女性市議へのハラスメント行為を巡り、5月29日、地域政党「大阪維新の会」に離党届を提出した笹川理府議(42)が、同じ女性市議に対し、無理やりキスしたとするLINEを送っていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。事実とすれば、強制わいせつ罪に当たる可能性もあるが、笹川氏側は「冗談だった」などと主張している。一方の女性市議はLINEに記されている内容の事実関係について、党本部に報告しているという。
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笹川氏は関西大学大学院修了後、リクルートを経て、2011年に29歳の若さで府議に初当選を果たした。現在4期目。
「5月8日に府議団代表に就任したばかりの “維新のホープ”でした。プライベートでは3人の子を持つ既婚者です」(地元記者)
5月8日に府議団代表に就任したばかりだった笹川氏 共同通信社
「週刊文春」5月18日発売号で報じたのが、大阪維新の会・宮脇希市議(36)へのパワハラやストーカー疑惑などだった。
「宮脇氏は、外資系証券会社勤務やモデル活動を経て、現在3期目の“美人市議”です。2020年に夫から性感染症をうつされた体験を市議会で明かし、性教育の重要性を訴えたことでも話題になりました」(同前)
笹川氏は2015年9月22日の東大阪市議選へ手伝いに行った帰り道に、自分の車に同乗しなかった宮脇氏に激怒し、繰り返し威圧的なLINEを送ったり、別の日には深夜に宮脇氏の自宅を訪れてインターフォンを押したりしていた。一方で、笹川氏と宮脇氏は当時、選挙区が同じで、宮脇氏は先輩議員である笹川氏を表面的には無下にできないという事情もあった。
さらに「週刊文春」5月25日発売号では、東大阪市議選の手伝いに行った翌9月23日朝、笹川氏が宮脇氏に対し、〈希が(略)「一回えっちさせたる」って言われてそうなったら、それでこの関係はお終いになると思う。希がおれといるのが煩わしいって思うなら、そうしてくれれば〉などと、暗に肉体関係を求めるようなLINEを送っていたことを報道。「週刊文春」がこのLINEに関する質問状を送付した直後の5月22日夕方、笹川氏は府議団代表の辞任届を提出していた。その後、笹川氏は5月29日に大阪維新の会に離党届を提出。ただ、議員活動は継続したいとの意向を示しているという。
しかし、笹川氏が送ったLINEはそれだけに留まらなかった。前述の東大阪市議選の手伝いの際、笹川氏が異様に興奮していた様子が複数の選対スタッフに目撃されていたという。そこで、笹川氏は翌9月23日朝8時16分、宮脇氏に対し、以下のようなLINEを送った。
〈だれかに聞かれたらこう答えようと思ってるけど、違うように答えて欲しいってのがあったら、なるべく早く指示ちょうだい!〉
つまり、第三者から「なぜそんなに興奮していたのか」などと聞かれた際、〈こう答えようと思ってる〉内容を伝えたのだ。
〈好きなん?→好きですよ笑〉
笹川氏による“想定問答”はこう続く。
〈二人はできてんの?→向こうに聞いてみてください笑〉
だが、2人が交際していた事実はない。さらに、笹川氏は次のようなLINEも宮脇氏に送っていた。
〈ちゅーはしたん?→酔った時に無理やりしました笑〉
このLINEの通りであれば、笹川氏は宮脇氏に対し、無理やりキスをしたことになる。 実際、維新関係者によれば、宮脇氏は当時、「無理やりキスをしつこく迫ってきて、気持ち悪かった」と洩らし、相当参っている様子だったという。 ハラスメント問題に詳しい法律事務所ナビアスの生田秀弁護士が指摘する。「仮に被害者が抵抗するのを押さえつけてキスをしたような場合、刑法176条の強制わいせつ罪が成立する可能性があります」 宮脇氏に話を聞いた。――無理やりキスを?「コメントは控えさせて下さい」――LINEに記録があるが。「記録があるのは、その通りとしか……。すいません、これ以上は党本部にお願いします」 笹川氏に5月30日、事実関係の確認を求めたところ、大阪維新の会の創設者である橋下徹氏が代表を務める橋下綜合法律事務所の代理人弁護士を通じ、以下のように回答した。「一部のみの切り取りで記事を掲載することのないよう強く警告」「まず、笹川氏によると2015年9月23日に、宮脇希大阪市議との間のLINE上にて、以下のやり取り(註:〈ちゅーはしたん?→酔った時に無理やりしました笑〉など)をされたことは事実のようです。 笹川氏としては、8年近くも前のことであるため、本日(註:5月30日)5時までに前提となる事実関係について正確な記憶を喚起するのは困難であるとのことでしたが、少なくとも、当該やり取りが笹川氏と宮脇氏との間のLINE上のものであること、LINEの節々に『笑』との文字が挿入されていること、その後、宮脇氏からは当該内容に対して否定的な反応はなく、寧ろ宮脇氏からは、『(笹川氏から貰った)指輪返してブレスレットにしとくわ!』(同日12:41)、『ブレスレット毎朝晩付け外しするほどマメちゃうけど』(同日12:42)と、二人の関係性が良好であることを示す内容が送信されていることに照らせば、『無理やりしました笑』との部分は笹川氏による冗談の可能性が極めて高く、両者の中では単なる笑い話として消化されていたことは疑いようがありません。 したがって、くれぐれも、前回の記事の様に、本件LINE上のやり取りの一部のみを切り取り、笹川氏が強制わいせつ行為等を行ったかのような印象を一般読者に与える記事を掲載することのないよう、強く警告申し上げます」 この回答を受け、再び宮脇氏に事実確認を求めたところ、次のように語った。――同意はあったのか?