珍しい回送列車を撮ろうと、東京都東村山市内のJR武蔵野線・新秋津駅のホームに鉄道ファン約50人が集まり、撮影を巡ってトラブルになったことが分かった。
一部のファン同士でケンカになり、うち1人が顔を殴られ出血したとの情報もネット上で流れた。警察や救急隊も出動しており、JR東日本八王子支社は、「お客様のトラブルが発生しました」と取材に説明している。
このトラブルについては、ツイッター上で2023年3月28日深夜、動画や写真が次々に投稿された。それらを見ると、一部のファン同士が罵声を浴びせ合ったり、救急隊が担架をホームに置いて活動したりする様子が映っていた。
ファンらは、回送列車が駅に近づくと、「下がれよ!」「お前だよ、お前だよ、ハゲ」などとお互いに言い合いをしていた。中には、一部ファンが一般客に場所を移動するよう求めたり、黄色い線の内側を走ったりしたという情報もあった。
一方で、「罵声止めろって、譲り合おう」「ほんとに危ねえだろがよ」などと注意するファンもいた。救急隊が到着すると、「担架来るから、後ろもっと下がれ」との呼びかけも出て、現場は混乱していた。
そんな中で、ファンの1人が別のファンを殴り、被害者のファンがまぶたの上を切って出血したと伝える投稿もいくつか出た。カメラのレンズが壊されたことが原因との目撃証言もあったが、真相は不明だ。
JR東日本八王子支社の広報担当者は29日、J-CASTニュースの取材に対し、前日28日の22時ごろに、撮影目的の鉄道ファン約50人が新秋津駅に集まり、上り線のホームでトラブルが発生したと説明した。ホームにいた客が最初に119番通報したという。
トラブルの内容については、JR東日本八王子支社では、「警視庁の東村山署で対応していますので、警察に聞いて下さい」と話した。マナーが悪い鉄道ファンがいたかについては、「詳細については分かりかねます」としている。
トラブルのあったときは、青とクリーム色のツートンカラーで人気がある国鉄時代からの電気機関車EF64形が、「いろは」の愛称で知られる205系の列車をけん引して、新秋津駅に入って来た。駅には、22時過ぎから、約20分間にわたって停車している。
205系は、栃木県内のJR日光線を走っていた電車で、現役を終えて廃車にするため、栃木県内から長野県内の車両センターに移動しているところだった。今回の廃車回送について、JRでは、発表していないとしたが、なぜこの情報が出回ったのかについては分からないという。
警視庁の東村山署は3月29日、取材に対し、「新秋津駅での取り扱いはありましたが、広報事案ではありませんので、その内容をお話しすることはできません」と答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)