昭和の昔あたりまで、日本の夫婦は「大黒柱」と「家内」の関係が標準スタイルでした。しかし令和となった今、夫婦の形は時代の進化とともに大きく変わりました。その背景に最も影響を受けているのは、共働き夫婦が増えたこと。
妻も夫と同じだけの時間を仕事に充てるようになれば、おのずと家事や子育てをする時間は限られます。夫の協力なしには、健全な家庭を運営していくことが難しくなるでしょう。
しかし困ったことに「家事は女(妻)の役割」という意識から抜け出せない夫は少なくありません。その証拠に、夫は家事を「手伝う」などと表現します。それでは子どもがママのお手伝いをするのと一緒。いい大人なのに、困ったものです(笑)。
一見、夫婦で対等な立場を築けているように見えても、家のこととなると「妻におまかせ」な夫。どうすれば、妻も納得できる「対等な夫婦関係」を構築できるのでしょうか。
家庭を「企業」のように定義しよう社会という集団の中で生きていく上で、誰もがあらゆる組織に所属しています。中でも家庭は最小単位の組織です。その家庭を企業になぞらえてみると、企業に勤める多くの男性(夫)にも、家庭という組織を運営していくイメージがしやすくなるかもしれません。
家庭が企業だとすれば、CEO(代表責任者)は夫、CCO(最高責任者)は妻です(もちろん逆でもOK)。家庭に子どもがいれば、彼らも運営スタッフの1人です。
家は社屋、家庭を快適に維持し豊かにすることは経営そのもの。スタッフ全員(家族)が家庭という組織を運営する意識を持ち、家計という経理がきちんと管理されていなければ、経営が立ち行かなくなる恐れもあります。
家事は家庭における仕事。基本は妻が仕切るとしても、それぞれの家事に担当責任を持たせるようにすれば、「手伝う」意識から脱するのではないでしょうか。
ちなみに我が家(夫婦のみ)では「料理は夫、洗濯は妻、掃除その他は時間(および体力)に余裕のあるほうがやる」スタイル。
特に話し合って決めたわけではないのですが、おのおの得意なほうを自ら進んで引き受けたり、妻である筆者が(仕事量の増加により)夫へ家事を頼んだりしているうちに、このような分担となりました。おかげで快適に暮らせています。
QOLを上げれば家族全員が豊かさと幸福を味わえる家庭におけるQOL(生活の質)を上げることは、家族の快適さをアップすることとイコールです。QOLといっても大げさなものではなく、ほんのちょっとの不便さを解決したり、今までなかった便利なものを導入するだけ。
例えば、毎回開け閉めのたびにきしむドアに潤滑剤を充填したり、夏場の今であればエアコンの効率アップにサーキュレーターを導入したりするなど、QOLを上げる方法は無限にあります。
中でも家事を楽にするアイテムは、その家事を負担に思う家族にとっても、楽になった家族の笑顔が増えることにおいても、QOL爆上がりです。
例えば、食器洗い乾燥機、洗剤を自動投入できる全自動洗濯乾燥機、お掃除ロボットなど、令和の今は家事を家電任せにできます。お財布が許すようであれば、それらの導入を検討してみてはいかがでしょうか。あるいは家事代行などもおすすめです。大掃除のときだけでもプロに頼めれば、楽に快適な空間を保つことができます。
お互いが面倒な「どっちが家事をやる」問題。そのうちのいくつかは、文明の進化やアウトソーシングで解決できるのです。
「対等」にこだわりすぎると夫婦は破綻する夫婦が対等でありたい気持ちは、ほぼ妻側だけの意識であり、夫のほうはそこまで難しく考えていないのが実態です。妻のあなたが「私ばかり」と思ってしまうのは、夫が無責任だったりだらしなかったりするだけでなく、相対的に「できる妻」だからこそ。
そもそも互いをパートナーに選んだ当時から、2人は対等な関係だったのでしょうか。家族となるスタートラインから、どちらかが頼る(頼られる)立場でうまくいっていたのだとすれば、無理に崩してまで対等であろうとしないほうがうまくいくのではないかと筆者は考えます。
もちろん、長く夫婦をやっているうちに、立場が逆転することもあるでしょう。夫の転職で大黒柱が妻にシフトしたり、子どもが産まれて家庭を仕切るポジションが妻になったり、逆に働けなくなった子育て中、夫に頼らざるを得なくなったり……。
そんなときも、家庭を企業になぞらえ「全員で運営する」ことを主軸にすれば、それぞれがどんな役割を果たせばいいのかが見えてくるはず。必ずしも対等な関係がベストではないと思います。
元気なほうが働く、やれるほうが家事をやる、病気のときは休む。その時々でフレキシブルに動き、サポートしあえる関係こそが「かけがえのない家族」ではないでしょうか。そのための話し合いや「一緒に家庭を築く」意識を持つことは、対等な立場で取り組むことが前提です。