異常な猛暑が続く今年の夏だが、悪夢は気温だけではない。物価高や電気代の高騰で子育て中の困窮世帯はかつてないほどの苦境に置かれている。
この夏休みに何が起きているのか。支援者への取材や当事者の声から浮かび上がった子供の貧困の実情に迫った。
◆「昼食は100円のパンを兄弟で分ける」
困窮世帯の食料問題は自治体も問題視しており、東京都板橋区がコメなどの食料品を無料配布するフードパントリーを先駆けて設置したほか、豊島区でも公民連携で食料品の提供を始めている。
そこで、困難を抱える生活困窮者やその関係者に話を聞いた。北関東に住む2児の母・Rさん(30代)は言う。
「家にはエアコンがないので、私の出勤に合わせて子供も外出します。図書館や近所の児童館に行けば友達がいるので、夜7時頃まで毎日、過ごさせています。
ゲームをしたり、漫画を読んでいますね。昼食はダイソーで買った100円のスティックパン1袋を兄弟で分けています。飲み物は施設の冷水機ですよ」
◆友達家庭の昼食を食べ回る「シングル家庭の女の子」
次は関西の公営住宅に住む主婦のAさん(40代)の話。
「マンション内には同じ小学校の子たちがたくさんいるので、夏休み中は出入り自由みたいな感じでいろんな友達が家に来るんです。
そんななか、あるシングル家庭の女の子が、いつも昼食時を狙って家に来る。自分の子だけに昼食を出すわけにもいかず、その子の分も作ります。
3~4日に一度は来るのですが、他の家庭に聞いたら、どうやらローテーションでいろんなところで昼食を食べているみたい。かわいそうなのでその子の親に何か言うことはありませんが」
◆「おかずは昨夏より1品少なく」
一方、3児の母であるTさん(30代)はこう話す。
「スーパーに行くと物価の高さを感じます。以前は国産鶏もも肉が特売時は100g/88~98円で買えたけど、最近は底値でも110円。タンパク質は安いタイ産の鶏むね肉に頼るようになった。
上の2人は夏休み中も学童保育に行かせていますが、弁当に入れる冷凍食品の値上げもあり、おかずは昨夏より1品少なくなりましたね」