コーンロウのイメージ(写真・AC)
3月28日、兵庫県教育委員会は、姫路市内の県立高校の卒業式で、3年生の男子生徒をほかの卒業生と違う場所に出席させる事案があったと発表した。
理由は、髪型の校則違反だ。一部報道によると、男子生徒の父親はアメリカ国籍を持つ黒人。生徒は卒業式の日に合わせ、自らのルーツを踏まえた髪型である“コーンロウ”にしたという。
「学校は頭髪について『高校生らしい清潔なもの』と校則で定めており、生徒は卒業式の前日までに『頭髪が長いので切るように』と3回、指導されていたそうです。そして当日、生徒が登校すると、学校側は男子生徒を生徒指導室で指導。卒業式が始まると、ほかの卒業生とは同席させず、隔離するように会場の2階席に座らせ、名前を呼ばれても返事をしないように指導したというのです」(事件担当記者)
会見で、兵庫県教育委員会の新谷浩一高校教育課長は、
「なんでそういう髪形かと質問があれば、もしかしたら民族のルーツという話もあったかもしれませんが、そういった話し合いもできなくて。約束を守ってもらえなかったというところの戸惑い、驚き、その部分も大きかったんですかね」
と明かし、今回の対応は「十分でなかった」とした。
「学校側の姿勢を批判する声がある一方、生徒や両親がルーツの部分も含めて、学校側にきちんと説明すべきだったという声もあがっています」
実際ネット上では、
《どんな髪型がベストなのかを生徒と一緒に考えるくらいの柔軟さが必要だった》
《そもそも中学高校で、頭髪指導を一生懸命やっている意味が分からない》
など学校を批判する声がある一方で、
《卒業式に突然この髪型でこられたら学校だって困惑するでしょう》
《生徒側から事前に説明するべきだったんじゃないかな》
と、生徒側にも非があった、と指摘する声も出ている。当該の県立高校は、どのように考えているのだろうか。電話で確認すると、教頭が対応し、
――コーンロウで卒業式に出席した生徒への対応について、適切だったとお考えですか。
「昨日、教育委員会が会見を開いたと思いますが、我々としてはそれ以上のことは言えません」
――学校として、何らかの発表をおこなう予定はありますか。
「個人情報保護の観点から、教育委員会の説明がすべてとだけしか答えられません」
と、具体的な回答を拒否した。
「賛否が分かれているため、学校名を公表すると、生徒に対して誹謗中傷が寄せられる可能性があるため、どこの高校なのか実名を発表できないということでしょう。とはいえ、いわゆる“ブラック校則”が問題視されるようになってきたなかで、学校側もただこれまでの校則を維持していけばよい、という時代でないのは間違いありません」(前出・事件担当記者)
大切な卒業式をみんなと出席させる、そんな人情は高校にはなかったのだろうか。