普通に生活していた若者を瞬時に凶悪犯罪に加担させてしまう「闇バイト」。警察は実態解明に全力を挙げているが、その根はまだまだ深い。日本人だけでなく外国人も加担する衝撃の犯罪事情とは!?◆在日外国人向けのさまざまな闇バイトの募集を確認
闇バイトは多岐にわたっている。記者が在日外国人が使うSNSやメッセンジャーアプリを覗いてみたところ、実にさまざまな闇バイトの募集が確認された。
中国のアプリ「WeChat」で散見されるのが、偽ブランド品の販売要員だ。インスタグラムやフリマアプリを使い、販売させているのだ。
ちなみに1月に、偽の化粧品をフリマサイトで販売した疑いで中国籍の男2人が逮捕されているが、男らは闇バイトで雇われた「発送役」。ほかにも100人以上の「出品役」がいたと報じられた。
一方、フェイスブックにはベトナム語による闇バイト募集が盛んだ。例えば、就労許可もしくは資格外活動の許可が必要にもかかわらず、「在留資格不問」というウーバーイーツ配達代行や、免税品の不正購入を示唆するようなものまでさまざま。ちなみにベトナム人を対象とした闇バイト情報は、「Zalo」というメッセージアプリでも盛んにやり取りされている。
◆警察がなかなか実態を解明できないワケ
中国事情に詳しいライターの広瀬大介氏は言う。
「WeChatには在日中国人が日本で生活する上での情報交換専門のグループチャットが数多く存在していますが、そこに処方薬の売買や中国人向け違法風俗、偽ブランド品の売買、不法滞在者へのビザ取得斡旋、替え玉受験など違法ビジネスの宣伝やバイトが堂々と投稿されています。
すべて匿名な上、報酬もそのままアプリ内で決済できるので、アシがつきにくい。中国のアプリですし、日本の警察もなかなか実態を解明できていないようです」
◆出し子の報酬は、詐取した額の8%
実際に、あわや闇バイトに加担しそうになった人物に話を聞くことができた。大連出身の20代の中国人留学生の男性が明かす。
「私が加入しているWeChatのグループチャットに、『高額バイト・ビザ不問・詳細は個人チャットで』という書き込みがあった。興味本位でメッセージを送ったところ、投稿者に説明されたのは振り込め詐欺の出し子のバイトでした。報酬は1回当たり8%。つまり取引額が100万円なら8万円を払うというのです。
当然、断ったのですが『知り合いを紹介してくれたら紹介料を払う』と食い下がってきた。特殊詐欺は、日本人じゃないと会話で怪しまれるけど、出し子なら語学力は不要。おそらく日本の犯罪グループに外国人の出し子を派遣している業者だと思われます」
警察庁が公表した’21年度の来日外国人犯罪の検挙情報によると、窃盗犯は件数・人員ともに前年よりも減少している一方、詐欺や文書偽造などが含まれる知能犯は、件数・人員ともに増加している。在留カードの偽造事件を取材したフリーライターの奥窪優木氏は言う。
「円安の影響で、自国通貨換算での稼ぎが普通の仕事では当初より目減りし、金銭的な悩みを抱える技能実習生や留学生が多い。彼らの足元を見て、犯罪組織が闇バイトへの勧誘を活発化させています」
真面目な在日外国人がこれ以上、巻き込まれないのを祈るばかりだ。
◆住所貸しや買い子に重宝!?日本人の募集も活発化
最近では、外国人が日本人を使って闇バイトをさせるケースまで増えているという。前出の奥窪氏は言う。

転売ヤーの中には、違法な仕事を掛け持ちで行う者も少なくない。こうしてカネに困った日本人が加担させられるのだ。
◆「コンビニで買い物をするだけ」バイトの実態は…
一方、奥窪氏によるとLINEのオープンチャット上でのスカウトも盛んだという。副業や小遣い稼ぎに関するオープンチャットには、日々、大量の怪しげな高額バイト募集の書き込みが投稿されている。こうした書き込みに応募したという千葉県在住の日本人女性(42歳)は言う。
「拘束は3時間で1万円の日払いというバイトがあったので、連絡してみたんです。すると、北関東の指定エリアのコンビニで買い物をするだけとのこと。日本語の文面が明らかに変だったのと、先方の車に乗って移動という条件だったので、怖くて断りました」
おそらく、この女性の件は他人名義のカードを使った買い子だった可能性が高い。
「フィッシング詐欺で得た、他人のクレジットカード情報が登録されたキャッシュレス決済のIDの不正利用が猛威を振るっています。コンビニで加熱式タバコを大量に購入するという手口で、事件は全国で相次いでいます。こうした買い子は、日本人だと比較的怪しまれないため、需要がある」(前出の広瀬氏)
昨年6月にも他人名義のauPAYのIDでタバコを購入したとして、40代の日本人女性が逮捕されている。広瀬氏は、背後に中国人グループがいると推測する。
◆メルカリの転送や違法物品の受け取り要員にも
さらに、日本人を募集する別のケースも。過去に偽ブランド品を扱っていたという在日中国人はこう証言する。
「最近、多いのはメルカリの転送要員だね。メルカリでは中国系業者が膨大な数の偽ブランドを出品している。落札者が偽物だと気づけば、ちゃんと返金するんだけど商品の返送先が必要になる。最悪の場合、メルカリの登録住所からアシがついて警察に捕まるから。
ほかにも海外からの違法物品の受け取りにも重宝するので、住所貸しの需要は高い。報酬に釣られて住所を貸している日本人もいるよ」
高額バイトの甘い誘い文句には決して乗らないほうがよいだろう。
◆外国人犯罪組織による日本人のスカウトが増加!?
