《福岡バーベキュー4人死傷》「身勝手すぎる!」怒号鳴りひびく“大荒れ”保護者説明会「3時間全内幕」 遺族への不誠実な対応も疑問視された学校の“オロオロ対応” から続く
「真実かどうか。それを確かめないのは犯罪、嘘つきだ」
【証拠の1枚】たくさんの職員が働く中で、理事長が急に男性職員の頭をたたいた決定的瞬間
室内に響いたのは、“ハリビ”理事長の怒号だった――。
先月、恒例行事のバーベキュー大会で、職員が燃え盛るコンロにアルコールを投入するというあり得ない行為が引き鉄になり、男子生徒1名の尊い命が失われた。男性職員の軽率さもさることながら、そもそもバーベキューの火の管理にアルコールを使うことは、事件の舞台になった「ハリウッドワールド美容専門学校」、通称「ハリビ」の理事長の発案であることがわかっている。
学校と理事長の安全管理に厳しい視線が向けられる中、同校には事故を招きかねない体質があったことが文春オンラインの取材で見えてきた。
「おかしなところはたくさんありますよ」
こう語るのは、ハリビに通うある学生だ。
「ハリビでは登校時や帰宅時、他にも様々なシーンで、現理事長のお父さんで学校の創設者である初代理事長像に挨拶をしないといけないんです。先生たちは生徒がちゃんと挨拶しているかをチェックしていて、もし挨拶を怠ると授業を受けさせてもらえません」
技術を学ぶために入った学校で、特に思い入れもない創設者に頭を下げさせられてはかなわないが、このしきたりは学内で徹底されている。
行事前の初代理事長への挨拶(読者提供)
「朝礼でも先生たちは銅像に向かって『まことなりー』と挨拶をしています。儀式の意味はわかりませんが、もし声が小さかったりすると現理事長からきつく叱られるみたいです。実際、それで怒鳴られている職員を見かけたことがあります」(同前)
理事長が職員を叱責するのはハリビの日常茶飯事だったという。事故を起こしてしまった男性職員Aもその標的だった。理事長からたびたび怒鳴りつけられ、疲れ切ったような様子のAは生徒から心配されるほどだったという。
「ハリビ」の内部事情を知るB氏は「学校経営は理事長一族の独裁ですから」とあきらめの表情で言う。
「理事長一家にかかる家族の経費と学校経営の会計はほぼ一体です。具体的には校用車名目で購入した車をプライベートで乗り回していたり。そのくせ本当に業務で使用する校用車を汚したり、傷つけたりしようものなら、職員の自己負担ですからね。おかしなことだらけですが、理不尽だと反発したら最後、理事長から目をつけられお叱りを受ける日々が始まります」
事故を起こしてしまったAも理事長のターゲットになっていた。“お叱り”を受ける日々に疲れ果てたAは、事故に先立つ5月15日には辞職の意向を校長に伝えていた。20日には、15分の遅刻を理事長から強く咎められ、退職届を書くよう強いられている状況だったという。
Aの置かれた職場環境と事故の因果関係はわからない。だが、Aに限らず「ハリビ」に勤める職員らにとって、理事長一族の高圧的な態度に耐えかねて、辞職を考えるケースは珍しいことではなかった。B氏が続ける。
「3年前、残業代や目標達成時に支給されるはずのボーナスが支払われていないことについて、『約束を果たしてほしい』と経営側に訴えた職員がいました。その2週間後、理事長は彼に『解雇ばい』と急に通告します」
