両親に向精神薬を服用させ、自殺を手助けしたとして自殺ほう助の罪で起訴され、7月31日に保釈された歌舞伎俳優・市川猿之助(本名・喜熨斗孝彦=きのし・たかひこ)被告(47)が都内の病院に入院していることが1日、関係者の話で分かった。入院が保釈の条件にされており、精神的に不安定な面が懸念されていることから、病院で24時間態勢のサポートを受けているようだ。初公判は10月頃とみられている。
猿之助被告の将来について、歌舞伎関係者はこの日「表舞台に復帰することはないでしょう」と語った。演出家など裏方での復帰を予測する声もあるが、「仏教に造詣が深いので出家する可能性もありますし、海外でひっそりと生活することも考えられます」と歌舞伎界から離れる可能性が高いと推測した。
海外に渡航する場合、保釈中は前もって裁判所の許可を得る必要がある。公判で有罪となっても執行猶予がつけば、猶予中に海外に行くことは可能だが、前科があるために渡航先の国に入国を拒否される可能性がある。
猿之助被告が出演予定で、事件後に休演が発表された歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第3部「新・水滸伝」は5日に初日を迎える。稽古は7月14日にスタート。中村隼人(29)が主役の林冲を演じ、松本幸四郎(50)、市川中車(57)、市川團子(19)らも稽古に参加して連日、汗を流している。2008年の初演から15年の時を経て、歌舞伎座では初上演となる。