日本で暗躍する外国人闇バイトについて見てきたが、「経済力の低下で、外国人犯罪組織による日本人のスカウトは増えそうです」と指摘するのはジャーナリストの周来友氏だ。
「’17年に中国・福建省で35人の日本人が振り込め詐欺を行っていたとして検挙されましたが、それ以外にも中国を拠点にした特殊詐欺は数多く行われている。
中国の犯罪組織がSNSを使って日本人を中国に呼び寄せ、半ば監禁状態で詐欺に加担させるというもので、コロナ禍では鳴りを潜めていましたが、ここにきて再び日本人へのリクルート活動を活発化させています」
周氏はこう付け加える。
「合法な事業を営む在日中国人の間では最近『日本人のほうが安く使える』との言葉をよく耳にします。犯罪の世界でも同じ現象が起きつつあるのではないか」
◆警察が外国人闇バイトを根絶できないワケ
一方、外国人組織による闇バイトを動員した犯罪について、捜査や摘発の難しさを明かすのは犯罪ジャーナリストで元警察官の小川泰平氏だ。
「日本国内で完結している犯罪なら、闇バイト募集やその後の連絡に使われたSNSやチャットアプリの運営会社に開示請求をすれば、ある程度全容がつかめます。しかし運営会社が外国企業の場合、日本の警察が開示請求をしても、応じてくれることはほぼない。インターポールを通じて現地で捜査をする方法もありますが、着手までに3か月以上かかってしまうのです」

表の社会以上のスピードで進む裏社会のグローバル化に、早急な対応が求められる。
【周 来友氏】’63年、中国生まれ。ジャーナリスト。’87年に来日、東京学芸大学大学院を卒業。テレビや週刊誌で中国事情について論評している
【小川泰平氏】犯罪ジャーナリスト。神奈川県警、警察本部捜査三課、国際捜査課などを経て現職。著書に『現場刑事の掟』(イースト・プレス)など
◆犯罪のオンパレード!闇バイト図鑑
コロナ禍を機に増えた外国人闇バイトだが、その仕事は多岐にわたる。ここに紹介するのはすべて違法行為だが、募集されているのは逮捕リスクが最も高い末端の実行部隊。黒幕は決して捕まらないのだ。
・白タク運転手/運転手不足で募集急増
訪日旅行の解禁で息を吹き返しつつある白タク業者。運転手が現在、不足しているようでWeChatには中国人運転手を募集する書き込みが。また、日本では無免許扱いとなる中国人旅行者に、自家用車を貸し出す「個人レンタカー」を募る投稿もあった
・他人名義クレカ買い子/逮捕リスク最高の仕事
他人名義のクレジットカードやそれに紐づいたキャッシュレス決済での買い子の募集が盛んだ。「高収入・リスクなし・日本全国で募集」という内容で投稿されている。加熱式タバコのほか、家電製品やブランド品が購入されるケースが多い
・偽ブランド販売/違法系インフルエンサー
インスタグラムなどSNSには大量の偽ブランド品の宣伝・広告アカウントが存在するが、多くは在日外国人がバイト気分で行っている。購入希望者を仲介することで紹介料をもらうという仕組み。フリマアプリで直接販売するケースも少なくない
・免税品不正購入/一日で数百万円分も購入
WeChatには短期滞在外国人を1万5000円ほどの日当で募集し、免税価格で高級ブランド品を大量購入させる組織が存在する。消費税分安くなった商品を、組織が国内で転売し、利益を上げる。10%でも数千万円分ともなれば利幅は大きい
・カンニング要員/入試問題を外部に送信
日本の大学入試では、外国人による最新機材を使ったカンニングが横行。カメラ機能付きのスマートウォッチやメガネを使用し、試験会場で問題文を外部に送る要員や、解答の作成を行う要員などが闇バイトとして募集されている実態がある
・SIMカード転売/詐欺用のトバシ携帯に
帰国予定の中国人やベトナム人からSIMカードを買い取る業者がFBやWeChatに存在する。これらは不法滞在外国人に売ったり、詐欺や違法風俗などに利用されているという。通帳やキャッシュカードの買い取りも盛んに行われているようだ
・処方薬転売/日本の処方薬を中国に
糖尿病やがんなど、処方箋が必要な治療薬がWeChat上で高額転売されている。転売組織は国内で調達し、中国本土への宣伝や拡散、販売を留学生に担わせている。コロナ禍の中国では肺炎治療薬やタミフルの需要が急増し、バブルとなっている
・違法売春の打ち子/日本人男性客を釣る
最近、タワマンやホテルで中国人女性を待機させる本番風俗が流行中だ。業者は出会い系サイトやマッチングアプリで集客するが、日本語が上手な打ち子の募集がWeChatなどで行われている。送客に成功すれば紹介料が支払われる仕組みだ
取材・文・撮影/SPA! 闇バイト取材班