回転寿司チェーン大手の一角「はま寿司」で、消費期限切れのネタを提供する行為が横行していた疑いがあることが分かった。今回、福島県にある「はま寿司 郡山堤店」の3人の従業員が「週刊文春」の取材に応じ、実態を告発した。
【写真多数】使用期限(消費期限)を示すラベルの改ざんが当たり前のように行われてきた、はま寿司を見る
「これでは安くて新鮮なお寿司を楽しみに来てくれるお客さんへの裏切り行為です」
そう憤るのは、従業員のA氏である。
はま寿司は、北海道から沖縄まで全国に575店舗を構え、店舗数ではスシローに次ぐ2位。「1皿100円」を売りに、売上高は1000億円を超え、スシロー、くら寿司に次ぐ業界3位となっている。親会社は「すき家」などで知られる外食大手のゼンショーホールディングスだ。
福島県にある「はま寿司 郡山堤店」
「郡山堤店では、店長の指示のもと、長年にわたって使用期限(消費期限)切れのネタの使用やラベルの改ざんが行われてきました。シャリに載せる大きさに切ったマグロやサーモンなどの寿司ネタは、いったんトレイに入れられ、それぞれのトレイに使用期限のラベルが貼られます。当然使用期限が過ぎたネタは、本来、廃棄対象です」(同前)
だが、ロスが多ければ当然経営は悪化してしまう。そこで、「うちでは、使用期限が過ぎたネタをそのままお客さんに提供する行為が、何年もの間、行われてきました。特に多かったのが、売上の多い週末や祝日、大型連休やお盆などの繁忙期です」(同前)サイドメニューの使用期限の改ざんは日常茶飯事 元従業員B氏も取材に応じ、手口を明かした。「辻褄合わせのため使用期限を示すラベルの貼り替えが当たり前のように行われていました。例えばサーモンの期限が間もなく切れそうになると、新たに期限が先のラベルを出して貼り直すように指示されるんです」 いつ誰にラベルを見られてもいいように体裁を整えるのだ。 使用期限の改ざんは、寿司ネタだけに留まらない。別の従業員C氏が明かす。「枝豆やパフェ、揚げ物などのサイドメニューも提供までの使用期限は決まっています。でも、それが過ぎて提供されることは日常茶飯事でした」ゼンショーの子会社は「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査を決行 さらに、A氏はこう証言する。「こうした問題行為は郡山堤店に限った話ではないはずです。私が他県の店舗などにヘルプに行ったときにも普通に見かけたことがありますから」 こうした行為が横行している実態について、はま寿司本社に内部告発がなされたのは今年2月。その結果、2月4日にゼンショーの子会社によって「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査が行われたという。 3月下旬、郡山堤店の店長を直撃すると、「申し訳ないですが、すべて本部を通してください」 そこでゼンショーに尋ねると、「回答期限までに詳細な事実確認が難しいので、確実にお答えできるもののみ」と断ったうえで、広報室より回答があった。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケがない」「2月4日にはま寿司の親会社であるQSRホールディングス(ゼンショーの子会社)の食品安全担当が同店の立ち入り検査を実施しました。その際、使用期限の過ぎた食材が未使用の形で発見されたものの、ロス食材は後で廃棄されてロス報告されることも多く、その使用期限切れ食材が実際に(利用客に対して)使用されたかどうかは確認できていません」 対して、前出のC氏はこう嘆く。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケはありませんよね」 他の寿司チェーンが値上げを余儀なくされる現在も、80種以上が「1皿100円」と謳い、リーズナブルな価格設定を維持しているのがはま寿司の特徴だ。その裏にあるのがこうした行為だとしたら、はま寿司本社や親会社のゼンショーにも責任が生じてくる。本社によるさらに詳細な調査や今後の説明が待たれる。 3月30日(木)発売の「週刊文春」では、こうした行為が止められなかった背景にあった店長のパワハラ体質などについても報じている。さらに3月29日(水)16時配信の「電子版オリジナル」では、従業員の苦悩や問題行為の手口について、はま寿司の店舗運営の実態について詳報している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)
だが、ロスが多ければ当然経営は悪化してしまう。そこで、
「うちでは、使用期限が過ぎたネタをそのままお客さんに提供する行為が、何年もの間、行われてきました。特に多かったのが、売上の多い週末や祝日、大型連休やお盆などの繁忙期です」(同前)
元従業員B氏も取材に応じ、手口を明かした。
「辻褄合わせのため使用期限を示すラベルの貼り替えが当たり前のように行われていました。例えばサーモンの期限が間もなく切れそうになると、新たに期限が先のラベルを出して貼り直すように指示されるんです」
いつ誰にラベルを見られてもいいように体裁を整えるのだ。
使用期限の改ざんは、寿司ネタだけに留まらない。別の従業員C氏が明かす。「枝豆やパフェ、揚げ物などのサイドメニューも提供までの使用期限は決まっています。でも、それが過ぎて提供されることは日常茶飯事でした」ゼンショーの子会社は「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査を決行 さらに、A氏はこう証言する。「こうした問題行為は郡山堤店に限った話ではないはずです。私が他県の店舗などにヘルプに行ったときにも普通に見かけたことがありますから」 こうした行為が横行している実態について、はま寿司本社に内部告発がなされたのは今年2月。その結果、2月4日にゼンショーの子会社によって「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査が行われたという。 3月下旬、郡山堤店の店長を直撃すると、「申し訳ないですが、すべて本部を通してください」 そこでゼンショーに尋ねると、「回答期限までに詳細な事実確認が難しいので、確実にお答えできるもののみ」と断ったうえで、広報室より回答があった。