「人を笑顔にする仕事がしたいです」
【画像】ミスコンにも出場、美大時代の熊井容疑者 5年前、将来の夢をそう語っていた美人女子大生が、なぜ……。◆ ◆ ◆詐欺の電話をかける“かけ子”に 3月10日。マニラ近郊のパラニャーケ市に潜伏していた若い男女が、フィリピンの入国管理局に身柄を拘束された。その1人が熊井ひとみ容疑者(25)だ。渡邉優樹容疑者(38)をボスとし、強盗にも手を広げた特殊詐欺組織“ルフィグループ”の末端メンバーだった。熊井は“彼氏”と潜伏していた

「熊井は現地から詐欺の電話をかける“かけ子”。昨年9月に日本で逮捕状が出ていた」(社会部記者) 実家は東京都三鷹市。鉄筋3階建ての邸宅を建てた高知県出身の祖父は、高知県議を5期務め、旭日章も受章した名士だった。会社員の両親のもと、熊井は3人きょうだいの末っ子として何不自由なく育った。「小学校時代の夢は『通訳』。中学ではボランティア活動に取り組むJRC部でした。子供の時からかけっこが速く、都内の高校に進学後は陸上部に入ったそうです」(地元の同級生)大学時代に“ミスコン”に出場し変貌 高校卒業後、熊井は2浪して多摩美術大に進む。転機が訪れたのは、その夏のこと。全国の大学新入生を対象とした「フレッシュキャンパスコンテスト」に応募したのだ。友人が語る。「1次エントリーの面々を見て、『この子たちより可愛いよ』と周りから持ち上げられた熊井さんは、2次エントリーに応募。するとファイナリストに選ばれたんです。審査期間中は『周りの新入生よりオバちゃんですけど』と、年上キャラを前面に出していました」 これを機に、熊井は変貌を遂げていく。それまでファッションのデッサンを描いていた熊井は、表舞台に立つ側のモデル志向に。容姿端麗な自分の画像を中心にSNSに投稿し始めた。“パパ活”を始め、大学は中退 前出の同級生は「前は決して目立ちたがり屋じゃなかった」というが、注目を浴びる快感を覚えた熊井は、ネットのライブ配信サービス「SHOWROOM」にも登録。リスナーから報酬を得る「投げ銭」システムをフル活用し始める。「投げ銭を多くくれる人と個別で会い、食事やカラオケを共にしてお金をもらっていると話していた。要はパパ活です」(前出・友人) 持ち歩くバッグはルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品に。やがて大学に足を向ける日も激減し、単位が足りず3年時に留年。そのまま退学してしまう。“かけ子のまとめ役”と交際し妊娠 大学の友人たちも連絡が取れなくなった熊井は、いつしか渡比していた。「日本にいる家族には『事情があってフィリピンから戻れない』と説明していたようだ」(捜査関係者) 熊井と共に拘束されたのが、現地でかけ子のまとめ役をしていた交際相手の藤田海里容疑者(24)だ。「熊井は藤田の子を妊娠している。今はビクタン収容所にいるが、同施設は妊婦を受け入れる態勢になっていないため、優先的に強制送還される見込み」(同前)キャバ嬢だったが金欲しさから闇バイトに… 闇に落ちた“ルフィガールズ”は他にもいる。昨年に逮捕状が出ていた寺島春奈容疑者(28)もその1人だ。 寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」 小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者) 詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)
5年前、将来の夢をそう語っていた美人女子大生が、なぜ……。
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3月10日。マニラ近郊のパラニャーケ市に潜伏していた若い男女が、フィリピンの入国管理局に身柄を拘束された。その1人が熊井ひとみ容疑者(25)だ。渡邉優樹容疑者(38)をボスとし、強盗にも手を広げた特殊詐欺組織“ルフィグループ”の末端メンバーだった。
熊井は“彼氏”と潜伏していた
「熊井は現地から詐欺の電話をかける“かけ子”。昨年9月に日本で逮捕状が出ていた」(社会部記者)
実家は東京都三鷹市。鉄筋3階建ての邸宅を建てた高知県出身の祖父は、高知県議を5期務め、旭日章も受章した名士だった。会社員の両親のもと、熊井は3人きょうだいの末っ子として何不自由なく育った。
