世間を騒がせたガーシー(本名・東谷義和)容疑者の逮捕劇は、警察当局にとって「SNSマフィア」と呼ばれる“SNSを使った恐喝集団”を一掃する入り口に過ぎないという。警視庁の真の思惑と、ガーシー容疑者の先に見据えるターゲットの存在に迫った。
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【写真8枚】日本へ帰国する機内でのガーシー容疑者 エコノミークラスの最後列の席でスマホを操作していた 5月4日、逃亡先のアラブ首長国連邦(UAE)から帰国後、成田空港で逮捕されたガーシー容疑者。しかし警視庁は「これで一件落着」とは考えていないという。

「当局はガーシー容疑者を確実に起訴する意気込みで、早期の保釈も考えていないとされます。ガーシー容疑者は接見した弁護士に“(捜査に)協力姿勢でいきます”と伝えたそうですが、捜査関係者の一人は“それと既遂の犯罪事実とは別だ”と話しています」(全国紙警視庁担当記者) ガーシー容疑者が問われているのは、昨年2~8月にYouTubeで配信した動画内で俳優の綾野剛氏や実業家ら3人に対して行った常習的脅迫(暴力行為等処罰法違反)容疑などだ。笑みの意味するところは?「わずか半年の動画配信で、ガーシー容疑者は1億円を超す広告収入を得ていたことが明らかになっています。法定刑が〈5年以下の懲役〉となる常習的脅迫罪は決して軽い罪でなく、それによって得た収入も犯罪収益と認定され、差し押さえの対象になり得る。加えて、この犯罪収益の分け前にあずかった者がいれば、その人物も捜査対象となって罪に問われる可能性があります」(同) 今後の捜査の行方や、ガーシー容疑者の供述次第では追及の矛先が「別の筋」へと向かう余地も残されているという。一網打尽への突破口 警視庁関係者が言う。「ガーシー以外にも、TwitterやYouTubeなどを使って同じような脅迫的行為を働いている連中に関する情報は以前から入ってきており、すでに情報収集を始めている。今回の逮捕が、“暴露するぞ”と脅してカネを巻き上げる他のSNSマフィアへと捜査の網を広げる“突破口になる”と期待する声は多い。実際、ガーシー容疑者と繋がりのある有名な暴露系インフルエンサーXが“ガーシーに晒させるぞ”などと言って、暴露をやめる対価としてカネを受け取っていたという情報にも接している」 現在、ガーシーの次に警視庁が立件を目指しているのが、このXとされる。今春、警視庁に呼ばれてXに関する情報提供を求められた都内在住の実業家がこう話す。「対応したのは、暴力団などが関わる犯罪を扱う組織犯罪対策部犯罪収益対策課の人間でした。ガーシー自身が過去の動画でXの名前を挙げたこともあるそうで、警視庁はXの周囲にうごめく人脈の解明と、Xらから実際に脅迫を受けた被害者を探しているとのことでした」 実はこの間、Xの周辺者から「脅迫された」と警視庁に相談した人間もいたが、「いわゆる“真っ当なカタギ”ではなかったため、被害届は受理されなかった」(同)という。「顔写真」と「チャート図」 前出の実業家が続ける。「犯罪収益対策課の捜査員らはXとその周辺者10名近くの名前と顔写真を押さえ、彼らの関係性を示したチャート図まで作成していました。彼らがチームとなって協働する形で暴露ネタを仕入れ、恐喝相手を選定後、“(Twitterなどに)書くぞ”と言って脅迫。暴露を中止するのと引き換えに、多い時で数千万円単位の金銭を脅し取っていたケースもあると聞きました」 写真やチャート図の存在から「警視庁が本気」なのは容易に見て取れたが、それには理由があるとも。警察当局は、彼らが得たカネの一部が反社勢力へ流れていると睨んでいたという。「警視庁はSNSを使った脅迫行為が、反社組織の新たなシノギになっている可能性について、強い危機感を抱いていた。同様の嫌疑を掛けられているインフルエンサーは他にもいるようでしたが、Xとガーシーが知名度や影響力で際立っており、彼ら“トップ”を叩くことでSNSマフィアと呼ばれる面々を一網打尽にしたいとの話でした」 ガーシー容疑者の“協力”次第では、さらなる大捕り物へと発展するかもしれない。デイリー新潮編集部