突然の解雇通告と転職活動の強制 労使交渉に応じないどころか、一方的に解雇通告というのも驚きだが、ここから勇気ある職員にとっては針のむしろの日々が始まった。「学校の業務を一切させず、就労時間を使って転職活動をするよう強制されていました。しかもハリビを辞めた後はどこに行くのかをしつこく聞かれ、転職先の候補をリストにして理事長に報告するよう強いられたそうです」(同前) あたりまえのことながら、現在の勤務先に次の職場がどこなのか報告する義務も義理もない。突然の解雇通告とおかしな転職活動の強制。異常さはこれで終わらない。「彼はしぶしぶ理事長室まで転職先の報告に行ったのですが、手帳に記された転職先のリストを見た理事長から『メモの字が汚い』となじられてしまいます。それと同時に、左の後頭部あたりを殴打されたそうです」(同前) この職員が理事長に手をあげられたのは1度ではない。2度目の“暴行”の瞬間を収めた映像を文春オンラインは入手した。この時一体なにがあったのか。B氏が解説する。「理事長室で頭を殴られた約1週間後です。校長の指示で、学校の業務をやっていた彼を見咎めた理事長が『転職活動以外やってはならんだろう』と言いながらこの職員の頭を殴ったんです」理事長の怒鳴り声の音声を入手 労働条件に異議を唱えただけで、理事長の中でこの職員はたちまち“敵”となってしまったのか。なにより、理事長の一連の振る舞いが決してレアケースではないことこそ問題だ。「ハリビ」の売りは、生徒の就職率の高さにもある。まさに経営の生命線。この一線を超えたとき、理事長の怒りは爆発する。就職をサポートする職員が、まだ内定をもらっていない生徒がいることを理事長に報告した際の音声を入手した。「なんで決まらんかった。約束はちゃんと守れ!」「答えは現地にある!」「事実を伝えとるだけで、それは真実じゃない!」「真実かどうか。それを確かめないのは犯罪、嘘つきだ!」 理事長のがなり声に立ちすくむ職員の姿が目に浮かぶ。叱責は50分にも及んだ。ハラスメントの事実を学校に確認すると…「トイレに立つと理事長が後を追っかけてきて、『甘えるな! 仕事せんなら帰れ』と言われた女性職員もいます。用を足しに席を外したのはほんの2、3分ですよ? あまりの環境に耐えかねて労働審判に訴え出た職員もいます。おかしな事例は挙げればきりがありません。でもそんな理事長の専横に嫌気が差して辞めて行った人とは、一切連絡を取らないよう強く命じられます」(学校関係者) 2020年以降、少なくとも7名の職員が退職代行を使って「ハリビ」を去っているという。理事長一族によるハラスメントとも横暴ともとれる一連の証言は事実なのか。学校に取材したところ、例のごとく学園長の古賀郁氏が応じた。「個人にかかわることですので、お答えいたしかねます」 これまで古賀氏は「事実を報じてほしい」と文春オンラインの取材に対応してきたが、今回の件に関しては口が重い。「ハリビ」体質の根はかなり深そうだ。(「文春オンライン」特集班)
労使交渉に応じないどころか、一方的に解雇通告というのも驚きだが、ここから勇気ある職員にとっては針のむしろの日々が始まった。
「学校の業務を一切させず、就労時間を使って転職活動をするよう強制されていました。しかもハリビを辞めた後はどこに行くのかをしつこく聞かれ、転職先の候補をリストにして理事長に報告するよう強いられたそうです」(同前)
あたりまえのことながら、現在の勤務先に次の職場がどこなのか報告する義務も義理もない。突然の解雇通告とおかしな転職活動の強制。異常さはこれで終わらない。
「彼はしぶしぶ理事長室まで転職先の報告に行ったのですが、手帳に記された転職先のリストを見た理事長から『メモの字が汚い』となじられてしまいます。それと同時に、左の後頭部あたりを殴打されたそうです」(同前)
この職員が理事長に手をあげられたのは1度ではない。2度目の“暴行”の瞬間を収めた映像を文春オンラインは入手した。この時一体なにがあったのか。B氏が解説する。
「理事長室で頭を殴られた約1週間後です。校長の指示で、学校の業務をやっていた彼を見咎めた理事長が『転職活動以外やってはならんだろう』と言いながらこの職員の頭を殴ったんです」
