島根県出雲市の島根大学医学部附属病院(以下、島根大病院)で腎臓内科の医師7人が年度末までに退職する意向を示している問題について、丸山達也島根県知事が「週刊文春」の取材に応じ、地域医療への影響に危機感を抱いていることを表明。「指摘されているような問題が生じないように、大学病院の中で対応してほしい」と島根大病院に伝えていた事実を明かした。
【画像】“一斉退職”問題の渦中にいる伊藤孝史医師
島根大学医学部付属病院
島根大病院では今年10月、県内の腎臓専門医を多数育成した伊藤孝史医師(54)が不自然に3回も公募された教授選の末に落選。伊藤医師が退職を決意すると同時に、伊藤医師の下についている大学病院の腎臓専門医6人も年度末までに退職する意向を示している。「週刊文春 電子版」は11月12日配信の記事で一連の経緯を報じ、県の中核病院である島根大病院から医師が一斉に退職した場合、県内全域の腎臓医療が崩壊する可能性があると指摘した。
こうした状況をどう見ているのか、丸山知事に話を聞いた。――島根大病院で腎臓医が一斉に退職すれば、県民が困ることになるのでは?「お医者さんがいなくなったらそうなりますけど、そうならないように大学病院でまずちゃんとしてもらいたい。7人が退職しないようにするというのが一番いいです。大学病院でのことなので、教育にも影響するでしょう。今のところは内部の雇用関係の話ですが、それが、社会から期待されている診療機能を維持できるかどうかという話になれば、それは対外的な問題になってしまう。報道されているような結果にならないように、病院でちゃんと対応してほしい。まずは医師たちを引き留めるっていうことじゃないですかね」――地域医療についてどうお考えですか。「医学部附属病院は地域医療の『最後の砦』。県内で高度な医療を受けられる体制を維持するというのは、県知事としては医学部附属病院にはお願いしていかないといけない」「結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」――大学病院の中で行われていることがブラックボックスに包まれている。「大学のマネジメントの問題なので、それは大学の中で対応してもらいたいというのが第一。ただ、その結果生じる問題が、県民の医療を受けられる水準にかかわるのであれば、それはきちんと対応してほしい。報道されたことは知っているし、そういう懸念があるのは事実なんでしょうけど、そうならないようにしてもらいたい。私も懸念している。報道を受けて、指摘されているような問題が生じないように、大学病院の中で対応してもらえると期待して、そうしてほしいという旨は病院に伝えました」 日本地域医療学会の理事長で、秋田県横手市の市立大森病院で院長を務める小野剛氏もこう危惧を示す。「国立大学病院は、地域医療の現場では医師の供給源になっている。過疎地域では医師ひとりいなくなるだけで診療に大変大きな影響を及ぼす。腎臓の専門医が7人も一斉に退職してしまえば、過疎地域の病院への診療応援ができなくなって地域医療が成り立たなくなってしまうことが懸念されます」 大学医局内の内輪もめにとどまらず、結局、地域の住民が困ることになるという。「どうも大学病院では権力争いが起きやすい感がある。それを嫌っている若い医者もたくさんいるためか、大学病院離れも進んでいるが、その結果、地域医療の担い手は一層減ってしまっている。結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」(同前) 大学当局に、腎臓内科の医師が一斉に退職した後の地域の腎臓医療のサポート体制について問うと、「本件については回答を差し控えさせていただきます」と回答した。 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小誌報道の証言者の“犯人捜し”に奔走する島根大病院内の様子、伊藤医師が再三の公募による異例の教授選で“排除”され慶応大の医師が教授になった背景にあるとされる学閥の問題、病院内で問題視されている手術料の“キャッシュバック”の実態など、島根大病院で何が起きているかを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
こうした状況をどう見ているのか、丸山知事に話を聞いた。
――島根大病院で腎臓医が一斉に退職すれば、県民が困ることになるのでは?
