4月になって新しい環境での生活が始まる人も多いこの時期、気を付けたいことがあります。それは「帯状疱疹」。どちらかというと、中高年のイメージがあるかもしれませんが、実は帯状疱疹は誰にでも起こりうる皮膚病で、このところ若者や子育て世代で増加しているといいます。一体なぜなのでしょうか?
【写真を見る】「帯状疱疹」20代~40代で急増での理由 顔面神経麻痺、視力障害のリスクも… 重要なのは「初期症状」帯状疱疹は“誰にでも起こりうる” 20代~40代で急増 なぜ?帯状疱疹に詳しい、奈良県立医科大学皮膚科学教室の浅田秀夫教授に話を聞きました。ーー「帯状疱疹」を聞いたことがある人が多いと思いますが、具体的にどんな病気ですか?

奈良県立医科大学皮膚科 浅田秀夫教授:「『帯状疱疹』とは『水ぼうそう』と同じ『水痘帯状疱疹ウイルス』で起こる皮膚の病気です。『水ぼうそう』になったことがある人は、帯状疱疹になる可能性があります」ーーうーん、水ぼうそうになったかどうか、定かではないのですが…「これまでに水ぼうそうになったことがない人でも、知らないうちに感染している場合もあります。水ぼうそうが治っても、ウイルスは体内の神経節に潜伏し、体内からなくなることはありません。実は、日本人成人の90%以上に帯状疱疹の原因となるウイルスがすでに体内に潜んでいると言われています」ーーえ、そんなに!?では発症する人と、しない人がいるのはなぜでしょうか?「ウイルスが潜んでいる状態のときは悪さをしませんが、加齢・ストレス・疲れなどで、免疫力が下がると再び活性化し、帯状疱疹を発症するのです。50歳を過ぎてくると帯状疱疹の患者さんが増えて来るのは、免疫がじわじわ下がってきて体に潜んでいたウイルスが免疫で抑え込めなくなって、帯状疱疹がでてくるということです」ーーでは、なぜ若い人や子育て世代に「帯状疱疹」が急増しているのでしょうか?「これまで、水ぼうそうは子どもたちの間で毎年、流行を繰り返していて、流行の度に、水ぼうそうにかかった子どもから大人もウイルスに曝露され、免疫が増強されていました。しかし、2014年に子ども(生後12月から生後36月)への水痘ワクチンが定期接種化され、水ぼうそうの子どもが激減。大人が水ぼうそうのウイルスに触れる機会が減り、追加免疫を獲得できず、帯状疱疹になりやすくなってしまうということです。また、若くして帯状疱疹になった患者さんは『徹夜続きだった』『最近忙しくて休めていなかった』などストレスや疲労を抱え、免疫力が低下し、帯状疱疹を発症した例もあります」「夜も眠れぬ痛さ」 重症化すれば“顔面神経麻痺”“視覚障害”もーー日々の生活も関係してくるんですね。たしか、すごく痛いんですよね?「ピリピリと刺すような痛みから始まり、夜も眠れないほどの激しい痛みになる場合もあります。多くの場合、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、このウイルスは神経に沿って広がり、神経を傷つけますので、後遺症として痛みが残ることもあります。これは『帯状疱疹後神経痛』呼ばれる最も頻度の高い合併症です」ーーそれもすごく痛いんですか…?「痛みの種類は様々で、スッと触れるだけでも電気が走るようなビキーンとくる痛みがきたり、じわっーと焼け付くような痛みがつづくことがあります。夜、痛くて何回も目が覚めて寝不足が続き鬱状態になる方もいます。あまりにも痛くて仕事が手につかないとか、日常生活もままならず、生活の質を非常に落とすこともしばしばです。痛みのほかにも、帯状疱疹が現れる部位によっては、顔面神経麻痺、視力障害、難聴などの合併症を引き起こすこともあります」早めに気付きたい初期症状 「帯状疱疹」を防ぐには?誰にでも発症しうる激痛の「帯状疱疹」。場所によっては顔面麻痺や視力障害などを引き起こす怖い病気であることがわかりました。重症化を防ぐためにも早めの受診が必要だといいますが、浅田教授は初期症状は見逃されることが多いと指摘します。ーー「これは帯状疱疹だ!」と、いち早く気付けるポイントはありますか?「はじめから、皮膚に水ぶくれがたくさん出るわけではなく、ピリピリした痛みからはじまったり、虫刺されかな?という程度の皮膚症状のこともありますので、ご自身で帯状疱疹だと気付くことは難しいかもしれません。実は、医師でも、ごく初期の痛みだけでは帯状疱疹と診断するのは難しいのです。ピリピリした痛みに引き続いて、肌に少しでも赤い症状がでてきたら、できるだけ早く受診することをおすすめします」ーー予防法はありますか?「50歳以上の方はワクチン接種で予防することができます。帯状疱疹には2種類のワクチンがあり、生ワクチンと不活化ワクチンに分けられます。接種を希望される場合は、お医者さんに相談してください」ーーワクチン対象になっていない、若者世代はどう予防したら良いでしょうか?「実は、生ワクチンのほうは、水ぼうそうの予防目的として使用する場合には50歳以下でも接種が認められていますが、なにより…・規則正しい生活・十分な睡眠・バランスの良い食事・ストレスを溜めないなど、普段から免疫が低下しないようにすることが大事です」新しい環境に置かれる人も多いこの時期。いつどこで誰が帯状疱疹を発症してもおかしくありません。規則正しい生活を心掛けることはもちろん、ピリピリした痛みがあって、肌に赤い症状がでてきたらすぐに病院へ行きましょう。
帯状疱疹に詳しい、奈良県立医科大学皮膚科学教室の浅田秀夫教授に話を聞きました。
ーー「帯状疱疹」を聞いたことがある人が多いと思いますが、具体的にどんな病気ですか?
