10代の少女が、SNSを通じて知り合った男に誘い出される事件が、都内で、2件相次いで発生した。現行犯逮捕された20代前半の男2人は、「遊ぼう」などと言って、言葉巧みに、少女たちを誘いだしていた。
私立大学生の諏訪本悠容疑者(22)は、今月24日午後、SNSでやり取りしていた都内の小学生の女の子を、「家で遊ぼう」と誘い出し、さいたま市の自宅に連れ込んだとされる。
事件当日は金曜日だった。正午過ぎに、女の子の親から、警視庁練馬署に「娘が学校に行っていないかもしれない」「SNSで知り合った男と会っているかもしれない」などと相談が寄せられたという。練馬署が、学校側に確認したところ、登校していないことが判明。
防犯カメラの映像をつなぎ合わせる”リレー捜査”により、女の子が、午前10時半ごろ、ひとりで外出し、電車に乗って、諏訪本容疑者宅に向かっていたことを突き止めたという。
午後3時半ごろ、捜査員が容疑者宅を訪れ、女の子を無事保護。諏訪本容疑者を、未成年者誘拐の現行犯で逮捕した。親から相談を受けて、およそ3時間でのスピード逮捕となった。諏訪本容疑者は、家族と同居しているが、当時、室内には、2人だけしかいなかったという。
女の子は猫が好きで、容疑者宅では、猫と遊んでいたとみられている。ケガなどはなかった。調べに対して諏訪本容疑者は、「未成年の女の子に対して『うちで遊ぼう』などのメッセージを送って誘い出し、自宅に連れて行ったことにまちがいありません」と容疑を認めている。
また動機については、「猫と遊ばせてあげたかった」「女の子とお話がしたかった」などと話している。
一方、埼玉県・朝霞市の無職・吉沢優人容疑者(20)は、SNSを通じて知り合った都内に住む10代の少女を、今月23日夕方から、翌日の午前中にかかけて、都内のカラオケ店などに連れ回したとされる。
遊び相手を探していた吉沢容疑者は、SNSに「遊ぼう」などと投稿。被害者の少女が、それに応じて、事件当日の午後5時ごろ、上野駅で待ち合わせたとのこと。その後、吉沢容疑者は、およそ19時間に渡って、少女と一緒にいて、食事やカラオケ店などに連れ回したという。
午後10時ごろになって、少女の母親から、警視庁荏原署に対して、「娘が『これから友達とご飯を食べに行く』と言ったので、19時までに帰るように伝えたが、未だに帰ってこない」と相談が寄せられたという。
その後、防犯カメラのリレー捜査により、少女の行方を捜したごろ、翌24日正午前、台東区内の路上で、少女と吉沢容疑者を発見。近くの交番で事情を聴き、吉沢容疑者を未成年者誘拐の現行犯で逮捕した。少女については児童相談所に通告したという。
2人は、この日、初対面だった。母親は、自分の娘が、SNSを通じて、吉沢容疑者と連絡を取り合っていたことを知らなかったそうだ。
調べに対して吉沢容疑者は「未成年であることも分かっていたし、親の元に帰さないといけないということも分かっていました。すみません、申し訳ないと思っています」と話している。
現在、法務省では、SNSを通じて知り合った少年・少女に、接近する行為を罰する「グルーミング罪」の創設に向けた議論が進んでいる。
そんな中、都内で相次いだ、同じような手口の未成年者誘拐事件。罪の意識が低く、あっさりと、2人の若い男が逮捕された。悪質な犯行で許されないが、被害者側の落ち度も指摘されるべきだろう。春休みを前に、警鐘を鳴らす事件となった。