「お医者さんがいなくなったらそうなりますけど、そうならないように大学病院でまずちゃんとしてもらいたい。7人が退職しないようにするというのが一番いいです。大学病院でのことなので、教育にも影響するでしょう。今のところは内部の雇用関係の話ですが、それが、社会から期待されている診療機能を維持できるかどうかという話になれば、それは対外的な問題になってしまう。報道されているような結果にならないように、病院でちゃんと対応してほしい。まずは医師たちを引き留めるっていうことじゃないですかね」
――地域医療についてどうお考えですか。「医学部附属病院は地域医療の『最後の砦』。県内で高度な医療を受けられる体制を維持するというのは、県知事としては医学部附属病院にはお願いしていかないといけない」「結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」――大学病院の中で行われていることがブラックボックスに包まれている。「大学のマネジメントの問題なので、それは大学の中で対応してもらいたいというのが第一。ただ、その結果生じる問題が、県民の医療を受けられる水準にかかわるのであれば、それはきちんと対応してほしい。報道されたことは知っているし、そういう懸念があるのは事実なんでしょうけど、そうならないようにしてもらいたい。私も懸念している。報道を受けて、指摘されているような問題が生じないように、大学病院の中で対応してもらえると期待して、そうしてほしいという旨は病院に伝えました」 日本地域医療学会の理事長で、秋田県横手市の市立大森病院で院長を務める小野剛氏もこう危惧を示す。「国立大学病院は、地域医療の現場では医師の供給源になっている。過疎地域では医師ひとりいなくなるだけで診療に大変大きな影響を及ぼす。腎臓の専門医が7人も一斉に退職してしまえば、過疎地域の病院への診療応援ができなくなって地域医療が成り立たなくなってしまうことが懸念されます」 大学医局内の内輪もめにとどまらず、結局、地域の住民が困ることになるという。「どうも大学病院では権力争いが起きやすい感がある。それを嫌っている若い医者もたくさんいるためか、大学病院離れも進んでいるが、その結果、地域医療の担い手は一層減ってしまっている。結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」(同前) 大学当局に、腎臓内科の医師が一斉に退職した後の地域の腎臓医療のサポート体制について問うと、「本件については回答を差し控えさせていただきます」と回答した。 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小誌報道の証言者の“犯人捜し”に奔走する島根大病院内の様子、伊藤医師が再三の公募による異例の教授選で“排除”され慶応大の医師が教授になった背景にあるとされる学閥の問題、病院内で問題視されている手術料の“キャッシュバック”の実態など、島根大病院で何が起きているかを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
――地域医療についてどうお考えですか。
「医学部附属病院は地域医療の『最後の砦』。県内で高度な医療を受けられる体制を維持するというのは、県知事としては医学部附属病院にはお願いしていかないといけない」
――大学病院の中で行われていることがブラックボックスに包まれている。
「大学のマネジメントの問題なので、それは大学の中で対応してもらいたいというのが第一。ただ、その結果生じる問題が、県民の医療を受けられる水準にかかわるのであれば、それはきちんと対応してほしい。報道されたことは知っているし、そういう懸念があるのは事実なんでしょうけど、そうならないようにしてもらいたい。私も懸念している。報道を受けて、指摘されているような問題が生じないように、大学病院の中で対応してもらえると期待して、そうしてほしいという旨は病院に伝えました」
日本地域医療学会の理事長で、秋田県横手市の市立大森病院で院長を務める小野剛氏もこう危惧を示す。
「国立大学病院は、地域医療の現場では医師の供給源になっている。過疎地域では医師ひとりいなくなるだけで診療に大変大きな影響を及ぼす。腎臓の専門医が7人も一斉に退職してしまえば、過疎地域の病院への診療応援ができなくなって地域医療が成り立たなくなってしまうことが懸念されます」
大学医局内の内輪もめにとどまらず、結局、地域の住民が困ることになるという。「どうも大学病院では権力争いが起きやすい感がある。それを嫌っている若い医者もたくさんいるためか、大学病院離れも進んでいるが、その結果、地域医療の担い手は一層減ってしまっている。結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」(同前) 大学当局に、腎臓内科の医師が一斉に退職した後の地域の腎臓医療のサポート体制について問うと、「本件については回答を差し控えさせていただきます」と回答した。 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小誌報道の証言者の“犯人捜し”に奔走する島根大病院内の様子、伊藤医師が再三の公募による異例の教授選で“排除”され慶応大の医師が教授になった背景にあるとされる学閥の問題、病院内で問題視されている手術料の“キャッシュバック”の実態など、島根大病院で何が起きているかを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
大学医局内の内輪もめにとどまらず、結局、地域の住民が困ることになるという。
「どうも大学病院では権力争いが起きやすい感がある。それを嫌っている若い医者もたくさんいるためか、大学病院離れも進んでいるが、その結果、地域医療の担い手は一層減ってしまっている。結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」(同前)
大学当局に、腎臓内科の医師が一斉に退職した後の地域の腎臓医療のサポート体制について問うと、「本件については回答を差し控えさせていただきます」と回答した。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小誌報道の証言者の“犯人捜し”に奔走する島根大病院内の様子、伊藤医師が再三の公募による異例の教授選で“排除”され慶応大の医師が教授になった背景にあるとされる学閥の問題、病院内で問題視されている手術料の“キャッシュバック”の実態など、島根大病院で何が起きているかを報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)