7月1~2日の間に札幌・ススキノのホテルで男性(62)の頭部が切断され、遺体で見つかった事件は、死体遺棄などの疑いで逮捕された札幌市の田村瑠奈(29)と父親で精神科医の修(59)、母親の浩子(60)の一家3容疑者の取り調べが続いている。事件から1か月を迎えたが、今なお動機や殺害手口などには多くの謎が残っている。
猟奇的な事件は大枠が分かってきている。瑠奈容疑者は小学校から不登校で大人になってひきこもり生活を送っていた。男性は夜のススキノでは有名人で性的に奔放だったといわれる。
瑠奈容疑者と男性は今年の5月にディスコで知り合い、数回会っていたとされる。母親の浩子容疑者は「娘と男性との間でトラブルがあった」と供述。トラブルを収めた後も男性が瑠奈容疑者宅にやってきたという話も出ている。しかし、一家は警察に相談をしていなかった。
犯罪心理事情通は「首を切断し持ち帰った理由として挙げられる可能性はいくつか考えられます。全身をバラバラにしてスーツケースに入れて持ち去り完全犯罪を狙おうとしたが、首だけで力尽きたため。身元がバレたら人脈から犯人にたどり着かれるので、身元確認を遅らせるため。快楽殺人のため」と指摘する。
被害男性に比べ非力な瑠奈容疑者が相手に防御するスキを与えずに殺害できたのは、修容疑者が立てた計画の一部かもしれない。修容疑者が全体の計画を立て、瑠奈容疑者が実行役、浩子容疑者は知りながら黙認していたという見方がある。
「主犯は父親とのことですが、娘も高い攻撃性を抱えていなければ殺害実行は不可能です。父親の娘への異常な溺愛が彼女の社会性を奪い、ひきこもりにさせた一因であり、そこに罪の意識を感じ、娘の異常な思考、行為に対して最後まで父親として力を貸してしまったのかもしれません」(同)
非力な女性が男性を殺害する場合、毒殺が用いられるが、今回は刃物だった。
「先にシャワーを浴びさせ、後ろから首を刺す。目隠しプレーと称して、目隠しさせ首を刺す。胸や背中に一突きは肋骨があり難易度が高く、逆襲されるかもしれないので、確実に首を狙ったのでしょう。医者である父親のアドバイスがあった可能性も考えられます」(同)
また、近隣住民によると、修容疑者は精神科医として多忙な日々を送る一方、昨年から家には入らず、庭でキャンプ生活や車中泊をしていたという。
修容疑者が協力していたとするなら、“プチ別居”していた理由も分かってくる。
「かつて別の県で、女子高校生が同級生の首を切断した事件があった。事件前から凶暴性が見られ、精神科に通院し、医師から『同じ家で寝ていると命の危険がある』と助言された父親は別居していた。ひょっとして精神科医である修容疑者は娘の凶暴性を“診断”していたのかもしれません」と同事情通は語る。