熊本市の雑居ビルで、全身を布で巻かれた女性の遺体が見つかった事件。女性は交際相手に「帰る」とSNSでメッセージを送った後、連絡がつかなくなったことが分かりました。
■死因は「窒息死」だが…首を絞めた痕はなし
辰島さんの親族:「とにかく(犯人が)早く捕まってほしいだけです」
遺体で見つかった派遣社員の辰島ありささん(29)。行方が分からなくなった日の詳細が、徐々に分かってきました。
先月27日、アルバイト先の飲食店で働いていた辰島さん。日付が変わった28日午前1時ごろ、店を出ました。
辰島さんは同居している交際相手に「帰る」とSNSでメッセージを送った後、連絡がつかなくなったということです。
司法解剖の結果、死亡推定時刻は28日の午前。死因は窒息死と判明しました。ただ、明らかに首を絞められた痕はなく、どのように窒息死したのかは分かっていません。
警察は、殺人・死体遺棄事件と断定し、31日に100人体制の捜査本部を設置しました。
■住人が遭遇 “不審人物”に話し掛けられる
遺体が見つかったビルは、1階と2階に店舗が入居。3階から6階は住居になっていて、7階と8階は以前はカラオケ店でしたが、現在は空き店舗となっています。
ビルの住人は、警察から遺体の発見場所を聞いていました。
遺体発見現場のビルの住人:「(現場は)7階かなというのは聞いた」「(Q.7階から発見されたと?)そうですね」
ビルにはエレベーターが2基ありますが、1基は7階と8階の閉店したカラオケ店専用のもので、今は使われていないといいます。
遺体発見現場のビルの住人:「6階までしか住民用のエレベーターが、そもそも使えないので。非常階段も7階まで行けるんですけど、7階(フロア)は入れないので」
別の住人は、事件との関連は不明ですが、27日か28日の午前0時ごろ、散歩から帰ってくるとエレベーター付近に見知らぬ男性がいたといいます。そして、突然こんなことを話し掛けられました。
遺体発見現場のビルの住人:「34~35(歳)の人かな、背の高い人です。『何か音がしなかったか』と言って、そういう感じで」「(Q.何の音を気にされていた?)エレベーターの音です。『何かゴトゴト音しなかったのか』と」「(Q.聞かれた?)はい、そうですね。その時に『聞いていないです』という感じで答えたんです」
住人は、見知らぬ男性をエレベーターの修理業者だと思ったといいます。
遺体発見現場のビルの住人:「エレベーターの管理をやっている人じゃないですかね」「(Q.どんな作業着?)つなぎじゃなかったと思うけど。黒、ズボンが黒で、上着がグレーみたいな感じ」
ビルに入っている店舗に確認したところ、エレベーターの工事はなかったということです。男性は、なぜ真夜中にエレベーター付近にいたのか。そして、なぜ住人に物音を確認したのでしょうか。
■顔見知りの犯行?…専門家「強い思いあったか」
将来のために、勉強をしていたという辰島さん。
辰島さんの親族:「自分でいろんな勉強をして。エステとかネイリストとか、技術的に習得しようとしていたのでは」「(Q.夢に向かって?)そうですね。はい」
娘が辰島さんの小学校の同級生だという人は、次のように話します。
辰島さんを知る人:「ずいぶん前ですけど会った時、コールセンターに勤めているとおっしゃった。4、5年前になるかもしれない」
頭から足先まで布でくるんだ辰島さんの遺体をビルの一室に放置して立ち去った犯人。専門家は、顔見知りによる犯行の可能性を指摘します。
東京未来大学 犯罪心理学・出口保行教授:「犯罪が起きた場合というのは、加害者側というのはすぐに逃走するというのが当たり前なんですね。ところが今回、布で巻くというようなことをしている。それだけ時間をご遺体と一緒に費やしている。そこから見ても、加害者は被害者に対して何らかの強い思いがあったのではないかなと」