埼玉県戸田市の美笹中学校に侵入して、男性教員を刃物で切りつけたとして殺人未遂の疑いで逮捕された男子高校生(17)が「無差別殺人に興味があった」「人を殺したらどうなるのか興味があり、見てみたかった」などと供述していることが2日、分かった。2月に相次いだ猫の殺害もほのめかしており、酒鬼薔薇聖斗事件を連想させる。同時に「キレる17歳」をも思わせ、模倣犯が懸念されている。
少年は取り調べに対して無差別殺人願望を明かし、白昼堂々と中学校に侵入したことについても「確実に学校がやってるため」あえて狙ったと供述。複数の刃物を所持しているなど、強い殺意をうかがわせる。
一方で少年は2月にさいたま市内で猫の死骸が見つかった事件についても「自分が殺した」と話しているという。2月13、16、17日にさいたま市南区で猫の死骸が発見。事件の起きた中学校とは約2キロしか離れていない。
また、同26日にはさいたま市桜区でも猫の死骸が見つかった。こちらは現場の中学校から約8キロと距離がある。少年の自宅があるさいたま市浦和区から考えても近くはない。ネットでは「猫の犯人は別にいる可能性もある」「別人な気がするんだよなあ」など疑問の声もなくはない。
桜区の発見現場は荒川の支流である鴨川河川敷にある。最寄り駅からは徒歩30分ほど。地元住民は「この河川敷は日中でも人通りはそんなに多くありません。誰かが猫の死骸を置いて行っても目撃されにくいです」と話した。
戸田市とは離れており生活圏は完全に別。「でも、中高生だったら自転車で来れちゃう距離ですよ」(同)と指摘。実際に逮捕された少年は自宅から離れている現場の中学校に自転車で乗りつけていた。「それは理解できます。猫も家の近くでは死骸を捨てれないから自転車で運んできたのかも」(同)。自転車があれば桜区も戸田市も無理のない距離だというわけだ。
一方で新たに判明した無差別殺人への強い関心も話題だ。猫の殺害から1997年の神戸連続児童殺傷事件を思い起こす人も多いだろうが、「キレる17歳」との共通点もある。
キレる17歳とは2000年に相次いだ17歳による事件から取られた言葉だ。同年5月に豊川市主婦殺人事件が発生。17歳の男子高校生が逮捕されたが、「殺人の体験をしてみたかった」という趣旨の供述をしていた。その2日後には西鉄バスジャック事件が起きた。犯人の17歳少年は豊川市主婦殺人事件から影響を受けていたことが分かっている。
その後も立て続けに17歳前後による事件が続いた年だったが、豊川市主婦殺人事件から西鉄バスジャック事件は特に関連が強い。
今回の事件と当時の事件は年齢だけでなく、殺人への興味が重なる。キレる17歳世代の40代男性は「当時のように触発されて模倣犯が出なければよいのですが」と指摘。警戒したい。