5月4日、逃亡先のアラブ首長国連邦(UAE)から帰国後、成田空港で逮捕されたガーシー容疑者。しかし警視庁は「これで一件落着」とは考えていないという。
「当局はガーシー容疑者を確実に起訴する意気込みで、早期の保釈も考えていないとされます。ガーシー容疑者は接見した弁護士に“(捜査に)協力姿勢でいきます”と伝えたそうですが、捜査関係者の一人は“それと既遂の犯罪事実とは別だ”と話しています」(全国紙警視庁担当記者)
ガーシー容疑者が問われているのは、昨年2~8月にYouTubeで配信した動画内で俳優の綾野剛氏や実業家ら3人に対して行った常習的脅迫(暴力行為等処罰法違反)容疑などだ。
「わずか半年の動画配信で、ガーシー容疑者は1億円を超す広告収入を得ていたことが明らかになっています。法定刑が〈5年以下の懲役〉となる常習的脅迫罪は決して軽い罪でなく、それによって得た収入も犯罪収益と認定され、差し押さえの対象になり得る。加えて、この犯罪収益の分け前にあずかった者がいれば、その人物も捜査対象となって罪に問われる可能性があります」(同)
今後の捜査の行方や、ガーシー容疑者の供述次第では追及の矛先が「別の筋」へと向かう余地も残されているという。
警視庁関係者が言う。
「ガーシー以外にも、TwitterやYouTubeなどを使って同じような脅迫的行為を働いている連中に関する情報は以前から入ってきており、すでに情報収集を始めている。今回の逮捕が、“暴露するぞ”と脅してカネを巻き上げる他のSNSマフィアへと捜査の網を広げる“突破口になる”と期待する声は多い。実際、ガーシー容疑者と繋がりのある有名な暴露系インフルエンサーXが“ガーシーに晒させるぞ”などと言って、暴露をやめる対価としてカネを受け取っていたという情報にも接している」
現在、ガーシーの次に警視庁が立件を目指しているのが、このXとされる。今春、警視庁に呼ばれてXに関する情報提供を求められた都内在住の実業家がこう話す。
「対応したのは、暴力団などが関わる犯罪を扱う組織犯罪対策部犯罪収益対策課の人間でした。ガーシー自身が過去の動画でXの名前を挙げたこともあるそうで、警視庁はXの周囲にうごめく人脈の解明と、Xらから実際に脅迫を受けた被害者を探しているとのことでした」
実はこの間、Xの周辺者から「脅迫された」と警視庁に相談した人間もいたが、「いわゆる“真っ当なカタギ”ではなかったため、被害届は受理されなかった」(同)という。
前出の実業家が続ける。
「犯罪収益対策課の捜査員らはXとその周辺者10名近くの名前と顔写真を押さえ、彼らの関係性を示したチャート図まで作成していました。彼らがチームとなって協働する形で暴露ネタを仕入れ、恐喝相手を選定後、“(Twitterなどに)書くぞ”と言って脅迫。暴露を中止するのと引き換えに、多い時で数千万円単位の金銭を脅し取っていたケースもあると聞きました」
写真やチャート図の存在から「警視庁が本気」なのは容易に見て取れたが、それには理由があるとも。警察当局は、彼らが得たカネの一部が反社勢力へ流れていると睨んでいたという。
「警視庁はSNSを使った脅迫行為が、反社組織の新たなシノギになっている可能性について、強い危機感を抱いていた。同様の嫌疑を掛けられているインフルエンサーは他にもいるようでしたが、Xとガーシーが知名度や影響力で際立っており、彼ら“トップ”を叩くことでSNSマフィアと呼ばれる面々を一網打尽にしたいとの話でした」
ガーシー容疑者の“協力”次第では、さらなる大捕り物へと発展するかもしれない。
デイリー新潮編集部