《令和3年に発生した京王線無差別刺傷事件で、東京地裁立川支部で開かれている服部恭太被告(26)の裁判員裁判。
被告人質問は弁護人からの質問が終わり、昼の休廷を挟んで午後1時10分に再開された。検察官による質問が始まった》
検察官「なぜ、東京で事件を起こそうと考えたのですか?」
被告「大量殺人を企てるうえで、パッと東京のハロウィンの光景が浮かびました」
検察官「地元では知り合いを巻き込む恐れがあると思ってやめたのでは?」
被告「それもあったと思います」
検察官「電車の中で事件を起こそうと思ったのは、小田急の事件を見て?」
被告「はい。逃げるところがなく、確実に多くの人を殺せると思いました」
《「小田急の事件」とは、同年8月6日、走行中の小田急線車内で男が乗客を刃物で刺した事件のことだ》
検察官「なぜ、ライターのオイルを使用しようと思ったのですか?」
被告「ガソリンの入手方法が分からず、日常的にコンビニで買えるライターオイルを思いつきました」
《検察側が質問すると、被告はすぐさま、よどみなく答えていく。やや早口ではあるものの、聞き取りやすい声だ》
《被告は京王線特急の車両内で乗客に向かってペットボトルに入れたライターオイルをまき散らし、点火したライターを投げた。事件前に宿泊していたホテルでは、ある実験を行っていたという》
検察官「ホテルでペットボトルに入れた水をまいたことはありますか?」
被告「バスルームで2リットル入りのペットボトルに水を入れた状態で、どうやったら勢いよく飛び散らせることができるのかを試しました」
検察官「ホテルでもライターオイルを燃やしてみたことがありましたね?」
被告「洗面台にオイルを垂らして、火を付けて燃えるか確認しました。量はごく少量でした」
《事件では、乗客の男性1人が胸を刺されて重傷を負っている。被告は犯行に使ったナイフの「試し切り」も行っていた》
検察官「事件を起こす日に、ナイフでスーツケースを刺していましたね?」
被告「はい。スーツケースを貫通させることができました」
《こうして、被告は3年10月31日、京王線の調布駅から新宿行きの特急に乗り込み、犯行に及んだ。事件を説明する上で欠くことができないのは、当日の被告の服装だろう。米人気コミック「バットマン」の悪役「ジョーカー」の姿をまねたことについて、被告の口からその理由が語られた》
検察官「東京に来てからジョーカーをイメージして服を買いましたね。ジョーカーという存在をどのように認識していますか?」
被告「(ジョーカーは)人の命を軽く見ている、人を傷つけることに対して何とも思っていない、と思っていました。自分も(人を殺して死刑になるためには)そのようにならなくてはいけないと思いました。目標というか、ジョーカーになり切ろうと、そう思いました」