4月を迎えて、職場には新入社員たちのフレッシュな姿が見られるはずだ。新入社員のなかには、華々しい“新卒デビュー”を飾ろうという人も少なくないかもしれない。 学生時代に冴えない生活を送っていた場合、このタイミングで容姿の雰囲気をガラッと変えて心機一転。髪型はもちろん、ダイエットしてボディメイクをしたり、美容整形をしたり……。しかしながら、それが功を奏すとは限らない。今回は、新卒デビューをするつもりが、失敗に終わってしまった人たちの話を聞いた。
◆学生時代の「垢抜けない自分」から心機一転
「中学、高校、大学と、私はずっと地味だったので。垢抜けない自分を変えたかったんです」
佐川まるみさん(23歳・仮名)は、新卒でアパレル企業の販売職についた。
「昔から本当は派手な格好がしたかったけど、親が厳しいうえに、仲がいい子も地味だったので。私がアパレルの販売員になるといったら、かなり驚かれました」
埼玉県内の実家を出て、東京23区の小さなアパート暮らしをはじめたまるみさん。社販で安く洋服が買えるということで、学生時代の容姿とは打って変わり、オシャレに目覚めた。
「アプリで安いところを探せば、美容院もネイルもジムもギリギリで毎月通えます。今まで我慢していたことだから、本当に楽しくて楽しくて」
その結果、見事に垢抜けたまるみさんは、勤める会社が運営するブランドの公式ブログでコーディネートを紹介したり、美容院のサロンモデルを頼まれることもあったようだ。
◆周囲からは“調子に乗ってるヤツ”
まるみさんは「毎日が充実していました」と当時を振り返る。だが、そんな彼女を職場では“調子に乗ってるヤツ”と見る人もいたらしい。
「自分ではそんなつもりはなかったのですが、やっぱり女だけの職場なので、嫉妬みたいなのはあったのかもしれません。ただ、飲み会に呼ばれない程度だったので、あまり気にもとめていなかったんですが」
ある時、急に店長が「すごい努力したんだね!」と、まるみさんの高校時代の写真を見せてきた。
「スッピンメガネの体育祭の写真でした(苦笑)。私に間違いないのですが、頭にくるっていうよりも“なんで持ってるんだろう?”という疑問のほうが大きかったです」
◆まさかの高校時代の同級生が…
これは偶然らしいが、彼女の働く会社のデザイナーとして同じ高校出身の同級生がたまたま入社していたという。
「名前だけ知ってる程度の関係性ですけど、あちらはなんていうか、スクールカースト上位の目立っていたグループだったので、“私のことなんて知ってたんだ!”って驚きました。地味でダサかったカースト下位の女が少しでも目立っていたのが気に入らなかったんでしょう」
しばらくの間は、垢抜ける前の写真のことをイジられ続けてしまったそうだ。
「自分なりに頑張ったのに“必死で痛いやつ”という扱いを受けたのは不満でした。まさか過去を知る人が社内にいるとは思わなかったから」
これが原因で職場を離れるつもりはないというが、いずれは仕事でステップアップするために転職も視野に入れているようだ。
◆春休みにダイエットとプチ整形を済ませて新卒デビュー
一方、丸山レミさん(23歳・仮名)は昨年、新卒デビューには成功したが「ある意味、大失敗でした」と苦笑いする。彼女は入社式にあわせて、春休みにダイエットとプチ整形を済ませて上京したという。
「5キロ痩せて美容整形して、目の二重の幅を少しだけ広くして、鼻にヒアルロン酸をいれてスッキリさせ、エラにはボトックス注射をしてシャープにしました。
レミさんの新卒デビューは成功。大学時代では考えられないほど男ウケは抜群だった。
「同期の男性にはバンバンLINEを聞かれるだけではなく、ランチや飲み会の誘いが入れ食い状態でした。上司は既婚者がほとんどなので直接的に誘われたりはしないのですが、明らかに他の子よりも優しくしてくれたり、私にだけスタバを買ってくれたりして“可愛くなるって得だな” と思いました」
◆部署の“お局”に目をつけられてしまい…
だが、2週間が経った頃だった。優しかった男性上司の態度が一変。
急に朝礼で「少し髪色を黒くしてね。あと、そのマスカラかな? 少し化粧が濃いってクレームが多いから」と注意されたのだという。
「髪色も規定内だし、まつ毛はエクステですが、他の社員もしてるので“なんで私だけ?” と不思議に思ったんですが、そのときに部署の“お局”が笑ったんです。あぁ、あの人か……と察しました」
40代後半の“お局”は、いわゆる美魔女系で社長の遠縁らしく、まわりも余計な口出しはできないんだとか。
「すごくキレイな人だけど、若い子で少しでも目立つ子が入ってくると、自分のコネや権力を振りかざして嫌がらせをするんだと教えてもらいました」
完全に目をつけられてしまったレミさんは、時すでに遅しだった。
◆4月は「下手に目立たないのが得策」
「私だけ地毛よりも黒く染めて、マツエクも外させられました。男性陣もビビってチヤホヤしてくれないし、女性陣もお局に気を使ってるから、あまり仲良くしてくれない。この会社にお局がいる限り、私は働きにくいと思います。しくじったなぁ~」
レミさんは自身の失敗談をふまえて、4月から入社した人たちにこうアドバイスを送る。
「いまは下手に目立つよりも大人しくして。人間関係や雰囲気を観察してから、自分の出し方を考えていくのが得策だと思います」
<取材・文/吉沢さりぃ>