自身が住む宮崎市のマンションで昨年4月、住人の男性を刺殺したとして、殺人罪に問われた無職馬場健一被告(69)の裁判員裁判で、宮崎地裁は28日、懲役9年(求刑・懲役13年)の判決を言い渡した。
船戸宏之裁判長は「死亡させた結果は重大」などと述べた。
判決によると、馬場被告は昨年4月18日午後9時頃~19日午前0時40分頃、マンション自室前通路で、同じマンションに住む平山弘さん(当時58歳)の腹部を包丁で刺して死亡させた。
2人に面識はなく、平山さんは事件当日、自分の部屋で飲酒し、大声を出した。この声を自室で聞いた馬場被告が反応して口論となり、平山さんが馬場被告の部屋の前に移動。馬場被告が果物ナイフを持って玄関ドアを開けると、包丁を持った平山さんがいて「それでやるんだったら、これでやってくれ」と包丁を差し出し、馬場被告はその包丁で平山さんを刺した。
裁判は平山さんが馬場被告に自身の殺害を嘱託したかどうかなどが争点となった。判決は「包丁を差し出したのは挑発的な行為として見るべきで、(馬場被告に)殺害を嘱託したと考えるのは不自然」などとして殺人罪の成立を認めた。