東京都調布市を走行中の京王線で2021年10月、乗客を刺して車内に放火し、計13人を殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われた服部恭太被告(26)の裁判員裁判の公判が27日、東京地裁立川支部であり、ナイフで胸を刺された70歳代の乗客男性の証人尋問が行われた。
服部被告や傍聴席から見えないように法廷はパーティションで仕切られた。男性は現在も歩く時はつえを使い、「右手が震え、字も書くことができない」と述べた。男性は長年、警備員の仕事をしていたが、事件後は働くことができず、昨年12月に退職したという。
これまで、服部被告からの謝罪はないといい、「謝りもできない人間は、それなりの罪を負ってほしい」と語気を強めた。服部被告は終始、机の上の資料などに目を向けて、表情を変えることなく、じっと男性の発言を聞いていた。
この日は、乗り合わせた別の男性の証人尋問も行われた。服部被告が刃物を手にし、70歳代男性にスプレーを噴射しているのを目撃し、「殺されると思い、即座に逃げた」と証言。「刃物を持ったやばいやつがいます」と言って、ほかの乗客に危険を知らせると、車内がパニック状態になったと述べた。