29日、京都で忍者の修行に励んでいたのは、6人の外国人観光客です。伊賀流忍者の田中さんから、手裏剣や吹き矢など、2時間みっちり指導を受けました。
(ニュージーランドからの観光客 エリくん(12))
『楽しかった!忍者修行、気に入りました』
大盛況の忍術道場。しかし、最近、“忍者不足”に悩まされていました。
(NINJA DOJO and STORE 市川伊蔵 代表)
『コロナが始まったころに12人いたスタッフが8人に減った。田中さんの場合だと、1週間のうち6日入っている状況』
日本を訪れる外国人の数は、3月の段階で、コロナ前の7割近くまで回復。さらに、ゴールデンウィークを迎え、日本人観光客も増えています。懸念されているのが、観光客が急増したことで起きる弊害、いわゆる「オーバーツーリズム」です。
▼オーバーツーリズム1 飲食店の混雑
先ほど、忍者の修行を終えたエリくんたちは、家族6人で昼食をとる場所を探すのに一苦労。
(ニュージーランドからの観光客 シャーリーさん)
『6人が座れる席がなかったの』
京都市内の飲食店には行列ができることが多く、地元市民の中には、外食を諦めているという人もいました。
(京都市民)
『人が多いので家で作って食べています。(外食は)並ぶので、かなり時間かかるので、それだったら家に帰って食べた方がいいかなと』
▼オーバーツーリズム2 タクシー不足
京都市内では、タクシーが捕まりにくい状況も続いています。
(青山ななみ ディレクター)
『皆さん木陰で雨宿りをしながらタクシーを待ってます』
(韓国からの観光客)
『もう15分以上待っています。傘も持ってきていないんです』
28日にタクシー会社を訪ねてみると…
(オペレーター)
『ごめんなさいね。まだお車のほう、手配中なんです』
『ちょっと空車が出次第になりますので…』
1日およそ2000件ある配車依頼のうち、400件に対応できていない状況だと言います。
(オペレーター)
『11時27分にお客様から電話いただいた。今は11時55分でしょ?それでもまだ車が決まっていない』
一方、外を案内してもらうと…
(都タクシー 筒井基好 社長)
『これ車庫です。今、車たくさん余ってますでしょ?運転手さんが不足してるから』
コロナ前に、およそ400人いた運転手は、現在、300人ほどにまで減少。およそ70台のタクシーが使われないままの状態で、1台につき年20万円以上の維持費がかかっていると言います。
(都タクシー 筒井基好 社長)
『(運転手を)たくさん採用したいけど、なかなか人が集まらない。人材採用にも今までにないくらい、力とお金をかけてやっている』
タクシーだけではありません。
▼オーバーツーリズム3 バスの混雑
(青山ななみ ディレクター 28日)
『午後1時すぎの京都駅前です。バス停の前に長蛇の列ができています』
およそ120人が祇園行きのバスを待っていました。
(京都市民)
『人が多いから電車とかバスがすごく大変。ベビーカーでは乗れないです。迷惑かなって考えちゃうんで』
京都市はオーバーツーリズム対策として、バスの一日乗車券の廃止を決定。地下鉄の利用を促す取り組みを続けていますが、この状況の中で、中国からの観光客がさらに増える可能性も出てきています。
(中国からの観光客 @成田空港)
『食べ物も大好きだし、日本のすべてが好きなんです』
中国でも、きょうから5連休が始まり、のべ2億4000万人が旅行する見通しです。連休中の海外旅行に関する調査では、日本が2番目に人気の旅行先となっています。日本へ観光にきた外国人1人あたりの消費額は、コロナ前より3割ほど増加しており、さらなる“爆買い”にも期待がかかります。ポーランドから来た2人は、2週間の滞在で、1人あたり50万円使う予定だと言います。
(ポーランドからの観光客)
『緑茶だけで1万7000円分買いました。ポーランドでは日本のように美味しい緑茶を買えないんです』
プラモデルを10個購入したアメリカ人夫婦もいました。
(アメリカからの観光客)
『孫がアメリカでガンダムの話をしていて、買って帰るよと約束したんです。孫全員にガンダムを買いました』
“爆買い”への期待と、オーバーツーリズムへの不安が入り混じるゴールデンウィークになりそうです。