意識を失った男性を連携プレーで救助し、心肺蘇生などの救命活動に当たったとして、佐賀県の唐津市消防本部が、唐津西高(唐津市)の野球部員ら4人に感謝状を贈り、「救命講習のお手本のような行動」とたたえた。
(喜多孝幸)
感謝状を受けたのは野球審判員の病院事務職員杉山幸也さん(50)(唐津市)▽唐津西高野球部副部長の教諭中島重男さん(64)(佐賀市)▽同校2年の野球部員田中哲史さん(17)(唐津市)▽佐賀工業高野球部保護者の整体師中島敬史さん(49)(佐賀市)。
市消防本部によると、6月18日、唐津西高で、同校と佐賀工業高(佐賀市)の野球部が練習試合を行う前に、佐賀工業高の男性教諭が突然ベンチでうつぶせに倒れた。4人はあおむけにして気道を確保したり、心臓マッサージと自動体外式除細動器(AED)での心肺蘇生を行ったりして、119番から8分後に到着した救急隊員に引き継いだ。男性は救急車内で意識を回復した。
表彰式で吉田弘志消防長が「ファインプレー」とひときわ称賛したのが、田中さんの行動。田中さんは数か月前、学校で救急救命の講習会に参加し、AEDの使い方などを学んでいた。その際、校内2か所にあることを覚えていた。
「AEDを持ってきて」――。杉山さんの大声の指示に田中さんは素早く反応。約50メートル離れた校舎にダッシュし、AEDを持ち出し、迷わずに運ぶことができた。
田中さんは外野手で、「ふだんからグラウンド全体を見回してプレーする癖がついていた。だからAEDがある場所も頭の中に入っていたのかも」と振り返る。「『何としてでも早くAEDを運ばなきゃ』と夢中だった。この体験が将来の人生に生きるかもしれない」と笑顔を見せた。