「日本維新の会」の馬場伸幸代表(58)が、統一地方選の公認を巡り、維新所属の池田克史堺市議(当時。60)に対し、代表としての権限をかざしながら「公認したくない。理由は無くてもいい」などと発言し、実際に市議は公認されていなかったことが、「週刊文春」の取材でわかった。馬場氏と男性市議とのやり取りを記録した2時間に及ぶ音声データを入手した。男性市議は取材に対し、馬場氏によるハラスメント行為だった旨を認めている。
【写真】「邪魔や!」「公認は僕の権限や!」選挙直前に男性市議へ“公認パワハラ”を行った維新・馬場代表 馬場氏は昨年8月、維新の代表に就任。最近では、インターネット番組で「共産党は日本から無くなっていい」などと発言し、物議を醸している。「1993年、堺市議補選に自民党から出馬し、初当選。その後、2010年、盟友関係にあった松井一郎氏らと大阪維新の結党に参加。2012年に国政に転じ、2015年には党幹事長に就任しました。 大食漢かつ酒豪で“飲みニケーション”を重視している。会食後に後輩を呼び出し、飲むのが定番です。酒が進むと『やれるもんならやってみい』とケンカっ早くなりますが、藤田文武幹事長は『馬場さんの誘いを断らなかったから幹事長になれた』と洩らしているほど。いまや維新はこの馬場氏を中心に動いています」(政治部記者) 一方、池田氏は自民党の堺市議を経て、2010年に大阪維新に合流。以降、維新・堺市議団の中核として活動してきた。「馬場氏とは政治家になる前からの付き合い。10年ほど前の池田氏の結婚式では、馬場氏がスピーチをする間柄でしたが……」(堺支部関係者)今年4月の統一地方選で池田氏の公認を馬場氏が拒否 2人の間に亀裂が入ったのは、今から6年ほど前。2013年に続き、2017年の堺市長選でも馬場氏が擁立した候補が敗れたことだった。 池田氏は堺支部の全体会議で、党本部の広報戦略チームが作成した〈候補者選定を担う馬場氏の責任が大きい〉旨を指摘する資料などを配布。馬場氏は政治団体「大阪維新の会・堺」の代表を辞任することになった。 一方、池田氏は大阪維新の副代表に就任。2019年の堺市長選で維新候補を勝利に導くなど存在感を増していく。 ところが、今年4月の統一地方選を控え、5期目の当選を目指す池田氏を巡る状況に暗雲が垂れ込める。維新の公認リストから外されていたのだ。「吉村(洋文)府知事(48)を含め、大阪維新側は池田氏の公認を了承していましたが、馬場氏だけが印鑑を押さなかったのです」(維新府議)吉村共同代表 時事通信社「公認はさ、僕の権限や」理由を尋ねた音声データ入手 今年2月23日夕方、池田氏は堺市内の馬場事務所を訪問した。池田氏としては公認が出ない理由について、後援会に納得のいく説明をしなければならない。そのため、面会の様子をメモ的に録音し、限られたメンバーに報告の意味で共有していたという。「週刊文春」は池田氏の後援会関係者から2時間に及ぶ音声データを入手した。 そこで、馬場氏はまず以下のように語っていた。「維新の会に入れた時に、この人(=池田氏)は何かおかしいことするんちゃうんかなとずっと思ってた。心の中で」 そして公認が下りない理由を池田氏が尋ねると、次のように述べたのだ。「公認はさ、僕の権限や。代表、代表や。誰もでけへんから。幹事長でもないから。公認状に馬場伸幸って書いてるでしょ。そこが(公認を)下ろしたないから、下りない。別に理由なんか無かってもええねん。理由なんて無かったってええんですよ」 代表である自身が候補者の公認権を独占的に有していることを強調したうえで、「“特に理由が無い”ものの、“池田氏を公認しない”」旨を通告。さらに、こう一方的に言い放ったのだった。「年齢はいってくるし、期数は増えてくるし、邪魔や!」公認が下りなかったことに「納得はしてない」 池田氏に尋ねると、一連の経緯を「事実です」と認めた上で、こう語った。――ハラスメントでは?「落選したのは僕の実力でしかないが、公認が下りなかった経緯についてはそう思う。