理事長の怒鳴り声の音声を入手 労働条件に異議を唱えただけで、理事長の中でこの職員はたちまち“敵”となってしまったのか。なにより、理事長の一連の振る舞いが決してレアケースではないことこそ問題だ。「ハリビ」の売りは、生徒の就職率の高さにもある。まさに経営の生命線。この一線を超えたとき、理事長の怒りは爆発する。就職をサポートする職員が、まだ内定をもらっていない生徒がいることを理事長に報告した際の音声を入手した。「なんで決まらんかった。約束はちゃんと守れ!」「答えは現地にある!」「事実を伝えとるだけで、それは真実じゃない!」「真実かどうか。それを確かめないのは犯罪、嘘つきだ!」 理事長のがなり声に立ちすくむ職員の姿が目に浮かぶ。叱責は50分にも及んだ。ハラスメントの事実を学校に確認すると…「トイレに立つと理事長が後を追っかけてきて、『甘えるな! 仕事せんなら帰れ』と言われた女性職員もいます。用を足しに席を外したのはほんの2、3分ですよ? あまりの環境に耐えかねて労働審判に訴え出た職員もいます。おかしな事例は挙げればきりがありません。でもそんな理事長の専横に嫌気が差して辞めて行った人とは、一切連絡を取らないよう強く命じられます」(学校関係者) 2020年以降、少なくとも7名の職員が退職代行を使って「ハリビ」を去っているという。理事長一族によるハラスメントとも横暴ともとれる一連の証言は事実なのか。学校に取材したところ、例のごとく学園長の古賀郁氏が応じた。「個人にかかわることですので、お答えいたしかねます」 これまで古賀氏は「事実を報じてほしい」と文春オンラインの取材に対応してきたが、今回の件に関しては口が重い。「ハリビ」体質の根はかなり深そうだ。(「文春オンライン」特集班)
労働条件に異議を唱えただけで、理事長の中でこの職員はたちまち“敵”となってしまったのか。なにより、理事長の一連の振る舞いが決してレアケースではないことこそ問題だ。
「ハリビ」の売りは、生徒の就職率の高さにもある。まさに経営の生命線。この一線を超えたとき、理事長の怒りは爆発する。就職をサポートする職員が、まだ内定をもらっていない生徒がいることを理事長に報告した際の音声を入手した。
「なんで決まらんかった。約束はちゃんと守れ!」
「答えは現地にある!」
「事実を伝えとるだけで、それは真実じゃない!」
「真実かどうか。それを確かめないのは犯罪、嘘つきだ!」
理事長のがなり声に立ちすくむ職員の姿が目に浮かぶ。叱責は50分にも及んだ。
「トイレに立つと理事長が後を追っかけてきて、『甘えるな! 仕事せんなら帰れ』と言われた女性職員もいます。用を足しに席を外したのはほんの2、3分ですよ? あまりの環境に耐えかねて労働審判に訴え出た職員もいます。おかしな事例は挙げればきりがありません。でもそんな理事長の専横に嫌気が差して辞めて行った人とは、一切連絡を取らないよう強く命じられます」(学校関係者)
2020年以降、少なくとも7名の職員が退職代行を使って「ハリビ」を去っているという。理事長一族によるハラスメントとも横暴ともとれる一連の証言は事実なのか。学校に取材したところ、例のごとく学園長の古賀郁氏が応じた。
「個人にかかわることですので、お答えいたしかねます」 これまで古賀氏は「事実を報じてほしい」と文春オンラインの取材に対応してきたが、今回の件に関しては口が重い。「ハリビ」体質の根はかなり深そうだ。(「文春オンライン」特集班)
「個人にかかわることですので、お答えいたしかねます」
これまで古賀氏は「事実を報じてほしい」と文春オンラインの取材に対応してきたが、今回の件に関しては口が重い。「ハリビ」体質の根はかなり深そうだ。
(「文春オンライン」特集班)