衆院の早期解散を模索する、岸田文雄政権の「公明党離れ」が急加速している。
【写真を見る】必死の形相で公明党議員の応援演説を行う「久本雅美」「柴田理恵」「次期衆院選を巡る候補者調整で、自公のあつれきが表面化しつつあるんですよ」 と言うのは政治部デスク。「公明党の支持母体・創価学会を嫌う麻生太郎副総裁が、岸田総理に何度も公明切りを求めているんです」 3月9日、公明党は次回選挙から適用される「10増10減」の区割り変更に伴い、比例で当選してきた石井啓一幹事長を埼玉14区に擁立・公認すると決めた。

「公明党は埼玉14区のほか、東京や愛知などの選挙区で3人を擁立。10増える選挙区のうち四つを譲れとの要求に、自民党には戸惑いと怒りの声が上がっています」麻生太郎副総裁 さすがに党幹部らは「公明党が勝手に発表した」と火消しに躍起だが、「都連や埼玉、愛知などの県連では“事前説明がない以上、こちらも独自候補を立てるべきだ”と強く反発する議員が増えつつありますよ」公明党の地盤沈下の理由 公明党が強硬な理由とは。「創価学会員を中心とする支持者の高齢化による集票力の低下です。昨年7月の参院選比例代表では目標の800万票を大きく下回る、およそ618万票に甘んじた。つまり、公明党はかなり焦っているということ」 この参院選では、自民党の若手議員が公明党の推薦を断りながら当選している。「かつて“ひと桁台まで正確”と言われた自慢の組織票もいまは昔。公明党の存在感は低下する一方です」 公明党の地盤沈下には、自民党が積極的な憲法改正の影響もあるとされる。 自民党中堅議員が言う。「2021年秋の衆院選で、自公の連立与党は憲法改正の発議に必要な3分の2を失った。それでも自民・維新・国民民主の3党の合計ならそれを取り返せる計算です。亡くなった安倍晋三元総理は生前、“公明を入れた3分の2では改憲議論が進まない”と将来の連立解消に含みを持たせていた。それには盟友の麻生副総裁も理解を示していました」 その安倍元総理が昨年7月に謀殺された後も、麻生氏らは連立組み替えへの道筋を探ってきたという。「昨年12月には“自民が国民民主との連立を検討”との報道が出ました。背景には公明党を切りたい麻生さんが、岸田総理に国民民主の連立入りを繰り返し求めた一件があるとか」「ウチを軽く見るなら…」 麻生氏と公明党の相克を与党関係者が解説する。「これまで麻生さんは、地元・福岡の知事選や県議選などで公明党と対立し、何度も苦汁をなめてきた。一方の創価学会には、09年の総選挙で与党が下野したのは総理だった麻生さんの解散の判断が遅れたせいだと、いまだに根に持つ人が少なくないんです」 当の麻生氏は、来るべき台湾有事への備えを念頭に置いていると見られている。「最近も周囲に“近く台湾有事がある。憲法改正して緊急事態条項を設けるべきだ”と話しています。かつて“ナチスの手口を学んだらどうかね”と発言して批判を浴びましたが、あの真意は“有事の際は一種の独裁のように、政権に権力を集中させるべきだ”ということ。ヒトラーは憲法の緊急事態条項を悪用して徹底的に国民の権利を制限しましたから、戦時中に宗教弾圧を受けた創価学会や、平和の党を自任する公明党とは根本的にソリが合わない」 創価学会関係者は言う。「自民党には学会票が不可欠な議員が大勢いる。ウチを軽く見るなら、次の選挙でおきゅうを据えないと」「週刊新潮」2023年4月6日号 掲載
「次期衆院選を巡る候補者調整で、自公のあつれきが表面化しつつあるんですよ」
と言うのは政治部デスク。
「公明党の支持母体・創価学会を嫌う麻生太郎副総裁が、岸田総理に何度も公明切りを求めているんです」
3月9日、公明党は次回選挙から適用される「10増10減」の区割り変更に伴い、比例で当選してきた石井啓一幹事長を埼玉14区に擁立・公認すると決めた。
「公明党は埼玉14区のほか、東京や愛知などの選挙区で3人を擁立。10増える選挙区のうち四つを譲れとの要求に、自民党には戸惑いと怒りの声が上がっています」
さすがに党幹部らは「公明党が勝手に発表した」と火消しに躍起だが、
「都連や埼玉、愛知などの県連では“事前説明がない以上、こちらも独自候補を立てるべきだ”と強く反発する議員が増えつつありますよ」
公明党が強硬な理由とは。
「創価学会員を中心とする支持者の高齢化による集票力の低下です。昨年7月の参院選比例代表では目標の800万票を大きく下回る、およそ618万票に甘んじた。つまり、公明党はかなり焦っているということ」
この参院選では、自民党の若手議員が公明党の推薦を断りながら当選している。
「かつて“ひと桁台まで正確”と言われた自慢の組織票もいまは昔。公明党の存在感は低下する一方です」
公明党の地盤沈下には、自民党が積極的な憲法改正の影響もあるとされる。
自民党中堅議員が言う。
「2021年秋の衆院選で、自公の連立与党は憲法改正の発議に必要な3分の2を失った。それでも自民・維新・国民民主の3党の合計ならそれを取り返せる計算です。亡くなった安倍晋三元総理は生前、“公明を入れた3分の2では改憲議論が進まない”と将来の連立解消に含みを持たせていた。それには盟友の麻生副総裁も理解を示していました」
その安倍元総理が昨年7月に謀殺された後も、麻生氏らは連立組み替えへの道筋を探ってきたという。
「昨年12月には“自民が国民民主との連立を検討”との報道が出ました。背景には公明党を切りたい麻生さんが、岸田総理に国民民主の連立入りを繰り返し求めた一件があるとか」
麻生氏と公明党の相克を与党関係者が解説する。
「これまで麻生さんは、地元・福岡の知事選や県議選などで公明党と対立し、何度も苦汁をなめてきた。一方の創価学会には、09年の総選挙で与党が下野したのは総理だった麻生さんの解散の判断が遅れたせいだと、いまだに根に持つ人が少なくないんです」
当の麻生氏は、来るべき台湾有事への備えを念頭に置いていると見られている。
「最近も周囲に“近く台湾有事がある。憲法改正して緊急事態条項を設けるべきだ”と話しています。かつて“ナチスの手口を学んだらどうかね”と発言して批判を浴びましたが、あの真意は“有事の際は一種の独裁のように、政権に権力を集中させるべきだ”ということ。ヒトラーは憲法の緊急事態条項を悪用して徹底的に国民の権利を制限しましたから、戦時中に宗教弾圧を受けた創価学会や、平和の党を自任する公明党とは根本的にソリが合わない」
創価学会関係者は言う。
「自民党には学会票が不可欠な議員が大勢いる。ウチを軽く見るなら、次の選挙でおきゅうを据えないと」
「週刊新潮」2023年4月6日号 掲載