5月18日に東京・目黒の自宅で死亡した母親の自殺を手助けしたとして、警視庁が27日、自殺ほう助容疑で歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)容疑者(47)を逮捕した。
猿之助容疑者はこの日、入院先の都内病院から任意同行を求められたとみられ、午前9時半ごろに同病院を出て、午前10時24分ごろ、目黒署に入った。シルバーのワンボックスカーはカーテンでおおわれ、猿之助容疑者の姿は見えず。厳重な体制が敷かれ、目黒署の敷地内にはテントが立てられ、ブルーシートも張られ、猿之助容疑者や捜査員が車を降りる様子も見えないようになっていた。200人ほどの報道陣が集まり、一時は騒然とした様子になった。
事件をめぐっては、先月18日午前10時15分ごろ、猿之助容疑者のマネジャーが、自宅で倒れていた猿之助容疑者と両親を発見。両親は2階リビングで倒れ、猿之助容疑者は半地下にある自室のクローゼット内で意識がもうろうとした状態で発見され、猿之助容疑者の父で歌舞伎俳優の市川段四郎(喜熨斗弘之)さん(当時76)と母の延子さん(当時75)はいずれも死亡。両親は薬物中毒で死亡した疑いがあり、猿之助容疑者も搬送時、薬物中毒が疑われる形跡があった。
今後は、父段四郎さんの死亡に関与した疑いでも調べを進めるという。
<猿之助容疑者をめぐるこれまでの経緯>
▼5月18日 都内の自宅で両親とともに倒れているのが発見される。この日発売の一部週刊誌でハラスメント疑惑が報じられた。
▼同19日 病院を退院。両親の司法解剖が行われ、向精神薬中毒で亡くなった疑いがあると判明し、一家心中を図った疑いも浮上。
▼同20日 警視庁の調べに、倒れているのが発見された前日の17日に「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」と説明した。
▼同21日 松竹が公式ホームページで「新たに申し上げられることはございません」。
▼同22日 両親の葬儀について見通しが立っていないことが分かる。
▼同23日 松竹が定時株主総会を開催。87人の株主が出席し、歌舞伎俳優の後継者育成を進めて欲しいなどの要望が出される
▼同24日 警視庁が都内の警察施設で猿之助容疑者から再び事情を聴いていることが判明
▼6月1日 出演予定だった映画「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」公開延期が発表される
▼同3日 「七月大歌舞伎」(7月3~28日、東京・歌舞伎座)、「八月納涼歌舞伎」(8月5~27日)、「新・水滸伝」(9月3~24日、京都南座)、「立川立飛歌舞伎特別公演」(10月25~28日、立川ステージガーデン)の休演が発表される
◆市川猿之助(いちかわ・えんのすけ)本名・喜熨斗孝彦(きのし・たかひこ)。1975年(昭50)11月26日、東京都生まれ。父は4代目市川段四郎。祖母は女優高杉早苗で、俳優の香川照之(市川中車)は、いとこにあたる。慶大文学部卒。80年、歌舞伎座「義経千本桜」で初お目見えし、83年に2代目市川亀治郎として初舞台。12年、4代目市川猿之助を襲名。最近では、昨年10月期のテレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」枠「最初はパー」で澤村銀平役で出演するなど、活躍していた。
◆主な相談窓口
・日本いのちの電話
ナビダイヤル=0570・783・556(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル=0120・783・556(午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時)
・日本いのちの電話連盟

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