今後起こりうる最大級の津波によって浸水する恐れのある幼稚園や保育所などの幼保施設が、全国に少なくとも3276カ所あることが毎日新聞の分析で明らかになった。認知症グループホームや特別養護老人ホームなどの高齢者施設は、少なくとも2386カ所で浸水する可能性がある。浸水域にあるこれらの施設が、津波の恐れがある市町村に立地する全ての幼保施設、高齢者施設に占める割合はいずれも1割を超える。未就学児や高齢者ら自力での避難が難しい災害弱者が津波の脅威にさらされる実態が浮かぶ。
【浸水域にある幼保施設の道府県別の割合】 2012年全面施行の津波防災地域づくり法に基づき、津波の被害が懸念される都道府県は南海トラフ巨大地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などを想定した最大級の津波の浸水域を設定する必要がある。海岸や河川に面し、津波の恐れがあるのは40都道府県。うち39道府県の沿岸部662市町村について、毎日新聞は複数のデータを重ね合わせられる「地理情報システム(GIS)」を使い、国や自治体が23年2月1日までに個別に公表している浸水域と各施設の位置情報のデータを分析した。現時点で法に基づく浸水域を設定していない東京都は除外し、公表されていない自治体の一部データも除いた。 分析によると、39道府県662市町村には幼保施設が計2万3257カ所あり、14%にあたる3276カ所は最大級の津波を想定した浸水域に含まれた。高齢者施設は計1万8705カ所で、うち13%の2386カ所が浸水域にあった。 小中高校や特別支援学校などの学校は計1万8428カ所中2211カ所、12%が浸水域に。学校よりも幼保施設の方が浸水域に含まれる割合は高かった。【安藤いく子、金森崇之】
2012年全面施行の津波防災地域づくり法に基づき、津波の被害が懸念される都道府県は南海トラフ巨大地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などを想定した最大級の津波の浸水域を設定する必要がある。海岸や河川に面し、津波の恐れがあるのは40都道府県。うち39道府県の沿岸部662市町村について、毎日新聞は複数のデータを重ね合わせられる「地理情報システム(GIS)」を使い、国や自治体が23年2月1日までに個別に公表している浸水域と各施設の位置情報のデータを分析した。現時点で法に基づく浸水域を設定していない東京都は除外し、公表されていない自治体の一部データも除いた。
分析によると、39道府県662市町村には幼保施設が計2万3257カ所あり、14%にあたる3276カ所は最大級の津波を想定した浸水域に含まれた。高齢者施設は計1万8705カ所で、うち13%の2386カ所が浸水域にあった。
小中高校や特別支援学校などの学校は計1万8428カ所中2211カ所、12%が浸水域に。学校よりも幼保施設の方が浸水域に含まれる割合は高かった。【安藤いく子、金森崇之】