群馬県が県庁の前の広場にあるモニュメントを未完成のまま撤去することが分かりました。モニュメントを作るのに8500万円かけて、撤去費用などで、さらに4400万円かけるため、「無駄遣いではないか」と県民から疑問の声が上がっています。
■知事“巨大モニュメント”撤去発表
およそ20年間、群馬県庁前に鎮座している“巨大なモニュメント”。
群馬県・山本一太知事:「県民広場、県庁の周辺ですね。ここをもっと人が集まる場所にしたいと考えています。そのために、県民広場に設置されているモニュメントの撤去と、それから芝生の張り替えを考えています」
山本知事はモニュメントの撤去を発表しました。
■建設~撤去で税金“1億3000万円”
そもそも、このモニュメントは21世紀の幕開けを記念する事業として、故小寺弘之知事時代の2002年に建設がスタートしました。
当初は25年をかけて、徐々に石を積み上げ、高さ7.5メートルの立体作品として完成するはずでした。しかし、2005年を最後に工事が中断したままとなっています。
現在は、コンクリートや御影石でできた、ほぼ基礎のみの状態で放置されています。
群馬県によると、2002年から2005年の4年間で、合わせて8500万円が投じられたといいます。
これに今回の撤去などの4400万円がプラスされると、およそ1億3000万円の税金がかかることになります。
一体なぜ、この計画は頓挫したのでしょうか?
■資料紛失…施工業者もう存在せず
実は、このモニュメントには子育て支援推進政策の一環として、県内で2000年以降に生まれた子どもの名前を刻んでいく予定でした。
しかし、2003年、個人情報保護法が成立。個人情報の取り扱いが厳しくなるなか、県民からの反対の声も相次ぎ、子どもの名前を刻むことは見送りとなったのです。
県庁担当者:「個人情報の取り扱いとともに、お金をかけすぎではないかという話が上がり、中断したと聞いている」
中断から17年の月日が経ちました。県の担当者に、モニュメントの完成形を聞いてみました。
県庁担当者:「分かりません。資料が見つからず、データを渡すこともできない。施工業者の名前は分かるが、連絡が取れない」
県は、設計図などの資料を“紛失”。施工業者を調べてみると、社長が亡くなり、会社はもう存在しないと近隣住民が明かしてくれました。
■“新年駅伝”向け…年内撤去目指す
撤去に伴い費用がさらにかかることに、県民からは次のような声が聞かれました。
群馬県民:「(撤去費用)4000万円は高いですよ。もっと色んな方法があるんじゃないかなと思います」「群馬県のシンボルなので、別に撤去しなくてもいいと思う」
県は、来年1月の元旦、県庁前からスタートするニューイヤー駅伝に間に合うよう、年内の撤去を目指すとしています。