厚生労働省は11月30日、過労死防止のためのシンポジウムを長崎市で開き、約60人が参加した。2017年に過労自殺したとして労災認定を受けた長崎県佐世保市の会社員の男性(当時25歳)の母親(68)が体験を語り、「若者が長時間労働で命を絶つことがない社会になってほしい」と訴えた。
「NHKは教訓を生かしているのか」13年に過労死した記者の遺族 男性は14年から同市の食品卸売会社「協和商工」に勤務。同居する母親は弁当を持たせていたが、入社から1カ月後に男性から「食べる時間がないから、もう作らなくていいよ」と告げられた。

男性は早朝から夜遅くまでの勤務に疲れ果て、母親に「仕事を辞めてもいいか」とたびたび相談した。母親も退職を勧めたが、上司から引き留められるなどした男性は「辞めたら他の人に迷惑がかかる。自分は若いから大丈夫」と言って勤め続けた。 17年2月、男性は突然、「(自分の)頭がおかしい」と泣きながら母親に抱きついた。母親は病院に連れて行こうとしたが、男性は「熱があるだけだから大丈夫」と言い、次の日は出社した。その翌月、男性は命を絶った。 母親はシンポで「許せないのは息子を救えなかった自分。息子が亡くなってからずっと、内臓をえぐり取られるような生き地獄が続いている。どんなに泣き叫んでも、もう二度と息子に会うことはできない」と声を震わせた。そして、「こんな苦しい思いをする人を増やしたくない。過労死は人災。企業が真剣に勤務環境の整備に取り組むことで、防ぐことができる」と訴えた。 佐世保労働基準監督署は、男性が「過労死ライン」(月80時間)を大幅に超える月165時間30分の時間外労働を強いられるなど、極度の長時間労働で精神疾患を発症していたとして、19年3月に労災認定。母親は同12月、会社が安全配慮義務を怠ったとして、損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こした。 訴訟は5、6日の弁論で、男性の元同僚や会社関係者、母親らへの尋問が実施される予定。【松本美緒】
男性は14年から同市の食品卸売会社「協和商工」に勤務。同居する母親は弁当を持たせていたが、入社から1カ月後に男性から「食べる時間がないから、もう作らなくていいよ」と告げられた。
男性は早朝から夜遅くまでの勤務に疲れ果て、母親に「仕事を辞めてもいいか」とたびたび相談した。母親も退職を勧めたが、上司から引き留められるなどした男性は「辞めたら他の人に迷惑がかかる。自分は若いから大丈夫」と言って勤め続けた。
17年2月、男性は突然、「(自分の)頭がおかしい」と泣きながら母親に抱きついた。母親は病院に連れて行こうとしたが、男性は「熱があるだけだから大丈夫」と言い、次の日は出社した。その翌月、男性は命を絶った。
母親はシンポで「許せないのは息子を救えなかった自分。息子が亡くなってからずっと、内臓をえぐり取られるような生き地獄が続いている。どんなに泣き叫んでも、もう二度と息子に会うことはできない」と声を震わせた。そして、「こんな苦しい思いをする人を増やしたくない。過労死は人災。企業が真剣に勤務環境の整備に取り組むことで、防ぐことができる」と訴えた。
佐世保労働基準監督署は、男性が「過労死ライン」(月80時間)を大幅に超える月165時間30分の時間外労働を強いられるなど、極度の長時間労働で精神疾患を発症していたとして、19年3月に労災認定。母親は同12月、会社が安全配慮義務を怠ったとして、損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こした。
訴訟は5、6日の弁論で、男性の元同僚や会社関係者、母親らへの尋問が実施される予定。【松本美緒】