新卒採用が3月に解禁され、慣れないリクルートスーツを着てそそくさと会社に向かう学生もちらほら見かけるようになった。興味ある会社にエントリーしたり、説明会に参加してみたり、就活生は忙しい日常にお疲れだろう。 すんなりと面接を通過して内定がもらえればいいが、現実はそう甘くない。面接官に詰められて、頭が真っ白なんてこともよくあるそうだ。
そんな厳しい就活を乗り越えた人が、この時はヤバかったと感じたトンデモ就活裏話を紹介しよう。
◆絶対やってはいけない就活の失敗
地方の大学を去年4月に卒業した富田ミユさん(現在23歳・仮名)は、とある食品系の会社で、普通なら絶対やってはいけないありえないことをしてしまったという。
「それまで就活は、なかなか上手くいかなかったんですけど、その会社だけ1次、2次って順調に進んでいったんですよ」
富田さんは、食品メーカーを中心に大学3年の1月に就職活動を始めたが、まだどこからも内定はもらえていなかったそうだ。
「最終面接の案内がきて、めっちゃ嬉しかったんで、2次選考のグループディスカッションで友達になった子に連絡したんですよ。そしたらその子(Aちゃん)も受かっててテンション上がり切ってました」
◆最終面接で全員が動揺して…
最近の就活生は、面接で出会った人と連絡先交換なんてこともよくあるそうだが、このあたりも昔とは違うところだろうか。
「そしたらまさか最終面接も一緒になって、Aちゃんと私ともう一人で受けることがわかったんです。面接当日、会社の前で落ち合った時からAちゃんはかなり緊張してたみたいで、私まで緊張しちゃいましたね」
富田さんは、普段はあまり緊張しないそうだが、やはり他人の緊張というのは伝染するものだと感じたとか。
「面接が始まってからは案外、順調に進んでたんですけど、Aちゃんが回答に少し詰まっちゃったんです。そしたら面接官も意地悪で、詰めるように質問してきたんですよ。ほんと嫌になりますよね。Aちゃんも頑張って話そうとしたんですけど、上手くいかなくて泣き出しちゃったんです」
◆面接で泣き出した友達につられて…
それには、面接官も困った様子だったという。
「とりあえず先に進めることになって、もう1人の就活生(Bちゃん)の番になったんですけど、Bちゃんも動揺しちゃって、一緒になって泣き出しちゃったんです。その時にはもう私も混乱状態で、面接なんてできる状態じゃなかったんですけど、私に回ってきまして……もちろん私も泣きました(笑)。もうね、そういう雰囲気だったのが原因なのか、自分でも制御できなくて。でも何とか最後までやりきって、面接終了って感じでした。帰り道は3人とも吹っ切れちゃってて、絶対落ちたねーって笑いながら話しました」
彼女たちへの合否連絡は3日後に来たそうだが、「まさかの全員合格でびっくり!! 面接で泣いた人をとってくれるなんて、ありがと~って感じでした」と富田さんは語る。
3人は後日、内定を祝って祝勝会をあげたらしい。入社後に、富田さんは内定を出したワケを面接官に尋ねると、「そういう素直で真剣なところがよかった」と言われたが、正直採用に関しては謎な部分も多い。世の中わからないものだ、そう感じるリアルな就活劇だった。
◆「え、おわり?」面接中に起きたまさかの悲劇
出版業界を目指していた都内の大学生3年生、池田桃也さん(現在24歳・仮名)は面接官に激詰めされて、あることを白状したという。

この時、池田さんはすっかり緊張感がなくなっていて、自然体で話し始めたという。それが、運の尽きだったとか。
「私、もともとは編集部志望だったんですけど、募集してなかったんで仕方なく販売部で応募したんですよ。それは隠しながら話すつもりだったのに、気が抜けちゃって、べらべらとこんな本作りたいとか言っちゃって(笑)」
◆志望動機に疑惑。面接官も曇り顔に
このときから面接官の顔がなんとなく曇っている感じがしたという。
「面接官が私に対して『ほんとに販売部で働きたいの?』なんて聞いてくるから、私もそこで気づきまして。ヤバいと思って、急遽軌道修正したんです。しかし、時すでに遅しで、面接官は『さっきと今のはどっちがやりたいの? 編集部志望だけど販売部応募みたいなこと?』とか言われて、逃がしてくれなくて」
池田さんはここでもう無理だと察知した。
「白状したんです。編集部の応募がなかったんで、販売部に応募しましたって。当然、面接官も呆れるような反応で、時間もあれだしここで終わりにしようかと言われました」
◆「正直、本命じゃないです」と観念して白状
池田さんはもうやり直す気力もなく、あえなく面接は終了した。そんな出来事が起きた数日後、驚きの連絡が舞い込んできたという。
「その会社の編集部から募集メールが届いたんですよ! 面接官の方が斡旋してくれたらしくて。ほんとに感謝しかないです。めちゃくちゃ嬉しかったな~」
その後、池田さんは色々あって別の出版社に転職したそうだが、この出来事は今でも心に深く残っているという。就活はツラくて大変なことも多いけれど、意外なところで上手く転がることがある。もし何か壁にぶつかったら、この話を思い出してほしい。
<取材・文/日刊SPA!取材班(南 来也)>