《暴行動画》「犬のほうがよっぽどかわいい」暴行看護師がはびこる「ふれあい沼津ホスピタル」の闇 から続く
精神科病院の保護室という密室で、目を覆いたくなるような事件が起こっていた。
【衝撃の暴行動画】患者を足蹴にするX
無抵抗の患者に白衣の男が近づいて蹴りを1発、続けてもう1発。壁際に追い詰めてさらに顔に1発――監視カメラが捉えたのは、男性看護師による患者への暴行の瞬間だ。看護師の表情はうかがえないが、暴力を振るわれた患者のおびえきった表情が痛ましい。
この監視カメラ映像は、静岡県沼津市にある「ふれあい沼津ホスピタル」で昨年9月に撮影されたものだ。問題の動画が病院の外部へと流出したのは昨年末。不祥事の発覚を受けた病院は、謝罪会見を開き、現在は県警による捜査や関係機関の調査が継続している状況だ。大手紙事件担当記者が言う。
患者への暴行がったふれあい沼津ホスピタル
「流出したのは、50代の准看護師Xによる40代の男性患者に対する2件の暴行動画でした。職員による患者への虐待はXのものだけではなく、40代の看護師Yが70代の男性患者を車椅子ごと転倒させてケガを負わせていた事実も、病院の会見で明らかになっています。本人たちは病院の聞き取りに対し、『食事を床に落として食べることが続き、暴行してしまった』(X)『患者が他の患者に危険な行為をしたのを止めるため』(Y)にやむなく手をあげてしまったと説明。両職員は10月末に自主退職したとのことです」
監視カメラの記録によると、患者への暴行があったのは9月。問題が公になったのはそれから約3カ月後の12月だった。この間に匿名の通報が行政に寄せられており、一部報道機関の取材も始まっていた。当事者である病院の対応は後手に回った。
「会見では報道陣から事件の隠蔽を疑う声も上がりました。病院の代理人弁護士は『事実関係の把握と職員の処分に時間がかかった』と説明し、病院の職員も『認識が甘かった』と謝罪しましたが、暴行を行った看護師らへの処分は10月にさっさと終えているので、納得した記者はいなかったのではないでしょうか。事件についての詳細を話すことにも消極的でしたし、不信感の残る会見でした」(民放事件担当記者)映像があるのに病院の説明はしどろもどろ 事実、謝罪会見では明かされなかった複数の疑惑がある。匿名を条件に取材に応じた「ふれあい沼津ホスピタル」の現役職員のAさんが明かす。「おかしなことはたくさんあります。まずはYの暴行なのですが、記者会見で事務長が『机を押すなどの迷惑行為をする患者さんを制止するために、Yが机を押して倒し、それと同時に被害患者も車椅子ごとひっくり返り指に擦り傷を負った』と説明した後に、記者から『蹴りもあったのではないか』と問われると『蹴っていたかもしれない……』といった具合で、映像があるにもかかわらずしどろもどろになっていました。実際の映像には、はっきりと蹴るというか踏みつける様子が映っています」Yの暴行は命にもかかわりかねないものだった Yの過剰な暴力を記録した映像もあるという。「Yは机を押したどころか、かなり強い力で投げ飛ばしており、机は患者さんの頭上を飛び越えるように飛んでいます。机は4人がけの四角い木製のもので成人男性でも一人で持つのはちょっとしんどいと感じるくらいの重さがあります。なので、一歩間違えれば命にもかかわりかねないとんでもない行為だったんです。しかも、車椅子で倒れた患者さんをYは乱暴にひきずって動かし、踏みつけるように蹴りをいれていました。『蹴ったかもしれない』なんてレベルではありません。病院幹部は、残された動画をしっかり確認しておきながら、きちんと説明していないんです。これは患者さんの家族に対しても同様で、会見では『被害届を出す意向がなかった』と家族の対応を明かしていますが、そもそも家族は詳しい暴行を知らされていなかった。単に手の傷を負ったとしか説明されていなかったようで、車椅子ごと転倒していたことも会見で初めて知ったくらいですから。こういう事情があるので病院上層部は隠蔽しようとしていたと確信しています」(Aさん) 穏当な表現で暴行の事実を覆い隠そうとしていたなら由々しき事態だ。Xに関するAさんの証言も重い。表に出ていないだけで他にも数々の問題が「病院上層部は、暴行は他にないと断言しましたが、彼の虐待行為は常習的でした。今回の被害者の他にも異常なほどXを恐れる患者さんが複数いるんです。50代の女性患者はXに腕を思い切り掴まれ暴力をふるわれた。『こんなの暴力じゃない、もっとひどいことをしてやろうか』などと言われたと訴えています。患者さんに対して『犬のほうがよっぽどかわいい』と暴言を吐くなど、振る舞いからして問題がありました」 看護職員のBさんは病院上層部の“隠蔽体質”を強く非難した。「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています。表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性で、別の職員が暴行をしていた証拠です。私自身は他の精神科病院での勤務の経験もありますが、ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」全職員と患者へのアンケートを実施 病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)事件の背景に厳しい看護現場 別の職員Cさんはこうも話している。「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」 医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」 昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「会見では報道陣から事件の隠蔽を疑う声も上がりました。病院の代理人弁護士は『事実関係の把握と職員の処分に時間がかかった』と説明し、病院の職員も『認識が甘かった』と謝罪しましたが、暴行を行った看護師らへの処分は10月にさっさと終えているので、納得した記者はいなかったのではないでしょうか。事件についての詳細を話すことにも消極的でしたし、不信感の残る会見でした」(民放事件担当記者)