奈良県立医科大学皮膚科 浅田秀夫教授:「『帯状疱疹』とは『水ぼうそう』と同じ『水痘帯状疱疹ウイルス』で起こる皮膚の病気です。『水ぼうそう』になったことがある人は、帯状疱疹になる可能性があります」
ーーうーん、水ぼうそうになったかどうか、定かではないのですが…
「これまでに水ぼうそうになったことがない人でも、知らないうちに感染している場合もあります。水ぼうそうが治っても、ウイルスは体内の神経節に潜伏し、体内からなくなることはありません。実は、日本人成人の90%以上に帯状疱疹の原因となるウイルスがすでに体内に潜んでいると言われています」
ーーえ、そんなに!?では発症する人と、しない人がいるのはなぜでしょうか?
「ウイルスが潜んでいる状態のときは悪さをしませんが、加齢・ストレス・疲れなどで、免疫力が下がると再び活性化し、帯状疱疹を発症するのです。
50歳を過ぎてくると帯状疱疹の患者さんが増えて来るのは、免疫がじわじわ下がってきて体に潜んでいたウイルスが免疫で抑え込めなくなって、帯状疱疹がでてくるということです」
ーーでは、なぜ若い人や子育て世代に「帯状疱疹」が急増しているのでしょうか?
「これまで、水ぼうそうは子どもたちの間で毎年、流行を繰り返していて、流行の度に、水ぼうそうにかかった子どもから大人もウイルスに曝露され、免疫が増強されていました。
しかし、2014年に子ども(生後12月から生後36月)への水痘ワクチンが定期接種化され、水ぼうそうの子どもが激減。大人が水ぼうそうのウイルスに触れる機会が減り、追加免疫を獲得できず、帯状疱疹になりやすくなってしまうということです。
また、若くして帯状疱疹になった患者さんは『徹夜続きだった』『最近忙しくて休めていなかった』などストレスや疲労を抱え、免疫力が低下し、帯状疱疹を発症した例もあります」
ーー日々の生活も関係してくるんですね。たしか、すごく痛いんですよね?
「ピリピリと刺すような痛みから始まり、夜も眠れないほどの激しい痛みになる場合もあります。
多くの場合、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、このウイルスは神経に沿って広がり、神経を傷つけますので、後遺症として痛みが残ることもあります。これは『帯状疱疹後神経痛』呼ばれる最も頻度の高い合併症です」
ーーそれもすごく痛いんですか…?
「痛みの種類は様々で、スッと触れるだけでも電気が走るようなビキーンとくる痛みがきたり、じわっーと焼け付くような痛みがつづくことがあります。夜、痛くて何回も目が覚めて寝不足が続き鬱状態になる方もいます。あまりにも痛くて仕事が手につかないとか、日常生活もままならず、生活の質を非常に落とすこともしばしばです。
痛みのほかにも、帯状疱疹が現れる部位によっては、顔面神経麻痺、視力障害、難聴などの合併症を引き起こすこともあります」
誰にでも発症しうる激痛の「帯状疱疹」。場所によっては顔面麻痺や視力障害などを引き起こす怖い病気であることがわかりました。重症化を防ぐためにも早めの受診が必要だといいますが、浅田教授は初期症状は見逃されることが多いと指摘します。
ーー「これは帯状疱疹だ!」と、いち早く気付けるポイントはありますか?
「はじめから、皮膚に水ぶくれがたくさん出るわけではなく、ピリピリした痛みからはじまったり、虫刺されかな?という程度の皮膚症状のこともありますので、ご自身で帯状疱疹だと気付くことは難しいかもしれません。
実は、医師でも、ごく初期の痛みだけでは帯状疱疹と診断するのは難しいのです。ピリピリした痛みに引き続いて、肌に少しでも赤い症状がでてきたら、できるだけ早く受診することをおすすめします」
ーー予防法はありますか?
「50歳以上の方はワクチン接種で予防することができます。帯状疱疹には2種類のワクチンがあり、生ワクチンと不活化ワクチンに分けられます。接種を希望される場合は、お医者さんに相談してください」
ーーワクチン対象になっていない、若者世代はどう予防したら良いでしょうか?
「実は、生ワクチンのほうは、水ぼうそうの予防目的として使用する場合には50歳以下でも接種が認められていますが、なにより…
・規則正しい生活・十分な睡眠・バランスの良い食事・ストレスを溜めない
など、普段から免疫が低下しないようにすることが大事です」
新しい環境に置かれる人も多いこの時期。いつどこで誰が帯状疱疹を発症してもおかしくありません。規則正しい生活を心掛けることはもちろん、ピリピリした痛みがあって、肌に赤い症状がでてきたらすぐに病院へ行きましょう。