エスカレーターは歩かずに立ち止まって利用することを義務付けた条例案が先月、名古屋市議会に提出されました。同じように、おととし全国で初めて義務付けた埼玉県では、意外な結果となり、海外メディアまでが報じています。
■「歩行禁止」条例制定も…“ルール無視”多発
ドイツの新聞に「エスカレーターと規律の限界」という見出しとともに掲載されているのは、日本のエスカレーターの写真です。
おととし10月、「エスカレーターを立ち止まって利用しなければならない」とする条例が、全国で初めて制定された埼玉県。背景にあるのは、多発するエスカレーターでの事故です。
半数以上が歩いたり、手すりを持たなかったりなどの乗り方が原因で起きた事故でした。
条例制定直後は守る人も多かったということですが、1年4カ月が経った先月、大宮駅のエスカレーターでは、夕方のラッシュの時間ですが、多くの人が左側に立ち止まって利用しています。空いている右側は、歩く人がいます。
埼玉県の調査では、まだ4分の1の人がエスカレーターを歩いて利用していると回答しています。
利用者:「以前と全然変わらない。混んでいる時間帯は、乗り換えとか、時間に制約があると思うので」
なかなか条例が守られない状況を見て、ドイツの新聞は「日本が重んじる調和の原則が、なぜここでは機能しないのか」と伝えています。
■専門家「歩くことにダメ出しの理由わからない」
専門家は、次のように話します。
筑波大学・水野智美准教授:「色々な調査で、歩く人にとって、なぜ歩くことがいけないのか分からないというような回答が多く出されている。歩いている人は、自分が転んだり、けがをするわけではないから、歩くことにダメ出しをされる理由が分からない」
埼玉県は、引き続き利用者に呼び掛けを行っていくということです。