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケがない」「2月4日にはま寿司の親会社であるQSRホールディングス(ゼンショーの子会社)の食品安全担当が同店の立ち入り検査を実施しました。その際、使用期限の過ぎた食材が未使用の形で発見されたものの、ロス食材は後で廃棄されてロス報告されることも多く、その使用期限切れ食材が実際に(利用客に対して)使用されたかどうかは確認できていません」 対して、前出のC氏はこう嘆く。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケはありませんよね」 他の寿司チェーンが値上げを余儀なくされる現在も、80種以上が「1皿100円」と謳い、リーズナブルな価格設定を維持しているのがはま寿司の特徴だ。その裏にあるのがこうした行為だとしたら、はま寿司本社や親会社のゼンショーにも責任が生じてくる。本社によるさらに詳細な調査や今後の説明が待たれる。 3月30日(木)発売の「週刊文春」では、こうした行為が止められなかった背景にあった店長のパワハラ体質などについても報じている。さらに3月29日(水)16時配信の「電子版オリジナル」では、従業員の苦悩や問題行為の手口について、はま寿司の店舗運営の実態について詳報している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)
使用期限の改ざんは、寿司ネタだけに留まらない。別の従業員C氏が明かす。
「枝豆やパフェ、揚げ物などのサイドメニューも提供までの使用期限は決まっています。でも、それが過ぎて提供されることは日常茶飯事でした」
ゼンショーの子会社は「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査を決行 さらに、A氏はこう証言する。「こうした問題行為は郡山堤店に限った話ではないはずです。私が他県の店舗などにヘルプに行ったときにも普通に見かけたことがありますから」 こうした行為が横行している実態について、はま寿司本社に内部告発がなされたのは今年2月。その結果、2月4日にゼンショーの子会社によって「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査が行われたという。 3月下旬、郡山堤店の店長を直撃すると、「申し訳ないですが、すべて本部を通してください」 そこでゼンショーに尋ねると、「回答期限までに詳細な事実確認が難しいので、確実にお答えできるもののみ」と断ったうえで、広報室より回答があった。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケがない」「2月4日にはま寿司の親会社であるQSRホールディングス(ゼンショーの子会社)の食品安全担当が同店の立ち入り検査を実施しました。その際、使用期限の過ぎた食材が未使用の形で発見されたものの、ロス食材は後で廃棄されてロス報告されることも多く、その使用期限切れ食材が実際に(利用客に対して)使用されたかどうかは確認できていません」 対して、前出のC氏はこう嘆く。「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケはありませんよね」 他の寿司チェーンが値上げを余儀なくされる現在も、80種以上が「1皿100円」と謳い、リーズナブルな価格設定を維持しているのがはま寿司の特徴だ。その裏にあるのがこうした行為だとしたら、はま寿司本社や親会社のゼンショーにも責任が生じてくる。本社によるさらに詳細な調査や今後の説明が待たれる。 3月30日(木)発売の「週刊文春」では、こうした行為が止められなかった背景にあった店長のパワハラ体質などについても報じている。さらに3月29日(水)16時配信の「電子版オリジナル」では、従業員の苦悩や問題行為の手口について、はま寿司の店舗運営の実態について詳報している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)
さらに、A氏はこう証言する。
「こうした問題行為は郡山堤店に限った話ではないはずです。私が他県の店舗などにヘルプに行ったときにも普通に見かけたことがありますから」
こうした行為が横行している実態について、はま寿司本社に内部告発がなされたのは今年2月。その結果、2月4日にゼンショーの子会社によって「はま寿司 郡山堤店」への立ち入り検査が行われたという。
3月下旬、郡山堤店の店長を直撃すると、
「申し訳ないですが、すべて本部を通してください」
そこでゼンショーに尋ねると、
「回答期限までに詳細な事実確認が難しいので、確実にお答えできるもののみ」と断ったうえで、広報室より回答があった。
「2月4日にはま寿司の親会社であるQSRホールディングス(ゼンショーの子会社)の食品安全担当が同店の立ち入り検査を実施しました。その際、使用期限の過ぎた食材が未使用の形で発見されたものの、ロス食材は後で廃棄されてロス報告されることも多く、その使用期限切れ食材が実際に(利用客に対して)使用されたかどうかは確認できていません」
対して、前出のC氏はこう嘆く。
「本部の人が来ている目の前で期限切れのネタを提供するワケはありませんよね」
他の寿司チェーンが値上げを余儀なくされる現在も、80種以上が「1皿100円」と謳い、リーズナブルな価格設定を維持しているのがはま寿司の特徴だ。その裏にあるのがこうした行為だとしたら、はま寿司本社や親会社のゼンショーにも責任が生じてくる。本社によるさらに詳細な調査や今後の説明が待たれる。
3月30日(木)発売の「週刊文春」では、こうした行為が止められなかった背景にあった店長のパワハラ体質などについても報じている。さらに3月29日(水)16時配信の「電子版オリジナル」では、従業員の苦悩や問題行為の手口について、はま寿司の店舗運営の実態について詳報している。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)
3月30日(木)発売の「週刊文春」では、こうした行為が止められなかった背景にあった店長のパワハラ体質などについても報じている。さらに3月29日(水)16時配信の「電子版オリジナル」では、従業員の苦悩や問題行為の手口について、はま寿司の店舗運営の実態について詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)