灼熱のサウナ室と冷たい水風呂を行き来してリフレッシュ──空前の“ととのい”ブームだが、秋津医院院長の秋津壽男さんは一歩間違えれば命の危険すらあると指摘する。
【一覧表】時代遅れの入浴・睡眠法「睡眠時間は7時間」も「熱いサウナで極限まで耐えて、冷たい水風呂に飛び込むのは、短時間で血管を激しく収縮させるため、ウルトラマラソン並みに心臓に負担をかける行為です。入るならば利用時間を守って、汗をかいて息苦しくなったらすぐに出ること。クーリングは冷たい水を手足にかける程度で充分です」

じっくり体を温めるための半身浴も、実際にはあまり効果がないようだ。「全身浴よりも発汗効果があるといわれていますが、実際に大きな差はない。全身でも半身でもいいので、熱すぎない、ぬるめのお湯でひと息つければいい。あえて半身浴を選ぶことにメリットはありません」(秋津さん) お風呂の温度として最適とされていた「40℃」も見直しが必要のようだ。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんが言う。「特に就寝前の入浴であれば、40℃のお湯では熱すぎます。体温が下がらずに交感神経が優位になり、スムーズな入眠を妨げる。適温は38℃前後です」 健康で清潔な体を保つために毎日入浴することそのものを疑う新説も出てきた。ボストン在住の内科医、大西睦子さんが言う。「健康な皮膚は、その表面の油分と微生物などのバランスによって保たれますが、毎日シャワーを浴び、湯船につかれば、必要な皮膚の油分や正常な細菌を洗い流してしまう可能性があります。皮膚のバランスが崩れると、乾燥から炎症やかゆみにつながることがある。また、石けんを使いすぎると、皮膚を守る常在菌を殺してしまうリスクがある。毎日、石けんでゴシゴシ体を洗うのは、避けた方がいいでしょう」(大西さん) 秋津さんも声を揃える。「日本は古来より湯治の文化があり、温泉療法もさかんですが、温泉そのものに健康効果はない。静かな場所でゆっくりお湯につかって体を休めることが療養につながっていると考えられます」最初の3時間がゴールデンタイム 健康な体を作るための必須事項だった早寝早起きも、もはや時代遅れの知識だ。「現代の医学の常識では、眠りにつく時間を気にする必要はありません。かつては午後10時から午前2時は成長ホルモンが出る睡眠ゴールデンタイムといわれていましたが、実際には何時に寝ても最初の3時間はホルモンの分泌があるゴールデンタイム。開始時間よりもいかにその3時間、深い睡眠を取るかが重要です」(秋津さん・以下同) 長らく推奨されてきた7時間睡眠も再考が必要だと秋津さんは続ける。「翌日、眠気なく元気に活動できているのなら、睡眠が4時間でも問題ありません。一方、8時間寝ていてもだるさを感じるならば、いい睡眠とはいえません。また、激務に備えて寝だめをしておくという人もいますが、睡眠を貯金することはできない。一晩ごとの質を高めることを意識してほしい」 睡眠の質を左右する寝具の選び方にも落とし穴が潜む。「“体に優しいから”と柔らかい枕や布団が人気ですが、柔らかすぎる素材は体が沈み込み、寝返りを打てなくなってかえって負担がかかる。少し硬く感じるくらいのものを選びましょう」※女性セブン2022年10月13日号
「熱いサウナで極限まで耐えて、冷たい水風呂に飛び込むのは、短時間で血管を激しく収縮させるため、ウルトラマラソン並みに心臓に負担をかける行為です。入るならば利用時間を守って、汗をかいて息苦しくなったらすぐに出ること。クーリングは冷たい水を手足にかける程度で充分です」
じっくり体を温めるための半身浴も、実際にはあまり効果がないようだ。
「全身浴よりも発汗効果があるといわれていますが、実際に大きな差はない。全身でも半身でもいいので、熱すぎない、ぬるめのお湯でひと息つければいい。あえて半身浴を選ぶことにメリットはありません」(秋津さん)
お風呂の温度として最適とされていた「40℃」も見直しが必要のようだ。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「特に就寝前の入浴であれば、40℃のお湯では熱すぎます。体温が下がらずに交感神経が優位になり、スムーズな入眠を妨げる。適温は38℃前後です」
健康で清潔な体を保つために毎日入浴することそのものを疑う新説も出てきた。ボストン在住の内科医、大西睦子さんが言う。
「健康な皮膚は、その表面の油分と微生物などのバランスによって保たれますが、毎日シャワーを浴び、湯船につかれば、必要な皮膚の油分や正常な細菌を洗い流してしまう可能性があります。皮膚のバランスが崩れると、乾燥から炎症やかゆみにつながることがある。また、石けんを使いすぎると、皮膚を守る常在菌を殺してしまうリスクがある。毎日、石けんでゴシゴシ体を洗うのは、避けた方がいいでしょう」(大西さん)
秋津さんも声を揃える。
「日本は古来より湯治の文化があり、温泉療法もさかんですが、温泉そのものに健康効果はない。静かな場所でゆっくりお湯につかって体を休めることが療養につながっていると考えられます」
健康な体を作るための必須事項だった早寝早起きも、もはや時代遅れの知識だ。
「現代の医学の常識では、眠りにつく時間を気にする必要はありません。かつては午後10時から午前2時は成長ホルモンが出る睡眠ゴールデンタイムといわれていましたが、実際には何時に寝ても最初の3時間はホルモンの分泌があるゴールデンタイム。開始時間よりもいかにその3時間、深い睡眠を取るかが重要です」(秋津さん・以下同)
長らく推奨されてきた7時間睡眠も再考が必要だと秋津さんは続ける。
「翌日、眠気なく元気に活動できているのなら、睡眠が4時間でも問題ありません。一方、8時間寝ていてもだるさを感じるならば、いい睡眠とはいえません。また、激務に備えて寝だめをしておくという人もいますが、睡眠を貯金することはできない。一晩ごとの質を高めることを意識してほしい」
睡眠の質を左右する寝具の選び方にも落とし穴が潜む。
「“体に優しいから”と柔らかい枕や布団が人気ですが、柔らかすぎる素材は体が沈み込み、寝返りを打てなくなってかえって負担がかかる。少し硬く感じるくらいのものを選びましょう」
※女性セブン2022年10月13日号