千葉県一宮町からいすみ市にかけての海岸に打ち上げられて死んだイルカを回収した国立科学博物館が3頭の解剖を実施した結果、2頭が妊娠中で、うち1頭に重篤な肺炎の症状が見られたことが5日、明らかになった。
博物館の担当者によると、衰弱した妊娠中の個体を群れで守ろうとして集団で浅瀬に流された可能性があるという。
国立科学博物館は4日、死んだカズハゴンドウ6頭を回収し、茨城県つくば市の研究施設に運んだ。イルカやクジラの生態に詳しく、3頭を解剖した田島木綿子研究主幹によると、2頭は妊娠しており、数日後に出産を迎える状態だったという。田島研究主幹は取材に「1頭には肺炎の症状もあり、呼吸をするのも難しい状況だったはず。黒潮から冷水域に入り、複数の衰弱した妊娠個体を仲間が守ろうとして浜辺に漂着したのではないか」と話した。
暖かい海域に生息するカズハゴンドウはこの時期、出産期を迎える。国立科学博物館で把握している集団での漂着事例は過去に5回あり、今回は2015年に茨城県鉾田市の海岸に130頭以上が打ち上げられて以来のことだという。
一宮町といすみ市では5日にも5頭が死んでいるのが見つかった。