「いや、それだけはないです。起きたことは党本部に報告しています」 笹川氏を巡っては、大阪維新の会は当初、詳しく調査する姿勢を示さず、口頭での厳重注意処分に留めていた。同党代表の吉村洋文知事も5月23日の段階では、笹川氏について「反省しており、議員としての責任を果たしていくことが重要」などと述べている。だが、新たな報道を受け、笹川氏が離党届を提出すると、一転、「議員辞職すべき」と非難するようになった。大阪維新の会は全所属議員を対象にハラスメント被害を調査するとしているが、今後、党としてどのようにハラスメント問題に向き合うのか、対応が注目される。 5月31日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月1日(木)発売の「週刊文春」では、笹川氏が宮脇氏に送った“想定問答”LINEの詳細、維新が笹川氏を巡る問題の調査に後ろ向きだった理由などについても報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月8日号)
このLINEの通りであれば、笹川氏は宮脇氏に対し、無理やりキスをしたことになる。
実際、維新関係者によれば、宮脇氏は当時、「無理やりキスをしつこく迫ってきて、気持ち悪かった」と洩らし、相当参っている様子だったという。
ハラスメント問題に詳しい法律事務所ナビアスの生田秀弁護士が指摘する。
「仮に被害者が抵抗するのを押さえつけてキスをしたような場合、刑法176条の強制わいせつ罪が成立する可能性があります」
宮脇氏に話を聞いた。
――無理やりキスを?
「コメントは控えさせて下さい」
――LINEに記録があるが。
「記録があるのは、その通りとしか……。すいません、これ以上は党本部にお願いします」
笹川氏に5月30日、事実関係の確認を求めたところ、大阪維新の会の創設者である橋下徹氏が代表を務める橋下綜合法律事務所の代理人弁護士を通じ、以下のように回答した。
「まず、笹川氏によると2015年9月23日に、宮脇希大阪市議との間のLINE上にて、以下のやり取り(註:〈ちゅーはしたん?→酔った時に無理やりしました笑〉など)をされたことは事実のようです。
笹川氏としては、8年近くも前のことであるため、本日(註:5月30日)5時までに前提となる事実関係について正確な記憶を喚起するのは困難であるとのことでしたが、少なくとも、当該やり取りが笹川氏と宮脇氏との間のLINE上のものであること、LINEの節々に『笑』との文字が挿入されていること、その後、宮脇氏からは当該内容に対して否定的な反応はなく、寧ろ宮脇氏からは、『(笹川氏から貰った)指輪返してブレスレットにしとくわ!』(同日12:41)、『ブレスレット毎朝晩付け外しするほどマメちゃうけど』(同日12:42)と、二人の関係性が良好であることを示す内容が送信されていることに照らせば、『無理やりしました笑』との部分は笹川氏による冗談の可能性が極めて高く、両者の中では単なる笑い話として消化されていたことは疑いようがありません。
したがって、くれぐれも、前回の記事の様に、本件LINE上のやり取りの一部のみを切り取り、笹川氏が強制わいせつ行為等を行ったかのような印象を一般読者に与える記事を掲載することのないよう、強く警告申し上げます」
この回答を受け、再び宮脇氏に事実確認を求めたところ、次のように語った。――同意はあったのか?「いや、それだけはないです。起きたことは党本部に報告しています」 笹川氏を巡っては、大阪維新の会は当初、詳しく調査する姿勢を示さず、口頭での厳重注意処分に留めていた。同党代表の吉村洋文知事も5月23日の段階では、笹川氏について「反省しており、議員としての責任を果たしていくことが重要」などと述べている。だが、新たな報道を受け、笹川氏が離党届を提出すると、一転、「議員辞職すべき」と非難するようになった。大阪維新の会は全所属議員を対象にハラスメント被害を調査するとしているが、今後、党としてどのようにハラスメント問題に向き合うのか、対応が注目される。 5月31日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月1日(木)発売の「週刊文春」では、笹川氏が宮脇氏に送った“想定問答”LINEの詳細、維新が笹川氏を巡る問題の調査に後ろ向きだった理由などについても報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月8日号)
この回答を受け、再び宮脇氏に事実確認を求めたところ、次のように語った。
――同意はあったのか?
「いや、それだけはないです。起きたことは党本部に報告しています」
笹川氏を巡っては、大阪維新の会は当初、詳しく調査する姿勢を示さず、口頭での厳重注意処分に留めていた。同党代表の吉村洋文知事も5月23日の段階では、笹川氏について「反省しており、議員としての責任を果たしていくことが重要」などと述べている。だが、新たな報道を受け、笹川氏が離党届を提出すると、一転、「議員辞職すべき」と非難するようになった。大阪維新の会は全所属議員を対象にハラスメント被害を調査するとしているが、今後、党としてどのようにハラスメント問題に向き合うのか、対応が注目される。
5月31日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月1日(木)発売の「週刊文春」では、笹川氏が宮脇氏に送った“想定問答”LINEの詳細、維新が笹川氏を巡る問題の調査に後ろ向きだった理由などについても報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月8日号)