京都市北区の大学生だった女性が毒性の強いタリウムの投与で殺害された事件で、宮本一希容疑者(37)=殺人容疑で逮捕=は逮捕前、「警察に疑われているが、僕は全然関係ない」と周囲に話していたことが知人らへの取材で判明した。大阪府警の任意聴取にも関与を否定していたという。府警はタリウムの入手経路や動機を特定する関与の裏付け捜査を進めている。
イラストレーターの夢、かなわず 被害の大学生 宮本容疑者はどのように劇物のタリウムを入手したのか。専門家は「ネズミを駆除する殺そ剤として手に入りやすい時期もあったが、代替薬の普及で今は薬局でもほぼ取り扱いがない」と指摘する。

粉末は水に溶けやすく、無味無臭で混入に気付きにくいとされるタリウム。ひとたび摂取すれば、下痢や嘔吐(おうと)など消化器系の症状や強い神経症状を引き起こす。わずか1グラムで成人の致死量とされている。 化合物の硫酸タリウムなどは毒劇物取締法で劇物に指定され、厳格な管理が求められている。販売業者は自治体への登録が必要で、購入者の氏名や職業、住所、購入数量を書面に記録することが義務付けられている。18歳未満は購入できない。 毒性学の研究者によると、殺そ剤の代替薬の流通やタリウムの悪用が発覚した2015年の名古屋大生による殺人未遂事件などをきっかけにタリウムの取り扱いが激減。研究者が研究用の試薬などとして業者から直接購入するのが大半で、一般の消費者が購入することは困難になっているという。 この専門家は「薬局やホームセンターで入手することは考えにくい。過去に何らかの目的で購入されたものが悪用された可能性もある」と語った。【森口沙織】
宮本容疑者はどのように劇物のタリウムを入手したのか。専門家は「ネズミを駆除する殺そ剤として手に入りやすい時期もあったが、代替薬の普及で今は薬局でもほぼ取り扱いがない」と指摘する。
粉末は水に溶けやすく、無味無臭で混入に気付きにくいとされるタリウム。ひとたび摂取すれば、下痢や嘔吐(おうと)など消化器系の症状や強い神経症状を引き起こす。わずか1グラムで成人の致死量とされている。
化合物の硫酸タリウムなどは毒劇物取締法で劇物に指定され、厳格な管理が求められている。販売業者は自治体への登録が必要で、購入者の氏名や職業、住所、購入数量を書面に記録することが義務付けられている。18歳未満は購入できない。
毒性学の研究者によると、殺そ剤の代替薬の流通やタリウムの悪用が発覚した2015年の名古屋大生による殺人未遂事件などをきっかけにタリウムの取り扱いが激減。研究者が研究用の試薬などとして業者から直接購入するのが大半で、一般の消費者が購入することは困難になっているという。
この専門家は「薬局やホームセンターで入手することは考えにくい。過去に何らかの目的で購入されたものが悪用された可能性もある」と語った。【森口沙織】