通園バスでの園児置き去りを防ぐため、埼玉県のこども園が安全装置を設置した。この装置は自作で開発されたものだった。
9月29日午前8時すぎ、埼玉・熊谷市。約200人の園児が通う認定こども園に、園児を乗せたバスが到着した。
バスから園児を降ろすと、職員はすぐに車内を点検し、消毒を始めた。
作業が終わると、今度は運転手がバスに乗り込み、残っている園児がいないか確認しながら後部座席へと移動する。
運転手が手を伸ばした先には、緑色のボタンがある。
荒川こども園・運転手:アラームが鳴って、事務所のランプが消灯するはずです。
運転手の説明通り、事務所にある「大型バス」と表示されているランプが消えた。
これが園が独自で開発した「園児の置き去りを防止する安全装置」だ。
ランプを消すボタンをバスの後方に置くことで、車内に誰も取り残されていないかをチェックする仕組みになっている。
9月5日、静岡県内の認定こども園で3歳の女児が亡くなった痛ましい事件を受け、このこども園にも保護者からの心配の声が多く寄せられた。
こうした不安を払拭したい思いから、すぐに安全対策に取りかかったという。
開発したのは、このこども園の事務長・岡野祐太さん。ソニーのエンジニアだった経験を生かして、わずか2日で安全装置のシステムを作り上げた。
装置を開発した 岡野祐太事務長:こちらのボタンを押すと、タブレットに連動してまして、音が鳴ります。この信号を受けて職員室のランプが消えます。
安全装置の導入に、子どもを通わせている保護者からは、「安心して園に預けることができるなと思って、とてもありがたいですね」「素早く先生たちの方で対応していただいたので、よかったねって主人と話しました」といった声が聞かれた。
園では、子どもたちや職員のさらなる安心・安全につながる取り組みをすることが、置き去りを防ぐためには重要だと考えている。
装置を開発した 岡野祐太事務長:何かできないかというのをみなさんで考えていただいて、自分たちでできることを何かしら導入していただくというのが大事かなと思います。
再発防止に向け、小倉少子化担当相も29日、安全装置の設置を通園バスに義務付ける方針を明らかにした。
今後、再発防止に向けた緊急対策を10月中にも取りまとめる予定だ。
(「イット!」 9月29日放送)