「小学校時代の夢は『通訳』。中学ではボランティア活動に取り組むJRC部でした。子供の時からかけっこが速く、都内の高校に進学後は陸上部に入ったそうです」(地元の同級生)大学時代に“ミスコン”に出場し変貌 高校卒業後、熊井は2浪して多摩美術大に進む。転機が訪れたのは、その夏のこと。全国の大学新入生を対象とした「フレッシュキャンパスコンテスト」に応募したのだ。友人が語る。「1次エントリーの面々を見て、『この子たちより可愛いよ』と周りから持ち上げられた熊井さんは、2次エントリーに応募。するとファイナリストに選ばれたんです。審査期間中は『周りの新入生よりオバちゃんですけど』と、年上キャラを前面に出していました」 これを機に、熊井は変貌を遂げていく。それまでファッションのデッサンを描いていた熊井は、表舞台に立つ側のモデル志向に。容姿端麗な自分の画像を中心にSNSに投稿し始めた。“パパ活”を始め、大学は中退 前出の同級生は「前は決して目立ちたがり屋じゃなかった」というが、注目を浴びる快感を覚えた熊井は、ネットのライブ配信サービス「SHOWROOM」にも登録。リスナーから報酬を得る「投げ銭」システムをフル活用し始める。「投げ銭を多くくれる人と個別で会い、食事やカラオケを共にしてお金をもらっていると話していた。要はパパ活です」(前出・友人) 持ち歩くバッグはルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品に。やがて大学に足を向ける日も激減し、単位が足りず3年時に留年。そのまま退学してしまう。“かけ子のまとめ役”と交際し妊娠 大学の友人たちも連絡が取れなくなった熊井は、いつしか渡比していた。「日本にいる家族には『事情があってフィリピンから戻れない』と説明していたようだ」(捜査関係者) 熊井と共に拘束されたのが、現地でかけ子のまとめ役をしていた交際相手の藤田海里容疑者(24)だ。「熊井は藤田の子を妊娠している。今はビクタン収容所にいるが、同施設は妊婦を受け入れる態勢になっていないため、優先的に強制送還される見込み」(同前)キャバ嬢だったが金欲しさから闇バイトに… 闇に落ちた“ルフィガールズ”は他にもいる。昨年に逮捕状が出ていた寺島春奈容疑者(28)もその1人だ。 寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」 小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者) 詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)
「小学校時代の夢は『通訳』。中学ではボランティア活動に取り組むJRC部でした。子供の時からかけっこが速く、都内の高校に進学後は陸上部に入ったそうです」(地元の同級生)
高校卒業後、熊井は2浪して多摩美術大に進む。転機が訪れたのは、その夏のこと。全国の大学新入生を対象とした「フレッシュキャンパスコンテスト」に応募したのだ。友人が語る。
「1次エントリーの面々を見て、『この子たちより可愛いよ』と周りから持ち上げられた熊井さんは、2次エントリーに応募。するとファイナリストに選ばれたんです。審査期間中は『周りの新入生よりオバちゃんですけど』と、年上キャラを前面に出していました」
これを機に、熊井は変貌を遂げていく。それまでファッションのデッサンを描いていた熊井は、表舞台に立つ側のモデル志向に。容姿端麗な自分の画像を中心にSNSに投稿し始めた。“パパ活”を始め、大学は中退 前出の同級生は「前は決して目立ちたがり屋じゃなかった」というが、注目を浴びる快感を覚えた熊井は、ネットのライブ配信サービス「SHOWROOM」にも登録。リスナーから報酬を得る「投げ銭」システムをフル活用し始める。「投げ銭を多くくれる人と個別で会い、食事やカラオケを共にしてお金をもらっていると話していた。要はパパ活です」(前出・友人) 持ち歩くバッグはルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品に。やがて大学に足を向ける日も激減し、単位が足りず3年時に留年。そのまま退学してしまう。“かけ子のまとめ役”と交際し妊娠 大学の友人たちも連絡が取れなくなった熊井は、いつしか渡比していた。「日本にいる家族には『事情があってフィリピンから戻れない』と説明していたようだ」(捜査関係者) 熊井と共に拘束されたのが、現地でかけ子のまとめ役をしていた交際相手の藤田海里容疑者(24)だ。「熊井は藤田の子を妊娠している。今はビクタン収容所にいるが、同施設は妊婦を受け入れる態勢になっていないため、優先的に強制送還される見込み」(同前)キャバ嬢だったが金欲しさから闇バイトに… 闇に落ちた“ルフィガールズ”は他にもいる。昨年に逮捕状が出ていた寺島春奈容疑者(28)もその1人だ。 寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」 小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者) 詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)
