さ。子連れファミリーはいませんでしたが、客層も老若男女と幅広く、「カプセルホテルは男性が利用するもの」という固定観念が一瞬で消えました。
◆「女性のおひとりさまでも安心」ってホント?

実際に泊まってみると、セキュリティー面は万全で、女性1人でも不安を感じることはありませんでした。男性フロアと女性フロアもきっちり分けられていて、各フロアでは入口でリストバンドをかざさないと、中に入ることはできません。
フロアごとに出入りを規制するセキュリティーが設置されていると、たしかに女性の一人客でも安心感があります。
◆ついにカプセルルーム初体験! 閉所恐怖症でも大丈夫?
ついに、生まれて初めてのカプセルルームに入ります。
とにかく狭いところが苦手なので心配だったのですが、入ってみると、それほど圧迫感はありませんでした。
身長155cmの筆者なら、足もゆうゆう伸ばせるし、不思議と狭さを感じません。
カプセルに出入りするときは、ロールスクリーンを上げ下げするスタイル。最初は「鍵付きの扉じゃないの?!」と驚きましたが、考えるとこれもスペースの大きな節約。それに、あえて扉で閉め切らないことが、閉塞感を感じさせないポイントかもしれません。これなら閉所恐怖症の私でも大丈夫そう。最大の難関クリアです。
では、もう1つ懸念していた“音”はどうでしょうか? TVやスマホの音、寝息やいびき……などなど、物音で睡眠が妨害されることはないか? 結果的には、音については何も問題ありませんでした。他の宿泊客がキャリーバッグを引いて移動する音はかすかに聞こえてくるのですが、それ以外はほとんど無音でした。
たった1つ、気になったのが「室温」。各室空調がついているようなのですが、私の場合、寝るときに「けっこう冷えるな」と感じました。ベッド脇のつまみで調整してみましたが、あまり変わらず。これまでも、ホテルや旅館の個室で「暑すぎる」「寒すぎる」ことはありましたが、自分で温度を調節したり、窓を開けて外気を入れたりすれば、ほどよい室温にできました。カプセルルームの場合は、空間が狭く窓もないので、エアコンが効きすぎたときに調整が難しいと感じました。 ◆貴重品や荷物は安全に保管できる?
宿に泊まるときは、貴重品や荷物の管理も気になるところ。今回のホテルは、各カプセルルームの中にロッカーがあり、そこに荷物や着替えを入れることができました。
チェックインの時に渡されたリストバンドで鍵をかけられるので安心です。
ちなみに、女性客室の入り口付近に、キャリーバッグが置ける専用エリアも設置されていました。そのほか、丈の長い服をかけられるクローゼットのような場所もありました。
各カプセルルームには、大きめのテレビも。私も寝る前につけてみましたが、枕からの角度が絶妙で、見やすかったです。
◆感動レベルの豊富なアメニティ
アメニティも充実していました。タオル類はカプセルルーム内に置かれており、館内着はロビーの棚から各自持っていきます。身支度や洗面、歯磨きができる更衣室やパウダールームには、歯ブラシやヘアブラシ、綿棒や紙コップなどがあり、自由に使えるようになっていました。
ヘアアイロンなども貸し出してくれるようです。最低限のメイク用品と着替えがあれば、あとは手ぶらで大丈夫そうです。
今回の施設には大浴場やサウナもあり、一部のサウナ愛好家にも人気のようです。
シャンプーやコンディショナー、ソープ類、クレンジングはもちろん、化粧水やヘアケア製品、カミソリなども一式そろっていました。何気にコーヒー牛乳の自販機が嬉しい。
◆食事やお酒の持ち込みもOK

電源もあるので、スマホの充電も可。リモートワークもできそうです。
その隣には、広いリラクゼーションエリアがあり、リクライニングチェア、マッサージチェアに座りながらTVを見たり、漫画が読めたりします。
リラクゼーションエリアにも女性専用エリアがあるので、男性の視線を気にすることなく、食事やお風呂の後にリクライニングチェアでまったりできます。
◆女性1人旅でカプセルホテルの利用はアリ? ナシ?
色々と不安を抱えながらの滞在でしたが、結果的には快適な時間が過ごせました。女性1人旅などでカプセルホテルの利用はアリかナシか? と聞かれれば、筆者は「全然アリ」だと思います。
ただ、それは今回泊まったカプセルホテルのクオリティーが、非常に高かったからともいえます。当然のことではありますが、安心・安全な滞在をするためには、施設の立地やセキュリティ、カプセルルーム内の設備などについて、予約前によく精査することが大切だと感じます。
個人的には、窓から風景が見える旅館やホテルの客室の方が好みですが、コスパの良さと利便性の高さを考えれば、今後もカプセルホテルを利用する可能性は高いです。
◆要注意!「カプセルホテルだから安い」とは限らない
1つ気をつけたいのは、宿泊料金の変動です。筆者は今回早割でネット予約して4千円以下でしたが、違う日時で検索すると、同じホテルでも価格が1万円を超えていました。別のカプセルホテルもいくつか調べましたが、やはり価格帯に幅がある模様。施設によっても料金は全然異なるし、宿泊日時や予約のタイミングによっても価格が変動しているので、「カプセルホテルだから安い」とは考えないほうがよさそうです。
夏休みの後も、秋の連休やクリスマス、年末年始など、各地に出かけるシーズンはまだまだ続きます。宿がなかなか見つからない! と思ったら、カプセルホテルを選択肢に入れてみると良いかもしれません。
<写真・文/青山文>