5月29日、東京・新宿の歌舞伎町で男性(28)が刺され、その後に死亡した事件で警視庁は殺人の疑いで勝又文弘容疑者(54)を逮捕した。現場は歌舞伎町で「ヤクザマンション」などと呼ばれることもあるマンション。そこで起きたのは被害者も加害者も「身内のヤクザ同士」という刺殺事件だった。何があったのか。
【閲覧注意】今月は“ヤクザ”による死傷事件が立て続けに…凄惨な現場のようす 事件が起こったのは29日午前2時50分ごろのこと。「現場は、複数の暴力団組織が事務所を構える新宿・歌舞伎町のマンションでした。後に殺人容疑で逮捕される勝又容疑者がマンションの部屋のインターホンを押し、ドアを開けた被害者に突然襲いかかったと見られています」

事件現場のマンション と、担当記者。かねてから「ヤクザマンション」と呼ばれることがあり、人気漫画「殺し屋1」の舞台と伝えられたこともある。場所が場所だけに加害者も被害者も暴力団関係者なのだという。地下格闘技に「刺されて死亡したのは、住吉会の2次団体・向後睦会の傘下組織に所属する組員の舎弟だったとのことです。逮捕された勝又容疑者もかつて向後睦会系列の組に所属したことがあるようです」 と語るのは、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現・NPO法人「五仁會」主宰)。 つまり、身内のヤクザの間で起こった刺殺事件というわけだ。「被害者は地下格闘技にプレイヤーとして関与していたようで腕っぷしに自信があったのでしょう。たまたま歌舞伎町で飲食をしていた勝又容疑者を見つけた際に恫喝なのか脅迫なのか、あるいは手をだしたのかわかりませんが、何らかのちょっかいをかけたようです。これを恨んだ勝又容疑者が若い衆の部屋に来てしまったという流れですね」(同) 加害者も被害者も身内なだけに、居候する場所がどこかを割り出すなど朝飯前だったのだろう。被害者は発見時、胸や首などを10か所以上、刃物で刺されていたという。当時、その部屋には4~5人がいた。破門されていた加害者「勝又容疑者は過去に覚せい剤取締法違反の罪で15年ほど、刑務所で服役したと聞きました。刑期が長いのは摘発されたブツの量が多かったせいかもしれません。ハッキリとはしないのですが、出所後に捜査当局に組織の内部事情を密告した可能性を問われたとかで、破門となっています」(同) 元組員が現組員の舎弟を刺し殺すという物騒な事件の背景にはヤクザの弱体化があると、竹垣氏は語る。「暴排条例で疲弊したヤクザにコロナ禍が追い討ちをかけ、いよいよ彼らが資金源を絶たれ、力を失ってきたのは周知のことでしょう。看板で飯を食ってきたヤクザが看板で仕事ができなくなり、相対的に半グレや、カタギとは名ばかりの真っ当ではないシノギに手を出す元ヤクザがのさばり出したという状況があります」ヤクザの側に力があった時代なら 良くも悪くも、暴力団が強かった時にはこんな身内の揉め事が大事に発展することは抑えられる可能性があったということなのか。「もう少しヤクザの側に力があった時代なら勝又容疑者も、相手のバックを恐れて報復に出なかったかもしれないですね。要するに、ヤクザが舐められている状況になっているわけです」(同) 竹垣氏によれば、特に覚せい剤絡みで組織を破門になったような元ヤクザは、行儀が悪いタイプが少なくないのだとか。「元々節操がないから組を追い出されたとも言えるかもしれませんが。現役ヤクザの方も食えないから覚せい剤に手を出し、元ヤクザとシノギでかち合うこともままあるわけで、貧すれば鈍すを地で行くような状況です」(同) カタギを巻き添えにだけはしないでほしいものである。デイリー新潮編集部
事件が起こったのは29日午前2時50分ごろのこと。
「現場は、複数の暴力団組織が事務所を構える新宿・歌舞伎町のマンションでした。後に殺人容疑で逮捕される勝又容疑者がマンションの部屋のインターホンを押し、ドアを開けた被害者に突然襲いかかったと見られています」
と、担当記者。かねてから「ヤクザマンション」と呼ばれることがあり、人気漫画「殺し屋1」の舞台と伝えられたこともある。場所が場所だけに加害者も被害者も暴力団関係者なのだという。
「刺されて死亡したのは、住吉会の2次団体・向後睦会の傘下組織に所属する組員の舎弟だったとのことです。逮捕された勝又容疑者もかつて向後睦会系列の組に所属したことがあるようです」
と語るのは、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現・NPO法人「五仁會」主宰)。
つまり、身内のヤクザの間で起こった刺殺事件というわけだ。
「被害者は地下格闘技にプレイヤーとして関与していたようで腕っぷしに自信があったのでしょう。たまたま歌舞伎町で飲食をしていた勝又容疑者を見つけた際に恫喝なのか脅迫なのか、あるいは手をだしたのかわかりませんが、何らかのちょっかいをかけたようです。これを恨んだ勝又容疑者が若い衆の部屋に来てしまったという流れですね」(同)
加害者も被害者も身内なだけに、居候する場所がどこかを割り出すなど朝飯前だったのだろう。被害者は発見時、胸や首などを10か所以上、刃物で刺されていたという。当時、その部屋には4~5人がいた。
「勝又容疑者は過去に覚せい剤取締法違反の罪で15年ほど、刑務所で服役したと聞きました。刑期が長いのは摘発されたブツの量が多かったせいかもしれません。ハッキリとはしないのですが、出所後に捜査当局に組織の内部事情を密告した可能性を問われたとかで、破門となっています」(同)
元組員が現組員の舎弟を刺し殺すという物騒な事件の背景にはヤクザの弱体化があると、竹垣氏は語る。
「暴排条例で疲弊したヤクザにコロナ禍が追い討ちをかけ、いよいよ彼らが資金源を絶たれ、力を失ってきたのは周知のことでしょう。看板で飯を食ってきたヤクザが看板で仕事ができなくなり、相対的に半グレや、カタギとは名ばかりの真っ当ではないシノギに手を出す元ヤクザがのさばり出したという状況があります」
良くも悪くも、暴力団が強かった時にはこんな身内の揉め事が大事に発展することは抑えられる可能性があったということなのか。
「もう少しヤクザの側に力があった時代なら勝又容疑者も、相手のバックを恐れて報復に出なかったかもしれないですね。要するに、ヤクザが舐められている状況になっているわけです」(同)
竹垣氏によれば、特に覚せい剤絡みで組織を破門になったような元ヤクザは、行儀が悪いタイプが少なくないのだとか。
「元々節操がないから組を追い出されたとも言えるかもしれませんが。現役ヤクザの方も食えないから覚せい剤に手を出し、元ヤクザとシノギでかち合うこともままあるわけで、貧すれば鈍すを地で行くような状況です」(同)
カタギを巻き添えにだけはしないでほしいものである。
デイリー新潮編集部