納得はしてない」 一方、馬場氏に事実関係の確認を求めたところ、秘書が次のように回答した。「回答は差し控える」 日本維新の会を巡っては、所属議員からハラスメント被害を訴える声が相次いでいる。吉村洋文府知事はハラスメントの根絶を掲げ、大阪維新の会では被害調査も進めてきたが、今回、明るみに出たのは、党代表自らが公認権を盾に所属議員に対し、パワハラ行為に及んでいた疑いだ。党としてどのような対応を取るのか、注目される。 8月2日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および8月3日(木)発売の「週刊文春」では、「維新を暴く!」と題した9ページの大型特集を掲載。馬場氏の“公認パワハラ”疑惑のほか、“偽ラブホ経営者”からの献金など馬場氏の不透明な政治資金、さらには、AVに出演していた新人女性市議、「週刊文春」が報じた不祥事議員リスト、セクハラ被害者への批判とも受け取れる党最高幹部の発言などを報じている。さらに、大阪万博の迷走や橋下徹氏とのコンサル会社について尋ねた松井一郎前代表への80分に及ぶインタビューも掲載している。 また、「週刊文春 電子版」では、馬場氏の男性市議に対する“公認パワハラ”音声を公開している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
馬場氏は昨年8月、維新の代表に就任。最近では、インターネット番組で「共産党は日本から無くなっていい」などと発言し、物議を醸している。
「1993年、堺市議補選に自民党から出馬し、初当選。その後、2010年、盟友関係にあった松井一郎氏らと大阪維新の結党に参加。2012年に国政に転じ、2015年には党幹事長に就任しました。 大食漢かつ酒豪で“飲みニケーション”を重視している。会食後に後輩を呼び出し、飲むのが定番です。酒が進むと『やれるもんならやってみい』とケンカっ早くなりますが、藤田文武幹事長は『馬場さんの誘いを断らなかったから幹事長になれた』と洩らしているほど。いまや維新はこの馬場氏を中心に動いています」(政治部記者) 一方、池田氏は自民党の堺市議を経て、2010年に大阪維新に合流。以降、維新・堺市議団の中核として活動してきた。「馬場氏とは政治家になる前からの付き合い。10年ほど前の池田氏の結婚式では、馬場氏がスピーチをする間柄でしたが……」(堺支部関係者)今年4月の統一地方選で池田氏の公認を馬場氏が拒否 2人の間に亀裂が入ったのは、今から6年ほど前。2013年に続き、2017年の堺市長選でも馬場氏が擁立した候補が敗れたことだった。 池田氏は堺支部の全体会議で、党本部の広報戦略チームが作成した〈候補者選定を担う馬場氏の責任が大きい〉旨を指摘する資料などを配布。馬場氏は政治団体「大阪維新の会・堺」の代表を辞任することになった。 一方、池田氏は大阪維新の副代表に就任。2019年の堺市長選で維新候補を勝利に導くなど存在感を増していく。 ところが、今年4月の統一地方選を控え、5期目の当選を目指す池田氏を巡る状況に暗雲が垂れ込める。維新の公認リストから外されていたのだ。「吉村(洋文)府知事(48)を含め、大阪維新側は池田氏の公認を了承していましたが、馬場氏だけが印鑑を押さなかったのです」(維新府議)吉村共同代表 時事通信社「公認はさ、僕の権限や」理由を尋ねた音声データ入手 今年2月23日夕方、池田氏は堺市内の馬場事務所を訪問した。池田氏としては公認が出ない理由について、後援会に納得のいく説明をしなければならない。そのため、面会の様子をメモ的に録音し、限られたメンバーに報告の意味で共有していたという。「週刊文春」は池田氏の後援会関係者から2時間に及ぶ音声データを入手した。 そこで、馬場氏はまず以下のように語っていた。「維新の会に入れた時に、この人(=池田氏)は何かおかしいことするんちゃうんかなとずっと思ってた。心の中で」 そして公認が下りない理由を池田氏が尋ねると、次のように述べたのだ。