今年2月に頭部が落下した宮城県大崎市鳴子温泉の国道47号沿いにある巨大こけしを修復しようと、「岩下こけし資料館」がクラウドファンディングで募金を始めたところ、2日間で目標の100万円を達成した。
資料館の遊佐妙子代表は「多くの方の支援に感謝しています」と喜んでいる。年内には、元の姿で観光客らを出迎えられそうだ。
巨大こけしは1983年の資料館の開館に合わせて2体が制作され、国道沿いに設置された。グラスファイバー製で、頭部までの高さは約6メートル。鳴子特産のこけしをPRする「広告塔」として、観光客や地域住民に親しまれてきた。
異変があったのは2月7日。2体のうち、資料館の入り口近くにある1体の頭部(直径約2メートル)が、地面に転がっているのが見つかった。前日は大雪。積もった雪の重みに耐えきれなくなった頭部が、胴体部分からもげ落ちてしまったとみられる。
当初は撤去も考えたが、客から「元の姿を見たい」との声が届き、資料館は修復へと動き出した。ただ、高額な費用がネックに。遊佐代表が業者から見積もりを取ったところ、作り直す場合の費用は約1000万円以上かかり、修理でも約220万円必要なことが分かった。
作り直しを断念し、修理すると決めたが、資料館が自前で用意できたのは120万円がやっと。コロナ禍で資料館の来館者数が減少していることもあり、不足している100万円は寄付に頼ることにした。
9月28日、クラウドファンディングサイトの「レディーフォー」で寄付の受け付けが始まると、30日には目標額に到達。今月2日午前時点で計118万4000円が寄せられている。
遊佐代表は「こんなに早く達成できるとは思っていなかったので驚いている。早く元のきれいな姿に戻したい」と話す。業者が今後、こけしの内部に支柱を入れる作業などに着手し、12月のお披露目を目指す。
寄付は予定通り、11月7日まで行われる。目標を上回った額は、壊れた1体の土台や、もう1体の補強に充てたいという。
募金は3000円から。1万~10万円を寄付すると、お礼としてこけしが贈られる。「レディーフォー」(https://readyfor.jp/projects/99660)で受け付けている。