事実、謝罪会見では明かされなかった複数の疑惑がある。匿名を条件に取材に応じた「ふれあい沼津ホスピタル」の現役職員のAさんが明かす。
「おかしなことはたくさんあります。まずはYの暴行なのですが、記者会見で事務長が『机を押すなどの迷惑行為をする患者さんを制止するために、Yが机を押して倒し、それと同時に被害患者も車椅子ごとひっくり返り指に擦り傷を負った』と説明した後に、記者から『蹴りもあったのではないか』と問われると『蹴っていたかもしれない……』といった具合で、映像があるにもかかわらずしどろもどろになっていました。実際の映像には、はっきりと蹴るというか踏みつける様子が映っています」
Yの暴行は命にもかかわりかねないものだった Yの過剰な暴力を記録した映像もあるという。「Yは机を押したどころか、かなり強い力で投げ飛ばしており、机は患者さんの頭上を飛び越えるように飛んでいます。机は4人がけの四角い木製のもので成人男性でも一人で持つのはちょっとしんどいと感じるくらいの重さがあります。なので、一歩間違えれば命にもかかわりかねないとんでもない行為だったんです。しかも、車椅子で倒れた患者さんをYは乱暴にひきずって動かし、踏みつけるように蹴りをいれていました。『蹴ったかもしれない』なんてレベルではありません。病院幹部は、残された動画をしっかり確認しておきながら、きちんと説明していないんです。これは患者さんの家族に対しても同様で、会見では『被害届を出す意向がなかった』と家族の対応を明かしていますが、そもそも家族は詳しい暴行を知らされていなかった。単に手の傷を負ったとしか説明されていなかったようで、車椅子ごと転倒していたことも会見で初めて知ったくらいですから。こういう事情があるので病院上層部は隠蔽しようとしていたと確信しています」(Aさん) 穏当な表現で暴行の事実を覆い隠そうとしていたなら由々しき事態だ。Xに関するAさんの証言も重い。表に出ていないだけで他にも数々の問題が「病院上層部は、暴行は他にないと断言しましたが、彼の虐待行為は常習的でした。今回の被害者の他にも異常なほどXを恐れる患者さんが複数いるんです。50代の女性患者はXに腕を思い切り掴まれ暴力をふるわれた。『こんなの暴力じゃない、もっとひどいことをしてやろうか』などと言われたと訴えています。患者さんに対して『犬のほうがよっぽどかわいい』と暴言を吐くなど、振る舞いからして問題がありました」 看護職員のBさんは病院上層部の“隠蔽体質”を強く非難した。「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています。表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性で、別の職員が暴行をしていた証拠です。私自身は他の精神科病院での勤務の経験もありますが、ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」全職員と患者へのアンケートを実施 病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)事件の背景に厳しい看護現場 別の職員Cさんはこうも話している。「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」 医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」 昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
Yの過剰な暴力を記録した映像もあるという。
「Yは机を押したどころか、かなり強い力で投げ飛ばしており、机は患者さんの頭上を飛び越えるように飛んでいます。机は4人がけの四角い木製のもので成人男性でも一人で持つのはちょっとしんどいと感じるくらいの重さがあります。なので、一歩間違えれば命にもかかわりかねないとんでもない行為だったんです。しかも、車椅子で倒れた患者さんをYは乱暴にひきずって動かし、踏みつけるように蹴りをいれていました。『蹴ったかもしれない』なんてレベルではありません。病院幹部は、残された動画をしっかり確認しておきながら、きちんと説明していないんです。これは患者さんの家族に対しても同様で、会見では『被害届を出す意向がなかった』と家族の対応を明かしていますが、そもそも家族は詳しい暴行を知らされていなかった。単に手の傷を負ったとしか説明されていなかったようで、車椅子ごと転倒していたことも会見で初めて知ったくらいですから。こういう事情があるので病院上層部は隠蔽しようとしていたと確信しています」(Aさん)
穏当な表現で暴行の事実を覆い隠そうとしていたなら由々しき事態だ。Xに関するAさんの証言も重い。
「病院上層部は、暴行は他にないと断言しましたが、彼の虐待行為は常習的でした。今回の被害者の他にも異常なほどXを恐れる患者さんが複数いるんです。50代の女性患者はXに腕を思い切り掴まれ暴力をふるわれた。『こんなの暴力じゃない、もっとひどいことをしてやろうか』などと言われたと訴えています。患者さんに対して『犬のほうがよっぽどかわいい』と暴言を吐くなど、振る舞いからして問題がありました」
