8月11日に日本での公開が予定されている映画『バービー』。すでにアメリカでは公開され特大ヒットを記録しているが、本国の公式SNSによるプロモーションが、日本で大きな騒動となって4いる。
本作は、アメリカ発祥の着せ替え人形である「バービー人形」のバービーとケンの2人が、バービーランドから現実の世界にやってくる、という内容の実写化映画。アメリカでは7月21日に公開され、たった2日間で全米の興行収入が1億5500万ドルを記録し、7月30日時点でも3億5140万ドルと驚異的な数字を叩き出している。
そんななか、アメリカでの公開日が同じもう一つの超大作が。それは『ダークナイト』や『インセプション』といった数々の大ヒット作を手掛けた名監督クリストファー・ノーランが手掛ける『オッペンハイマー』。これは、主導した原子爆弾開発を手掛け、「原爆の父」と呼ばれた実在の人物・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記スリラー作品だ。
ポップなトーンの『バービー』に対してシリアスなテーマの『オッペンハイマー』。豪華俳優陣が出演する大作かつ真逆のテーマの2作が同日に公開されるということから、アメリカではたちまち話題になり、“二本立て”で鑑賞する人が続出。さらに、タイトルを掛け合わせた「バーベンハイマー」という造語が生まれ、SNS上では2作品のビジュアルをミックスしたファンアートを自作して楽しむ人も相次いだ。
しかし、そのファンアートの中に見過ごせないものがーー。
『オッペンハイマー』に原爆が登場することから、原爆投下を連想させるキノコ雲と『バービー』の登場人物をミックスさせるファンアートが続出。爆発を背景に2作品の登場人物が笑顔を見せているものや、バービーにキノコ雲を合成させるものもあった。
さらに、この流れに火に油を注いだのが、『バービー』のアメリカの公式SNSアカウントだ。ファンアートとともに《父に「バーベンハイマー」について説明すると、フォトショップでバービーのヘアスタイルを加工してキノコ雲にするのはどうだろうと言われた。1いいねで父への意見に賛成》と呟いたアメリカのあるユーザーの投稿に対して、、《This Ken is a stylist(このスタイリストはケンですね)》とウインクする絵文字をリプライ。
さらに、別のユーザーが《バーヘンハイマーポスター》と称して、ビーチが燃え盛り煙も立ち上る中で、オッペンハイマーが肩に実写版バービーを乗せている画像をアップ。これに対して同アカウントは《It’s going to be a summer to remember(忘れられない夏になりそうですね)》と、ハートの絵文字付きでリプライしている。
原爆投下を“ネタ”にするような投稿に対して、好意的な反応を見せたアメリカの公式アカウント。しかし、このことが日本のユーザーの目にとまると、たちまち拡散され、怒りを示す人が続出することに。
《バーベンハイマー炎上してるんや。7月の半ばくらいからTLのおすすめでたくさん画像が流れてたから知ってたけど、バービー公式が肯定してたのはマズイね…》《バーベンハイマーの問題は公式が乗っからなければ日本でここまで荒れなかったと思う。あれに対して「過剰反応」「ただのジョーク」って言ってる人ってホロコーストや9.11でも同じこと言うのかな?挙手ですらナチスを連想させるからいけない事としてるあの国で?》《バーベンハイマー、危ないミームだなぁって思ってたら公式が触れて案の定炎上してる。やっぱ公式は視聴者が作ったノリに軽々と乗っかるべきじゃないわ》《バーベンハイマーのネットミームが流行ってるのは知ってたけど、まさかのバービー公式がそれに乗っかってるの見てすごい残念》
7月30日夜ごろからこうした声がSNS上で拡散し、波紋を呼んでことによって、ワーナーブラザーズジャパン合同会社は31日夜に、日本の『バービー』公式Twitter(現X)アカウントで、《このムーブメントに起因したファンのSNS投稿に対して行われた、映画『バービー』のアメリカ本社の公式アカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社にしかるべき対応を求めています》と謝罪コメントを発表した。
反応したアメリカ本社に対して、怒りを顕にしたワーナーブラザーズジャパン。しかし、7月31日23時時点で、アメリカの公式アカウントは前述したキノコ雲を描いたファンアートへのものなど、批判されているリプライは削除していない。
ネット上では、未だ反応を示さないアメリカ本社に対して、「#バービー公開中止」というハッシュタグとともに憤る声がやまない。
《ワーナージャパンでなくアメリカ本社が謝罪するべき!!》《せめてアメリカの公式が声明を出すまでは公開しないでほしい…》《戦争で祖父が兄を 祖母が母を亡くしてる事を知ってる私としては とても怒りを感じます……》
公開前にして思わぬ波紋が広がる『バービー』。果たして、本国の反応はーー。