特定抗争指定暴力団山口組直系山健組の関連施設で、「山健会館」の通称で知られる神戸市中央区花隈町の土地と建物を、神戸市が差し押さえていたことが4日、同市への取材で分かった。
昨年4月19日付。固定資産税など市税の滞納を受けた債権保全のための措置で、滞納が続いた場合には公売にかけられる可能性があるという。
同会館は、鉄筋コンクリート造6階建て(地下1階)。山口組と対立する神戸山口組の井上邦雄組長の親族が昨年8月まで役員を務めた同区の不動産会社が所有し、かつて組の会合などに使用された。市は市税の納付を督促したが、会社側は応じていない。山口組と神戸山口組の抗争激化を受け、現在は暴力団対策法に基づいて立ち入りが禁じられている。
山健組は、山口組の先代にあたる5代目組長の出身母体。かつて「山健にあらずんば、山口組にあらず」とまで言われ、一大勢力を誇った。平成27年の山口組分裂騒動では、当時山健組を率いた井上組長が山口組を離れ、神戸山口組の結成に参画。ところが令和2年には、井上組長から山健組を引き継いだ中田浩司組長=殺人未遂などの罪で起訴=が神戸山口組を離脱し、3年に再び山口組の傘下に入っていた。
関係者によると、現在、井上組長と中田組長の両サイドの間で山健会館の所有権をめぐる争いが起きているという。