西九州新幹線(武雄温泉-長崎)が2022年9月に開業し、長崎への往来が活発化する一方で、足元の人口は減少を続けている。
長崎市の推計人口は22年7月1日現在で40万人を割り込み、翌8月には宮崎市を下回った。その結果、九州7県の県庁所在地のうち、佐賀市に次いで人口が少ない都市に転落した。ただ、宮崎市も決して人口が増加しているわけではなく、微減状態。福岡市以外は少子化や若者の流出に歯止めがかからない状態だ。
JR九州の12月23日の発表によると、9月23日の西九州新幹線開業から12月22日までの3か月間に新幹線(武雄温泉~長崎)を利用した人は61万9300人で、「コロナ前」の18年の同時期の同じ曜日(9月21日~12月20日)に、在来線特急(諫早~長崎)を利用した58万8800人を5%上回った。区間や列車の種類が異なるため単純比較はできないが、外国人観光客の増加が後押ししたとみられる。
ただ、往来の増加がただちに人口増加をうながすわけではなく、長崎市の人口は減少が続いている。20年の国勢調査時の人口に、出生・死亡数と転出入数を反映して算出する「推計人口」は、7月1日現在で39万9913人で、40万人を割り込んだ。1965年の国勢調査で40万人を超え、75年には45万人に達したが、それをピークに減少傾向に転じ、00年には42万3167人に。「平成の大合併」(05~06年)で周辺の7自治体を編入し、10年には44万3766人まで増えたものの、再び減少が続いていた。
22年7月の宮崎市の推計人口は39万9788人。翌8月は4人少ない39万9784人だった。長崎市の8月の推計人口は7月よりも342人少ない39万9571人で、宮崎市を下回った。
21年版の「長崎市統計年鑑」によると、市外への転出から、市外からの転入を差し引いた21年の転出超過は2215人。都道府県別に見ると、最も転出超過が多いのが福岡県の932人で、東京都(262人)、神奈川県(174人)、熊本県(120人)、愛知県(109人)が続く。
人口減少には、長崎市も繰り返し危機感を表明している。例えば20年3月に策定(22年3月に一部改訂)した「第2期長崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、現状を
などと説明。
として、
といった目標を掲げている。
22年12月1日現在の九州7県の県庁所在地を、推計人口が多い順に並べると、福岡市(163万2773人)、熊本市(73万7889人)、鹿児島市(58万9445人)、大分市(47万6788人、11月末日現在、住民基本台帳人口)、宮崎市(39万9243人)、長崎市(39万8357人)、佐賀市(22万9499人=11月末日現在)となる。
国立社会保障・人口問題研究所が18年に発表した推計によると、宮崎市の人口は30年に38万7659人、45年に35万3770人にまで減少する見通し。対する長崎市の見通しは30年に37万5074人、45年に31万1082人。さらに差が開くとみられている。
7都市のうち唯一増加が見込まれるのは福岡市。35年には167万7404人を見込むが、その後は減少に転じ、45年には165万4572人を見込んでいる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)