岸田首相は、現行の健康保険証を2024年秋に原則廃止し、マイナンバーカードに一本化する政府方針について、廃止期限の延期を視野に新たな対応策の検討に入った。
マイナカードを巡り相次ぐトラブルを受け、国民の不安を払拭(ふっしょく)する狙いがある。複数の政府関係者が明らかにした。
首相は28日、マイナ保険証への移行について、「移行のあり方は引き続き、関係者の声や意見を聞いていく。その中で政府の対応を考えていきたい」との認識を示した。東京都内で記者団に語った。
首相は記者団から延期する可能性を問われると、「現場の声や意見は大切にしなければならない」と述べ、来週にも記者会見を開いて自ら政府の対応を説明する意向を表明した。
廃止期限の延期は法改正が必要となるため、政府内には慎重論もある。厚生労働省などは、マイナ保険証の未取得者に発行する「資格確認書」の利便性を向上させる案を推している。有効期限について、政府は「1年間を限度に保険者が設定する」と説明していたが、一律に定めない仕組みに変更することも検討されている。
首相は新たな対応策について、世論を見極めながら慎重に判断する方針だ。