「公認はさ、僕の権限や。代表、代表や。誰もでけへんから。幹事長でもないから。公認状に馬場伸幸って書いてるでしょ。そこが(公認を)下ろしたないから、下りない。別に理由なんか無かってもええねん。理由なんて無かったってええんですよ」 代表である自身が候補者の公認権を独占的に有していることを強調したうえで、「“特に理由が無い”ものの、“池田氏を公認しない”」旨を通告。さらに、こう一方的に言い放ったのだった。「年齢はいってくるし、期数は増えてくるし、邪魔や!」公認が下りなかったことに「納得はしてない」 池田氏に尋ねると、一連の経緯を「事実です」と認めた上で、こう語った。――ハラスメントでは?「落選したのは僕の実力でしかないが、公認が下りなかった経緯についてはそう思う。納得はしてない」 一方、馬場氏に事実関係の確認を求めたところ、秘書が次のように回答した。「回答は差し控える」 日本維新の会を巡っては、所属議員からハラスメント被害を訴える声が相次いでいる。吉村洋文府知事はハラスメントの根絶を掲げ、大阪維新の会では被害調査も進めてきたが、今回、明るみに出たのは、党代表自らが公認権を盾に所属議員に対し、パワハラ行為に及んでいた疑いだ。党としてどのような対応を取るのか、注目される。 8月2日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および8月3日(木)発売の「週刊文春」では、「維新を暴く!」と題した9ページの大型特集を掲載。馬場氏の“公認パワハラ”疑惑のほか、“偽ラブホ経営者”からの献金など馬場氏の不透明な政治資金、さらには、AVに出演していた新人女性市議、「週刊文春」が報じた不祥事議員リスト、セクハラ被害者への批判とも受け取れる党最高幹部の発言などを報じている。さらに、大阪万博の迷走や橋下徹氏とのコンサル会社について尋ねた松井一郎前代表への80分に及ぶインタビューも掲載している。 また、「週刊文春 電子版」では、馬場氏の男性市議に対する“公認パワハラ”音声を公開している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
「1993年、堺市議補選に自民党から出馬し、初当選。その後、2010年、盟友関係にあった松井一郎氏らと大阪維新の結党に参加。2012年に国政に転じ、2015年には党幹事長に就任しました。
大食漢かつ酒豪で“飲みニケーション”を重視している。会食後に後輩を呼び出し、飲むのが定番です。酒が進むと『やれるもんならやってみい』とケンカっ早くなりますが、藤田文武幹事長は『馬場さんの誘いを断らなかったから幹事長になれた』と洩らしているほど。いまや維新はこの馬場氏を中心に動いています」(政治部記者)
一方、池田氏は自民党の堺市議を経て、2010年に大阪維新に合流。以降、維新・堺市議団の中核として活動してきた。
「馬場氏とは政治家になる前からの付き合い。10年ほど前の池田氏の結婚式では、馬場氏がスピーチをする間柄でしたが……」(堺支部関係者)
2人の間に亀裂が入ったのは、今から6年ほど前。2013年に続き、2017年の堺市長選でも馬場氏が擁立した候補が敗れたことだった。
池田氏は堺支部の全体会議で、党本部の広報戦略チームが作成した〈候補者選定を担う馬場氏の責任が大きい〉旨を指摘する資料などを配布。馬場氏は政治団体「大阪維新の会・堺」の代表を辞任することになった。
一方、池田氏は大阪維新の副代表に就任。2019年の堺市長選で維新候補を勝利に導くなど存在感を増していく。
ところが、今年4月の統一地方選を控え、5期目の当選を目指す池田氏を巡る状況に暗雲が垂れ込める。維新の公認リストから外されていたのだ。
「吉村(洋文)府知事(48)を含め、大阪維新側は池田氏の公認を了承していましたが、馬場氏だけが印鑑を押さなかったのです」(維新府議)
吉村共同代表 時事通信社