看護職員のBさんは病院上層部の“隠蔽体質”を強く非難した。「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています。表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性で、別の職員が暴行をしていた証拠です。私自身は他の精神科病院での勤務の経験もありますが、ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」全職員と患者へのアンケートを実施 病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)事件の背景に厳しい看護現場 別の職員Cさんはこうも話している。「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」 医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」 昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
看護職員のBさんは病院上層部の“隠蔽体質”を強く非難した。
「院長や看護部長らは会見で、Xの暴行が2件、Yの暴行が1件の計3件しか問題はなかったと話しています。表に出ていないだけで、Xが数々の問題を起こしていたことは多くの職員が知っています。XとYの2人だけじゃありません。例えば、患者さんが『バケツで殴られた』『何かで叩かれた』と訴えていたという記録が残っています。この患者さんの担当職員は女性で、別の職員が暴行をしていた証拠です。私自身は他の精神科病院での勤務の経験もありますが、ここまで職員の看護態様がひどい病院は他に知りません」
全職員と患者へのアンケートを実施 病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)事件の背景に厳しい看護現場 別の職員Cさんはこうも話している。「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」 医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」 昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
病院は今回の事件を受け、全職員と患者をあわせた約480人を対象にしたアンケートを行った。Bさんによると、職員や患者の話から、XとYの他にも少なくない人数の職員の虐待行為を訴える声が集まっている可能性が高いという。
「明るみに出ていない問題が山積しているのに、病院上層部はその場しのぎで今回の問題を片付けようとしているのは明白です。平気で嘘もつく。例えば会見でYについて、問題発覚後に患者と関わらない看護部長付に異動させたと言っていましたが、外来で患者さんの相手を普通にしていましたよ。さらに、上層部は誰がXの暴行動画を流出させたのかという犯人捜しに躍起になっています。問題を矮小化しようとする上層部に愛想がつきたので、取材に応じることにしました。記者会見でもマスコミに指摘されていましたが、病院は間違いなく暴行、虐待を隠蔽しようとしていた。少なくとも現場の人間の多くはそう考えています」(Bさん)
別の職員Cさんはこうも話している。
「うちの病院は利益至上主義で、採用も抑えて職員の人数もギリギリなんです。まるで十分な人員がいるかのように対外的には振舞っていますが、実際はもっと少ない。多めにサバを読んでいるんです。患者に手を出したXやYの暴行は断じて許すことはできませんが、厳しい看護現場のある種の『被害者』であるとも言えるんです」
医療現場の過酷さはつとに知られ、精神科は患者への対応も難しく神経をすり減らす職場だ。人手の少なさ、膨大な仕事量は暴行・虐待の言いわけにはならないとCさんは重々分かっているが、あえて言う。
「Xの暴行は精神状態が特に悪い患者さんを隔離する保護室という密室で行われました。病院のルールでは保護室での対応は職員2人でやることになっている。しかし、実際に2人で看護をすることは人数の問題から不可能なんです。別の職員の目があればXもあんなことはできなかったでしょう。現場を全く理解していない加藤政利院長や石川洋二事務責任者、栗原えみ看護部長はしっかりと再発防止に向けて膿を出して欲しいです」
昨年末以降、「ふれあい沼津ホスピタル」は揺れに揺れている。患者家族に対して行われた説明会では、病院側の対応に一部家族が強く抗議して紛糾。院内の研修では現場職員と経営陣が激しく衝突したという。事件の全容解明に向け静岡県警の捜査も続く。 一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。 まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
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一連の職員からの告発について「ふれあい沼津ホスピタル」を取材したが、期限までになんら回答はなかった。
まさに内憂外患。病院自身が抱える病は、果たして治せるか。
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