去年12月、愛知県豊橋市の農場でアイガモが鳥インフルエンザに感染したことが確認されました。この農家は一時は飼育していたすべてのアイガモが殺処分されるなど大きな打撃を受けながらも、3月、再び出荷できるようになりました。
「(店に)やっと並べることができました」(鳥市精肉店社長 市川勝丸さん 6日) 愛知県豊橋市の「鳥市精肉店」。社長の市川さんは県内唯一のアイガモ専門農家です。2カ所の農場から出荷される地域ブランド「あいち鴨」は経営する精肉店も販売。豊橋市のふるさと納税の返礼品としても人気を集めていました。 しかし、去年12月、経営を揺るがしかねない事態が起きました。 「店頭に買いに来るお客様にごめんなさい、今こういうわけで無いですというのが12月以降ずっと続いていました」(市川勝丸さん)
去年12月、市川さんの2つの農場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。 「鳥インフルエンザをおこさないために防疫してたので、正直な話、弊社の農場がなるとは思っていなくてですね、ならなくてもいいようにと動いていたので…」(市川勝丸さん)
あわせて2000羽を殺処分することになりました。育ててきたすべてのアイガモが農場からいなくなりました。 「一言でいうと絶望という気持ちです。僕も一緒に殺処分・埋めてくれっていう…みんなで大事にしている、あいち鴨が処分されるっていうのは絶望以外の言葉以外なくて、自分も一緒にいなくなってしまいたいって思うくらいの気持ちになりましたね」(市川勝丸さん)
「ここが以前あいち鴨の冷蔵の肉を置いていたコーナーです。今は無くなってしまって」(市川勝丸さん 2月の取材) 出荷が止まり、売り上げが激減。計算上では約2千万円の損失が出たといいます。 「売り上げが無くても従業員の皆さんの給料や、電気・光熱費・ガスその他もろもろの固定費はかかるので損金としては大きいですね」(市川勝丸さん)
一方、3カ所目となる新たな農場が鳥インフルの感染と同じ時期に完成。 「今回殺処分にならなかった新しい農場があったおかげで、割と早期の出荷が再開できた」(市川勝丸さん)
この新たな農場からアイガモの出荷ができるようになりました。3月6日、店には、以前のように、アイガモ肉が並びました。 「鴨鍋を何回か買ったことがあったんで、買いにきました。出汁がすごく美味しくて鴨の肉が柔らかくて子供も食べれるので。これでまた近くでおいしいもの買いに来れるのはいいな」(アイガモ肉を買った客) 「きょうから復活って聞いたので来ました。焼いてオレンジのソースでも作ってかけて食べようかなと。嬉しいです、ワインと一緒に楽しもうかな」(アイガモ肉を買った客) 「やっとみなさんにお断りせずに買ってもらえる。ほっとするといういかうれいしいというか…」(市川勝丸さん)
あいち鴨を使ったメニューを提供する飲食店「魚貝三昧げん屋」。鳥インフルの発生以降、このメニューを中止していましたが、また提供できるようになりました。 藁を燃やした火でアイガモ肉を丁寧に焼き上げます。 「すごく高い評価をいただいている食材だっただけに、これからまたお客さんに召し上がっていただけるのは非常にうれしく思っています。地元の農家さんとこれからもタッグを組んでやっていきたいと思っているので、(地元の農家には)頑張っていただきたいなと、それを私たちが一生懸命お客様にお伝えして喜んでいただきたいなと思っています」(魚貝三昧げん屋 市川嘉一さん)
鳥インフルの感染が確認された2つの農場では、エサなどを取り除く作業が続いています。 市川さんは1カ所の廃止を決めましたが、もう1カ所の今後の再開に向けて、県と話し合いを進めているということです。 「殺処分となった農場のほうでも、1日も早く鴨が帰れる状況をつくれるといいなと。あと何カ月かかるかわかりませんけど、そういった状況を作れるといいなとは思います」(市川勝丸さん) (3月30日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)