今年2月23日夕方、池田氏は堺市内の馬場事務所を訪問した。池田氏としては公認が出ない理由について、後援会に納得のいく説明をしなければならない。そのため、面会の様子をメモ的に録音し、限られたメンバーに報告の意味で共有していたという。「週刊文春」は池田氏の後援会関係者から2時間に及ぶ音声データを入手した。
そこで、馬場氏はまず以下のように語っていた。
「維新の会に入れた時に、この人(=池田氏)は何かおかしいことするんちゃうんかなとずっと思ってた。心の中で」
そして公認が下りない理由を池田氏が尋ねると、次のように述べたのだ。
「公認はさ、僕の権限や。代表、代表や。誰もでけへんから。幹事長でもないから。公認状に馬場伸幸って書いてるでしょ。そこが(公認を)下ろしたないから、下りない。別に理由なんか無かってもええねん。理由なんて無かったってええんですよ」
代表である自身が候補者の公認権を独占的に有していることを強調したうえで、「“特に理由が無い”ものの、“池田氏を公認しない”」旨を通告。さらに、こう一方的に言い放ったのだった。
「年齢はいってくるし、期数は増えてくるし、邪魔や!」
池田氏に尋ねると、一連の経緯を「事実です」と認めた上で、こう語った。
――ハラスメントでは?
「落選したのは僕の実力でしかないが、公認が下りなかった経緯についてはそう思う。納得はしてない」
一方、馬場氏に事実関係の確認を求めたところ、秘書が次のように回答した。
「回答は差し控える」
日本維新の会を巡っては、所属議員からハラスメント被害を訴える声が相次いでいる。吉村洋文府知事はハラスメントの根絶を掲げ、大阪維新の会では被害調査も進めてきたが、今回、明るみに出たのは、党代表自らが公認権を盾に所属議員に対し、パワハラ行為に及んでいた疑いだ。党としてどのような対応を取るのか、注目される。 8月2日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および8月3日(木)発売の「週刊文春」では、「維新を暴く!」と題した9ページの大型特集を掲載。馬場氏の“公認パワハラ”疑惑のほか、“偽ラブホ経営者”からの献金など馬場氏の不透明な政治資金、さらには、AVに出演していた新人女性市議、「週刊文春」が報じた不祥事議員リスト、セクハラ被害者への批判とも受け取れる党最高幹部の発言などを報じている。さらに、大阪万博の迷走や橋下徹氏とのコンサル会社について尋ねた松井一郎前代表への80分に及ぶインタビューも掲載している。 また、「週刊文春 電子版」では、馬場氏の男性市議に対する“公認パワハラ”音声を公開している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
日本維新の会を巡っては、所属議員からハラスメント被害を訴える声が相次いでいる。吉村洋文府知事はハラスメントの根絶を掲げ、大阪維新の会では被害調査も進めてきたが、今回、明るみに出たのは、党代表自らが公認権を盾に所属議員に対し、パワハラ行為に及んでいた疑いだ。党としてどのような対応を取るのか、注目される。
8月2日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および8月3日(木)発売の「週刊文春」では、「維新を暴く!」と題した9ページの大型特集を掲載。馬場氏の“公認パワハラ”疑惑のほか、“偽ラブホ経営者”からの献金など馬場氏の不透明な政治資金、さらには、AVに出演していた新人女性市議、「週刊文春」が報じた不祥事議員リスト、セクハラ被害者への批判とも受け取れる党最高幹部の発言などを報じている。さらに、大阪万博の迷走や橋下徹氏とのコンサル会社について尋ねた松井一郎前代表への80分に及ぶインタビューも掲載している。
また、「週刊文春 電子版」では、馬場氏の男性市議に対する“公認パワハラ”音声を公開している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)