大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で平成29年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」での出産に臨んだ女性=当時(31)=が死亡し、遺族が医療法人と男性院長に計約8300万円の損害賠償を求めた大阪地裁での訴訟で、医院側が7500万円を支払う内容で和解したことが4日、分かった。
裁判手続き外の和解で、遺族側は訴訟を取り下げて7月25日付で終結した。
女性は長村千恵さん。訴状によると、29年1月、同院で無痛分娩で出産しようとした際に局所麻酔を受けたが、呼吸困難で意識不明となり、10日後に脳機能損傷で死亡した。子供は帝王切開で生まれ無事だった。
遺族側は、麻酔時に背中から挿入した管(カテーテル)の位置が不適切だったため呼吸困難に陥ったとして、医院側の注意義務違反などを主張していた。
院長は、業務上過失致死容疑で書類送検されたが、大阪地検が嫌疑不十分で不起訴処分とした。クリニックは昨年1月、地裁から破産手続きの開始決定を受けた。