これを機に、熊井は変貌を遂げていく。それまでファッションのデッサンを描いていた熊井は、表舞台に立つ側のモデル志向に。容姿端麗な自分の画像を中心にSNSに投稿し始めた。
前出の同級生は「前は決して目立ちたがり屋じゃなかった」というが、注目を浴びる快感を覚えた熊井は、ネットのライブ配信サービス「SHOWROOM」にも登録。リスナーから報酬を得る「投げ銭」システムをフル活用し始める。
「投げ銭を多くくれる人と個別で会い、食事やカラオケを共にしてお金をもらっていると話していた。要はパパ活です」(前出・友人)
持ち歩くバッグはルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品に。やがて大学に足を向ける日も激減し、単位が足りず3年時に留年。そのまま退学してしまう。
“かけ子のまとめ役”と交際し妊娠 大学の友人たちも連絡が取れなくなった熊井は、いつしか渡比していた。「日本にいる家族には『事情があってフィリピンから戻れない』と説明していたようだ」(捜査関係者) 熊井と共に拘束されたのが、現地でかけ子のまとめ役をしていた交際相手の藤田海里容疑者(24)だ。「熊井は藤田の子を妊娠している。今はビクタン収容所にいるが、同施設は妊婦を受け入れる態勢になっていないため、優先的に強制送還される見込み」(同前)キャバ嬢だったが金欲しさから闇バイトに… 闇に落ちた“ルフィガールズ”は他にもいる。昨年に逮捕状が出ていた寺島春奈容疑者(28)もその1人だ。 寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」 小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者) 詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)
大学の友人たちも連絡が取れなくなった熊井は、いつしか渡比していた。
「日本にいる家族には『事情があってフィリピンから戻れない』と説明していたようだ」(捜査関係者)
熊井と共に拘束されたのが、現地でかけ子のまとめ役をしていた交際相手の藤田海里容疑者(24)だ。
「熊井は藤田の子を妊娠している。今はビクタン収容所にいるが、同施設は妊婦を受け入れる態勢になっていないため、優先的に強制送還される見込み」(同前)
闇に落ちた“ルフィガールズ”は他にもいる。昨年に逮捕状が出ていた寺島春奈容疑者(28)もその1人だ。
寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」 小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者) 詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)
寺島は長野市の出身。教員だった祖父は地元で人格者として知られ、父も定年まで高校の教員を務めた。地元住民が語る。
「両親はとても真面目な方なんです。春奈ちゃんは3人きょうだいの末っ子。小学校の頃は、児童会役員もしていた活発でかわいらしい女の子でした」
小学校の卒業文集では級友から「いいお母さんになりそうな人」の2位に名前を挙げられていた寺島。だが、ソフトテニス部に所属した中学時代から不良とつるみ始め、進学した市内の高校を中退。繁華街でキャバクラ嬢に転身した。
「上京して水商売をしていたが、金欲しさからかけ子のバイトを始めたとみられる。2月28日、ビザの延長をしに来たところをフィリピンの入管当局に拘束された」(前出・捜査関係者)
詐欺グループの落とし穴は、身近に潜んでいるのだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月30日号)