札幌市・ススキノ地区のホテル一室で頭部がない男性の遺体が見つかった事件で、死体損壊・領得・遺棄容疑で逮捕された札幌市厚別区厚別南、職業不詳田村瑠奈容疑者(29)の父親の修容疑者(59)は、精神科医として市内の病院に勤務していた。
患者と真摯(しんし)に向き合っていたという修容疑者。病院の関係者からは診療への影響を懸念する声が上がった。
修容疑者は、外来のほか救急患者を受け入れている2次救急医療機関の勤医協中央病院(札幌市東区)に勤務。病院関係者の女性によると、精神科の「1人科長」として、入院患者のうち精神的ケアが必要な患者への対応を担ってきた。外科に関する処置などは一切していなかったという。
事件後も事件前と変わらない落ち着いた様子で働いており、関係者の女性は逮捕を受けて、「今後、院内の精神的ケアは誰が担うのか不安だし、社会の反響も大きく病院の評判が落ちないか心配だ」と話した。
北海道内の人権NPOの男性役員は、部下のカウンセリングに同席した際、修容疑者と話したという。「『焦らないで』と寄り添っていた優しい先生だった」と印象を語る。過労自殺を防ぐためのセミナーで講師を務めるなど積極的に活動しており、男性役員は「自殺を防ぐにはどうしたらいいかを熱弁していた」と思い返していた。
◇ 道警は25日、修容疑者の妻でパート従業員の浩子容疑者(60)を死体損壊・領得・遺棄の疑いで逮捕した。前日に続いて、この日も3人が住む自宅を捜索し、現場検証を行った。
浩子容疑者からノブドウの苗を分けてもらったという近くの70歳代女性は、「事件を起こすように見えない穏やかな人。一家に何があったのか」と困惑の表情を浮かべた。