環境省などが山形県内に熱中症警戒アラートを出していた24日午前、グラウンドで体育祭の練習をしていた山形市若宮の同市立第十中学校(生徒数660人)の生徒13人が熱中症の疑いで搬送されるなどした。
いずれも命に別条はなく、同日中に帰宅した。同校と市教育委員会は同日夕、緊急の記者会見を開いて謝罪するとともに、必要に応じて学校行事の延期など柔軟な対応を取るとした。
市役所で開かれた記者会見には、同校の山田博志校長と市教委学校教育課の細谷直樹課長が出席した。山田校長は「生徒や保護者の皆さんに大変申し訳ない」と陳謝。細谷課長は「(気温が上昇してきた段階で)中止すべきだったと思う。判断が適正だったか検証していく」と述べた。
同校の体育祭は31日~9月1日の予定で、今月21日から毎日、1、2時間目に練習を実施。その際、市教委の方針を踏まえ、熱中症の危険度を示す「暑さ指数」を1時間おきに測定した。
24日は午前8時半に、1~3年生の611人がグラウンドに集合。同9時の指数は「厳重警戒」(激しい運動は中止)に該当する28・7だったが、山田校長は、十分な休息を取りながら実施することを決め、障害物競走やリレーなどを20分した後に10~30分の休憩を取るよう指導した。
午前9時20分頃に休憩を促した際、複数の生徒が頭痛や手足のしびれなどの体調不良を訴えた。保健室で休んでいたが回復しなかったため、同9時半頃に119番した。その後、他の生徒たちも次々と体調不良を訴え、1年生の女子1人、2年生の女子3人、3年生の女子5人と男子4人が市内の病院を受診。このうち11人は消防により救急搬送され、2人は保護者の車で病院に行ったという。
同校の正門付近には複数の消防車両が到着し、周囲は騒然とした。近くに住み、長女が同校3年だという40歳代女性は「リレーをすると聞いていたので、暑い中大丈夫かなと心配していた」と不安そうな表情で話した。
同10時には気温が38・1度、暑さ指数が最も高い「危険」(運動は原則中止)にあたる32・0に上昇したことから練習を中止し、冷房の利いた教室で6時間目まで授業を行った。
県内は21日から4日連続で熱中症警戒アラートが出ており、細谷課長は「アラートが出ているときは活動の中止を検討するように要請している」としたが、山田校長は「現場の気温や指数を重視して判断していた」と説明した。
市教委によると、市内の多くの学校が9月上旬に体育祭を予定しており、各校で練習が行われているという。市教委は24日付で、市立小中高校52校に対し、暑さ指数の測定を「30分に一度など定期的」に行うよう通知。高温や多湿が見込まれる場合には、行事の延期や内容の変更など柔軟な対応を呼びかけた。